Web動画広告の種類を整理してみよう!

弊社ではWeb広告用で活用するためのさまざまな広告用バナー画像を作成しているのですが、最近では静止画画像からmp4のような動画形式で制作して納品するケースが非常に増えつつあります。

サイバーエージェントとデジタルインファクトが共同で行った調査によると、昨年、2017年の動画広告市場は1093億円、2021年には3,000億円近くまで成長すると予測されており、一大市場に成長することが期待されています。デバイス別では特にスマートフォンの伸長が大きく期待されています。

今日はそんなWeb動画広告の種類について整理してみることにしましょう。

大きく分類すると2種類 「インストリーム」と「アウトストリーム」

動画広告と大きく捉えると、その定義があやふやになりがちですが、まずは大きく2分に分けられます。

1つ目は、YouTubeなどのような、動画配信プラットフォームに掲載された動画コンテツに対して配信される「インストリーム広告」です。視聴者が注目するTV番組の前・中・後にCMを挿入するという、これまでのテレビで行ってきた形式に近いでしょうか。ただ、従来のTVCMと違い、Webサービスである、動画配信プラットフォームの持つユーザ属性の情報を活用し、興味関心などといったセグメントを絞った配信が可能なことや、動画広告がスキップされた場合、課金されないなどの仕組みもあったりと、出稿側からすると費用対効果が高い方式です。

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本編動画の前・途中・最後に配信されるタイミングによって、「プレロール広告」「ミッドロール広告」「ポストロール広告」とさらに3種に分けられます。プレロール広告というと、YouTubeのTrueViewが連想されますが、数秒後にスキップできたり、視聴がマスト、特に最近では6秒の短尺なバンパー広告などが挙げられます。動画本編の最中に挿入されるミッドロール広告は、動画の続きが見たいという視聴者の心理を考えると、比較的離脱が少ない広告と言えます。

これら「インストリーム広告」に対し、ウェブサイトの記事やSNSのタイムライン上などといった、動画配信プラットフォーム以外に配信される動画広告を「アウトストリーム広告」と呼びます。

アウトストリーム広告の種類

動画配信プラットフォーム以外で展開される「アウトストリーム広告」。ウェブサイトで配信される場所の違いによってそれぞれ呼称と特徴があります。

インフィード広告

FacebookやTwitterなどどいった、SNSのニュースフィード上に表示される広告です。フィード上に表示された記事たちの間に、記事に似たような文面や動画で表示されます。SNSに登録した自分の興味関心に近しい広告が記事のようなイメージで表示されるので、広告と意識されづらいことが特徴です。出稿側からすると、SNSが把握する詳細な属性情報や興味関心などを基に、きめ細かなターゲティングができる点が特徴です。

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Twitterのフィード上に配信された、インフィード動画広告の例

インバナー広告

Webサイトやアプリ上で事前に決め打ちされた広告枠、”ディスプレイ広告枠”に配信される広告のこと。ポータルサイト・検索サイト・Webメディアなどのウィブサイトが設けているバナー広告枠に配信できるので、幅広いユーザに広告を配信することができます。その一方でバナー広告の特徴とも言われている、クリックされにくい・その割に(配信サイトにもよりますが)費用感が高い、というデメリットがあります。

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インリード広告

Webメディアやニュースサイトなどの記事コンテンツの間に表示される広告。記事を読むためにページをスクロールすると、動画広告のエリアに到達すると動画が再生されます。動画広告は記事中に埋め込まれているため、そのエリアを過ぎてスクロールすると動画も非表示になります。特に、表示領域が狭いスマートフォンにおいて効果的であると言われています。

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オーバーレイ広告

前述のインリード広告が記事中に埋め込まれているものであることに対し、オーバーレイ広告は、常にWebブラウザの一定の位置に固定して表示される広告のこと。記事などのページの前面に重なるように表示され、スクロール操作に影響されずに常にブラウザの最上部や最下部に広告が表示されます。常時、広告が表示されているため効果が期待できます。

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スクロールしても下部の建築会社の広告が着いてくる

ストレスを感じさせない動画広告は?

様々な表示形態のある動画広告。広告掲出に際して最も気を使うのは、「鬱陶しい」といった、視聴者にネガティブな印象を与えないことだと思います。

アルファアーキテクト株式会社が2018年2月に行った、動画広告の種類によってユーザーへ与えるストレスの違いに関するアンケート調査によると、インバナー/インリード広告が、他の広告フォーマットと比較した際に、ユーザーにとってストレスを比較的感じにくい広告フォーマットであるという結果が報告されています。

逆に、最も「鬱陶しい」と感じられる広告は、ブラウザの一点に常に表示される「オーバーレイ広告」のようです。自分の意思で表示・非表示のコントロールができないことがストレスに繋がっているといえるのでしょう。常に広告が表示されるというメリットは強いものの、ユーザーにウザがられるという面もあるため、諸刃の剣とも言えるでしょう。

オーバーレイ広告規制の動き

正直、筆者も「超ウザイ」と思っているオーバーレイ広告ですが、全ての広告事業者ではないものの、複数の事業者が今年の5月10日以降、”広告位置の移動”  ”クリック領域の拡大”や、”広告を透過状態から浮き上がらせる” などといった、誤クリックを誘引するような挙動を禁止するといった動きを見せています。また、Googleでは2018年2月15日から、業界団体が定めた「Better Ads Standards」の基準を満たしていない広告をChrome上で表示させない対応を取っています。今後に大いに期待です。

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とはいえ、2018年7月現在、未だに鬱陶しいオーバーレイ広告は多く表示され続けています。閲覧者に”ウザい”とネガティブな印象を与えては、広告としてその時点で失策だと思うのですが、被クリック至上主義がまだ健在なのでしょうか。

最後に

これまでご紹介したように、様々な種類に分類できるWeb動画広告。先に触れた、サイバーエージェントとデジタルインファクトが共同で行った調査によると、インストリーム広告とインフィード広告が2大勢力として今後、大きく伸長していくと予測されています。

インストリーム広告と、インフィードに代表されるアウトストリーム広告では、配信される場所が異なるため、効果を出すためのクリエイティブが異なります。今後、弊社でもこれまで培ってきた、静止画バナー広告や動画広告の制作ノウハウを基に、より成果の出せるクリエイティブについて研究を進めて行こうと考えています。