スマートフォンユーザーの多くが使っているSNSアプリ「LINE」(ライン)。日本国内のMAU(= Monthly Active Users)は7500万人以上に達し、計算上では日本の人口の59%以上をカバーしていることになります。私も、友人や家族間での連絡を取り合うためにほぼ毎日、何らかしらのやり取りをLINEを介して行っています。
ユーザーが集まる所は企業のマーケティング活動の場となる訳で、LINE側も公式アカウント等のサービスを提供しています。しかし、LINE公式アカウントは最低でも初月初期費用800万円・次月以降250万円と料金が高く、大企業以外の中小企業にとっては参入の障壁が高いものとなっています。
こうした中小企業・店舗向けに提供しているビジネス活動向けのサービス「LINE@」が注目されています。無料から数万円程度で開始することが可能です。「友だち」になっているLINEユーザーに対して、まるでメルマガを発行したり、チラシを配布する要領で店舗の情報などをお知らせできたり、おトクなクーポーンを発行・配布することで店舗へ実際に足を運ばせる、いわゆるO2Oの実現が可能です。(LINE@でできること・メリットなどの詳しい内容につきましては、弊社山田による記事(2018.07.13 今こそ始めるべき?機が熟した【LINE@】)をご参照下さい。)
特に店舗を持つサービスの企業にとって実施のメリットが大きいLINE@。弊社でもこのLINE@運用のコンサルティング等をお引き受けする機会が増えています。アカウントの開設は非常に簡単です。今日は実際に1からLINE@のアカウントを解説する手順をご紹介します。
LINE@アカウントの開設手順
今回、開設するアカウントは、全国数十店舗でサービスを展開している”ある”サービスのアカウント。そのサービスのメインターゲットがまさにInstagramユーザー層とマッチしているため、Instagram上で広告を展開し、LPのへ誘引し、LINE@「友だち登録」を促します。LINE@上では、店舗に持参するとインセンティブを受け取ることができるクーポンを発行し、店舗に誘引します。そして定期的な運用を通して本サービスのヘビーユーザー化を促す、というのが本施策の全体像です。
では、実際にLINE@アカウントを開設していきましょう。
まず準備するものは、PCとスマホ。開設者個人のLINEアカウントも必要です。クライアント担当者のLINEアカウントは必須ではなく、今回のように開設者である個人、私自身のアカウントでも可能でむしろその方をおすすめします。LINEの特性上、プライベートに深く関することが多いので他人のID・PWを共有することは避けたいことと、確認までに時間制限がある手順もあり、随時、クライアントに確認することに手間がかかるためです。
アカウントには2種類あり、無料ですが行えることに制限がある「一般アカウント」と、無料・有料(月額税込5400円・21600円)によって行えることに幅のある「認証済みアカウント」の2種類があります。認証済みアカウントの場合、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにも表示されるため、一般アカウントと比べると集客効果の側面から有利になります。また、アクセスするユーザーへ与える安心感も期待できるでしょう。
PCにてLINE@作成ページにアクセスし、PCからアカウントを作成します。作成ボタンを押すと、LINEのIDとパスワードが求められるので、自身のID・PWを入力し、作成画面に進みます。
とかくスマホで利用することが多いLINE。PCブラウザから初めてLINEのアカウントにアクセスする際には、PCブラウザに表示された4桁の認証番号をスマホのLINEアプリに入力し、本人確認をする必要があります。番号発行から3分以内に行う必要があります。
アカウント作成に必要な情報を入力していきます。「業種」の欄には、店舗やサービスの属性を選択します。こちらのPDFが選択できる業種一覧です。代行する際に、事前にクライアントと相談したり選んでもらう必要があります。代行する際にはその他にも、「店舗/施設情報(サービスのURL)・会社/事業者名・郵便番号・住所(都道府県から建物名まで)・代表電話番号・会社/事業者URL」の入力が必要になるので事前に確認しておきましょう。
申込者情報は、代行者の情報で構いません。私自身の情報や会社の電話番号を登録します。
入力情報の確認画面が表示されるので内容を確認後、「完了する」ボタンを押せばアカウントの完成です。
認証アカウントの審査には申し込みから5~10営業日かかります。ですが、その間も一般アカウントとして運用することができます。たったこれだけでアカウント作成が完了です。所要時間にして10分程度だったでしょうか。
その後、管理画面である「LINE@MANAGER」上でアカウントのページのデザイン設定や、クーポン作成、投稿記事の作成や配信設定などを行います。
この辺りの設定は、過去に何らかしらのSNSアカウントなどを作成した経験のある人であれば直感的に操作可能です。設定はすぐに反映されるため、自分のスマホから友だち追加し、画面を確認しながら進めると良いでしょう。
諸々の設定を行い、スマホで確認しながら無事に準備が整いました。メッセージのプッシュ通知や、友だち追加時のインセンティブ交換用のクーポンも問題なく機能しています。これらの設定は試行錯誤もあったため、30~40分程度かかりました。ですが、アカウント開設から設定し、実運用できるまでに1時間もかからず準備することができました。
公式アカウントはLINEアプリ上での露出があるため費用が高額な代わりに自然に友だち増加が見込めますが、LINE@の場合、IDを知らないと探すことができず、幅広い認知は期待できません。そのため、LINE@アカウントの存在に関するPOPを店頭に設けたり、Webサイトなどで告知するなどといった、企業や店舗が自ら工夫して友だちを獲得する努力をする必要があります。
Google画像検索での、LINE@POPの一例
また、今回ご紹介した例の施策のように、Web広告と組み合わせることも友だち獲得のために有効的な手段の一つだと思います。
今回の事例では、全国数十店舗で行われているサービス全体のアカウントを想定していますが、各店舗ごとにアカウントを作成して運用することも可能です。その方がより店舗のエリアに紐付いた有効な友だちを囲い込み、ピンポイントに必要な情報を届けることができますが、運用面での負担がかかってしまうため、よく考えて設計する必要があります。
LINE@は友だちが増えてくると強力な告知媒体となります。まずは無料で手間なくアカウント開設ができますので、試しに運用してみたり、クライアントに提案してみてはいかがでしょうか。