これだけは抑えておきたい!定番英字フォント18選

こんにちは、スイカは白いところまで食べる小林です。

今日は個人的主観で、よく使う、あるいは使いたいと思っている定番欧文フォントをご紹介したいと思います!
フォント選びで迷うと、ついつい、無難なフォントを使いがちですが、そのフォントの性質やディテール、成り立ちを知ることで、よりそのデザインにマッチしたフォントが選べるようになると思います!

セリフ体

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 Baskerville (バスカヴィル) 

伝統、高貴さを感じさせる、1750年代にイギリスのジョン・バスカヴィル(John Baskerville)によって作られた、Transitional(※)フォントの代表格です。
バスカヴィルのフォントは当時のイギリスではなかなか受け入れられず、アメリカやフランスで多く使われたようです。
しかし今では堂々とした大文字などからイギリスを代表する書体デザインの一つと言われています。

Baskerville Old Faceは見出し、ITC New Baskervilleは書籍の本文などによく使われているそうです。

※書体の分類

分類方法はいろいろあるようですが、一番ベーシックな形として下記の11種類に分けられるようです。

  1. Venetian (例:Adobe Jenson)
  2. Garalde (Adobe Garamond)
  3. Transitional (例:Baskerville)
  4. Modern (例:H&FJ Dibot)
  5. Geometoric San Serif (例:Futura)
  6. Grotesque (例:Benton Sans)
  7. Neo Grotesque (例:Neue Haas Grotesk)
  8. Humanist San Serif (例:Neue Frutiger)
  9. Geometric Slab Serif (例:Neutraface Slab)
  10. Grotesque Slab Serif (例:Clarendon Text)
  11. Humanist Slab Serif (例:TheSerif)

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 Garamond (ガラモン) 

詩的、伝統的、柔らかい感じを受けるオールドスタイル・ローマン体の代表格です。
僕の中ではセリフ体のいえばまずこれを思い浮かべます。
16世紀にフランスのクロード・ガラモン(Claude Garamond)の活字をもとに作られ、クセがなく可読性に優れているため見出し、本文ともに使われています。
Apple Computer 社や Adobe Systems 社がコーポレートフォントとして使用していたそうです。(wikipediaより)

Garamondは上記の2つ以外にも、Garamond Premier、Stempel Garamond、Monotype Garamond、Simoncini Garamond、Garamond #3、ITC Garamond、Granjon等があります…
見分けられません。

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  Adobe Caslon (アドビ カスロン) 

アメリカの独立宣言書に使われた活字として知られ、活字時代には「迷ったらカスロンで組め」と言われたほど応用範囲の広い書体のようです。
イギリスのウィリアム・カスロン(William Caslon)が1734年に作成しました。
CaslonにはGaramondのようにいろんな種類があり、こちらのAdobe Caslonは本文に適した設計です。

他のCaslonを挙げると、見出しに適したCaslon 540の他に、ITC Founders Caslon、ITC Caslon #224、Caslon Antiqueなどがあります。

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  Palatino (パラティノ) 

骨格は古典的ながら現代的な印象がある、最も汎用的な本文書体のひとつと言われています。
1950年、ドイツのヘルマン・ツァップによって発表されました。Palatinoという名称は、16世紀イタリアの書家ジャンバッティスタ・パラティノに由来するそうです。

発売から半世紀以上たった今でも書籍や雑誌の本文、見出しに使われており、特にイタリック体が優美であることから、化粧品や高級品の広告にもよく使用されているそうです。

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確かにキレイですね!使ったことなかったです。今度試してみよ。

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 Trajan (トレイジャン) 

伝統的、厳格、上品、優雅な雰囲気を感じるフォントです。
約2000年前にローマに建てられたトラヤヌス帝記念柱の碑文を忠実に再現したそうです。RやJの「はらい」がとても綺麗です。
2000年前の時代は小文字がなかったため、このTrajanも小文字がないスモールキャップ書体です。

その格式の高さから、タイトルやロゴでよく使われており、映画タイタニックやチョコで有名なGODIVAのロゴの基になっています。
※Trajanについてはこちらのブログで詳しく紹介されています→ローマの歴史ある曲線美に酔いしれろっ…!!英文フォント「Trajan」の魅力 #LOVEFONT

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 Times New Roman (タイムズ ニュー ローマン) 

その名の通り、イギリスのタイムズ紙が新聞用書体として1932年に開発した書体です。
もっとも汎用的なセリフ体で、可読性に優れており見出し、本文に使用されています。クセがなく非常に使いやすいと思います。
類似フォントで「Time Roman」がありますが、先にご紹介したGODIVAのロゴは、昔はTime Romanを使用していたそうです。

これも調べて知ったのですが、「Times Roman」と「Times New Roman」は実は同じ時期に発売されたフォントのようです。
イギリスのタイムズ紙が書体を一般発売するときに、Linotype社とMonotype社の2社が同時に販売権を持ち、前者は「Time Roman」、後者はタイムズ紙の新しいローマン体ということで「Times New Roman」と名付けたそうです。

※Times New Romanについてはこちらのブログで詳しく紹介されています→僕が好きなフォント「新聞で有名な欧文フォント TimesNewRoman」 #LOVEFONT

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 Didot (ディド) 

モダン・ローマン体の代表格で、おしゃれ、優美、女性的な雰囲気を持ちます。数字が特徴的です。
フランスのファルマン・ディド(Firmin Didot)が18世紀末~19世紀初期に制作した活字を基にデザインされたようです。

横のラインが極細なのが特徴で、後述するBodoniとともに、女性ファッション誌などによく使われています。
VOGUEのロゴとしても有名です。見出しとして使用するのが良いです。

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 Bodoni (ボドニ) 

上記のDidotと同じく、モダン・ローマン体の代表格で洗練された雰囲気を持つフォントです。
イタリアのジャンバティスタ・ボドニ(Giambattista Bodoni)が19世紀初期に制作した活字を基に作られています。
Didotが女性的であるのに大して、Bodoniは男性向けでも使えるように感じます。こちらも本部よりはロゴやタイトル、見出しに向いています。

日本のデザイン界に大きな影響を与えた、あの田中一光さんが愛したフォントでもあり、この品格の高さは「光朝書体」の礎にもなったそうです。

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 Rockwell (ロックウェル) 

個人的に大好きなスラブセリフ。その代表格といえるフォントです。
1934年にMonotypeの社内で開発され、1990年代にギネスで公式に使われたフォントです。
「スラブ」とは石の版のことで、どしっとした安定感があるように感じます。完全に見出し向きです。

サンセリフ体

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 Helvetica (ヘルベチカ) 

もはやデザイナーでこのフォントを知らない人はいないでしょう。世界中でもっとも使用されていると言われています。
見出し、本文どちらにも対応でき、最も汎用的なサンセリフ体です。

ヘルベチカとは「スイスの」という意味で、スイスのハース社が20世紀半ばにNeue Haas Groteskと銘打って発売したものが原型で、後にHelveticaと改名されたようです。
2007年には「Helvetica」というドキュメンタリー映画が作られそうです。
数字も安定感があるので、僕はランディングページなど値段のところで、和洋混植でよく使用します。

Helvetica Neue(ヘルベチカ・ノイエ)はウェイト間のデザインのばらつきを無くすなどデザイン的な改良したものだそうです。(なんとなくファミリーが揃ってるからこっち使ってました…)

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 Univers (ユニバース)

Helveticaとよく似ていますが、より近代的、洗練された感じです。
1957年にスイス人アドリアン・フルティガー (Adrian Frutiger) によってデザインされ、フランスのデュベルニ&ペニョー鋳造所から写植活字として発表されたようです。(wikipediaより)
フォントファミリーも非常に充実しており、個人的にはHelveticaよりも好きかも。
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  Futura (フーツラ) 

近代的、幾何学的な雰囲気を持つ有名書体です。ラテン語で「未来」を指します。
ドイツのパウル・レナー(Paul Renner)が制作し、1927年に発売されました。
ルイ・ヴィトンやフォルクスワーゲン、ドルチェ&ガッバーナのロゴなど世界中で使われています。
英字フォントの中で今まで一番使ったかもしれません。

Futuraに関してのおもしろいまとめがありました→Futuraがかわいすぎる。(NAVERまとめ)

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  Avenir (アベニール) 

Futuraに似た近代的、幾何学的なフォントですが、こちらはより人間味、暖かみを感じさせます。
フランス語で「未来」を指し、同じく「未来」を意味するFuturaに対抗している意味が読み取れるとのこと。

Futuraが作成された時代のドイツはディセンダー部分を極端に短くする制約があったそうで、Futuraはその影響でxハイトも小さくやや読みにくくなっています。
対してAvenirは本来の形になっているためその点が解消されています。

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  Frutiger (フルティガー) 

空港のサイン用としてデザインされた書体のため、視認性に優れ、明るい印象です。
Universの作者であるアドリアン・フルティガー (Adrian Frutiger) によってデザインされ、1976年、Linotype社からフルティガー の名で一般向けに発売されました。
日本でも東京メトロなどで使用されています。
2000年にFrutiger Nextt (フルティガー・ネクスト) 、2009年7月にはFrutiger の改刻版、Neue Frutiger (ノイエ・フルティガー) がリリースされました。

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 DIN (ディン) 

すっきりと洗練された近代的な雰囲気のフォントで、近年、大流行しているフォントです。僕は特に数字が好きです
もともとはドイツの工業規格のための書体で、ドイツの高速道路で使われているようです。

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 Gotham (ゴッサム) 

近年、世界各国において最もよく使われるサンセリフ体と言われています。丸みを帯びた幾何学的な形で現代風なフォントといえます。
世界的に有名なHoefler & Frere-Jones によって2000年に制作されました。
アメリカの大統領選挙でオバマ大統領の特設Webサイトやスローガンなどに大々的に使用され注目を浴びました。

個人的に大文字のMがお気に入りです。数字は少し重たい…気がしてます。

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 Franklin Gothic (フランクリン ゴシック) 

やや古風で荒削り、男性的、力強い感じを表現するのに適した書体です。
産業革命時代の1902年にMorris Fuller Bentonによって作られました。長体気味なので、少ないスペースに文字を詰め込まなければならない新聞の見出し,広告などに利用されるようです。

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 Gill Sans (ギル サンズ) 

大文字は堂々とした古典的な骨格を持っており、人気の衰えないサンセリフ書体です。
石碑や彫刻も彫ったイギリスの芸術家エリック・ギル(Eric Gill)によって作られ、1930年頃に発売されました。
視認性も高く、どちらかというとイギリス風とも言えるようですが、フランスでもよく見かけられるそうです。

イタリック体は独特の柔らかさを持ちます。
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数字の1が単体で使えない…

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最後に

いやー思ったよりも数が多かったので、ブラックレター体やスクリプト体はまたの機会にご紹介したいと思います…。
セリフ体やサンセリフ体もまだまだ多くの定番フォントがありますが、ひとまずこれにて。

フォントの世界は深いですね…。しかし面白い。
今回この記事を書くにあたりいろいろ調べて大変勉強になりました。今後のデザインに試してみたいと思います!

今回の記事を書くにあたり下記の記事、書籍を参考にさせて頂きました。

書籍
フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド)

記事
フォントブログ [デザイナーが知りたいフォント、書体、タイポグラフィ、Webフォントの情報を発信中]