採用サイトに求められる情報・コンテンツは?

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近年の好景気を背景に、企業が行う新卒採用の状況は厳しく、予定通りの人数が採用できなかったり、せっかく確保できた内定者もより条件の良い企業に決めて内定を辞退したりと、学生優位の「売り手市場」となっています。これは2019年卒の就活でも状況は続く見込みです。

こうした環境の中、コーポレートサイトとは別に、「採用サイト」を設けて自社の強みや魅力などの情報を発信し、より良い人材の採用に繋げるための動きがより活発となっています。今日はこの「採用サイト」について注目してみましょう。

ターゲット(学生)が求めるものは?

まず、学生が採用サイトを見るときに注目するポイントは一体どこでしょうか。こちらの記事中の調査によると、以下のグラフのようになっています。

TOGALU「学生はここを見ていた!ポイント別採用サイトランキングTOP3

最もポイントとなるのが「分かりやすさ」、次いでのポイントは「情報量」となっております。つい、採用サイトというと、最新のWeb技術やデザイントレンドを採り入れた”見栄え”の部分に注目しがちですが、学生たちは「デザイン」よりも”多く提供される情報の中から、自分が求める情報をすぐに見つけられる”といった機能や情報整理、導線などといったサイト設計の部分を重要なポイントとして考えているようです。

では、具体的に企業のどのような情報を知りたがっているのでしょうか。株式会社リクルートキャリアの研究機関・就職みらい研究所による「就職白書2018」によると、以下のグラフのようになっています。(全体の30%以上の項目を抜粋)

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「経営方針・事業戦略」、「勤務地」、「具体的な仕事内容」といった企業情報としては基本的なものが上位に挙がっています。赤の折れ線は”実際に採用サイトで知ることができた情報”の数値です。つまり、2グラフを比較すると、”学生が求めているが、採用サイトで知ることができなかった情報”が分かります。その上位には「社内の人間関係」、「有給休暇の取得日数・取得率」、「残業の状況」といったものが挙げられています。実際に自分がその企業に身を置いた際に気になる情報ですよね。(サイト上で「人間関係」を表現するのは難しいですね・・・)

では、採用サイトを公開するタイミングはいつが良いのでしょうか。DISCOの「2018 年度 採用ホームページ好感度ランキング」のリリース書類から、学生が業界研究を開始した時期と、企業の採用サイト公開時期の相関が分かります。

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会社説明会などが解禁される3月が採用サイトの公開時期としてトップになっています。しかし、前年の6月以前より、学生の業界研究は始まっており、12月にはすでに6割以上の学生が業界研究していることが分かります。これらから考えると、採用サイトは可能であれば12月、遅くとも、学生による志望企業の研究がピークになる直前の2月にはローンチすることが重要だと言えるでしょう。

そして当然ではありますが、若い世代ほど、スマホファーストのサイト設計が重要です。一般財団法人 雇用開発センターによる「2018 年卒 大学生就職活動調査の結果速報」によると、就活でスマホを多用した割合は75%近くに登ります。

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「スマホとパソコンを半々で使い分けた」層よりもスマホを活用した学生の合計の割合は、74.7%に達し、調査以来、初めてPC活用派を超え、逆転したのだとか。学生の就活において、スマホは欠かせないツールであることが伺えます。より、スマホで快適に閲覧でき、情報を掴むことができるサイト設計・UIなどが重要になってくるといえます。

これらの情報を基に、具体的にどの企業のサイトが学生の人気を得たのでしょうか。DISCOの「2018 年度 採用ホームページ好感度ランキング」のリリース書類によると、採用サイトの好感度ランキングが挙げられています。

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これらのトップのサイトから学べるところはどのような点でしょうか。上位のサイトを検証してみると、共通したコンセプトとコンテンツが挙げられます。

「社員の顔」が見える・成功事例を「プロジェクト事例」を記事として

上位のサイトを検証すると、多くのサイトで共通して備わっていたのがこの点でした。どのような社員が採用に携わっているのか、また、どんな社員が会社に居て、仕事に対してどのような思いを懸けながらどのような仕事に携わっているのかを紹介するインタビューを中心としたコンテンツを採用サイトで情報発信している例が多く見られました。

東京海上日動の採用サイトでは、トップインタビューよりも先に、採用担当のトップによるメッセージ、全国のエリアの採用担当者を紹介し、この先直近で学生がどのような社員と相対するのかがイメージできるような構成になっています。

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そして、過去の大型案件例の紹介を、「プロジェクトストーリー」と称し、実際に現場で働き、そのプロジェクトに関わった社員のインタビューを中心に構成しています。

JALの採用サイトでも、先輩社員のインタビュー記事や、過去の成功事例を担当者へのインタビューを中心に構成した「プロジェクトストーリー」の形で紹介しています。

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三菱UFJ銀行の採用サイトでも、「プロジェクトストーリー」や「行員紹介」の形で、職種ごとの成功ストーリーなどを紹介しています。

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こうした表現により、実際にどのような人がその会社で働いているのか、具体的に自分が入社後、どのような仕事に携わり、どのような仲間と仕事を進めていくのか理解に繋がります。

ただ、こうした社員を出演させたインタビュー記事の制作には、質の高い記事にするためには、専門のライターを立てて制作する必要があり、コンテンツ制作の部分で費用がかかります。また、社員の退職リスクがあり、毎年、記事を制作し直す必要性もあるため、次年度以降の予算の見込みも見極める必要があります。

わかりやすく、なるべく多くの情報量で、学生が就業後、どのような仲間・先輩・上司と、どのような環境でどんな仕事をできるのか。それらを想起できるような採用サイトが求められているようです。