子供のネット利用の実態 ~「YouTube Kids」が日本でもリリースに

以前、1歳半の姪っ子がiPadを器用にあやつり、YouTubeで子供向けの映像を楽しんでいる様子を書いたことがあります。(参照:子供に有害なweb動画のフィルタリング ~Vine Kidsのリリース 2015.2.18)

姪っ子の家にはiPadは無く、毎週末1-2回、私の住む実家に遊びに来るのですが、その僅かなタイミングの間に、リビングに置いてあったiPadを使って画面をスライドさせたり、別の動画をタップして器用に動画を再生して楽しんでいた姿に、こんな小さな子でも使えるなんて!と非常に驚いた記憶があります。

その後、数カ月後にiPadは壊れてしまい、姪っ子は動画を楽しむことができなくなってしまいましたが、4歳になった今、両親のスマートフォンを器用に使って写真を撮ったり、自分の写真を見て楽しんでいるのだそうです。

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低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査

中高生といった若年層のスマートフォンやインターネットの利用が年々高まっていることは周知の事実ですが、それよりも若い、いわゆる子供の間でも確実にその傾向は年々強まっています。

先日、内閣府から「低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査」の調査結果が発表されました。その結果、スマートフォン・タブレット・ゲーム機器などのような、何らかしらのデバイスからインターネットを利用している9歳以下の子供は39.2%になり、およそ5人に2人はインターネットを利用している計算になります。

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前述した、我が家の姪っ子(当時)の年齢に近い2歳児でも28.2%と、およそ3人に1人は利用しているという結果になります。

また、その8割近くは、親が操作して見せているのではなく、一人で操作することがあるという結果が出ています。ネットで何を行っているかといえば、やはり一番多いのは「動画視聴」で、続いて「ゲーム」「知育」などが中心となっています。

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いずれかの機器でインターネットを使っている子供について、トラブル等の経験があるかという調査については、「あてはまるものがある」の回答が35.4%あり、「注意してもインターネットをやめない」(24.2%)、「パスワードを解除した」(7.4%)が上位となっています。中には「知らないうちにメールを送った」や、「知らないうちに課金した」などという、けっこう困るようなトラブルもあるようです。

 

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こうしたトラブルは海外でも多く起こっており、子供が誤って課金した金額の返金がAmazonに命じられているようです。

同様の問題は過去にアップルのApp StoreやGoogle Play Storeでも発生したことがありました。ただこの2社がFTCとの間で迅速に問題解決に取り組み、アップルは3250万ドル以上、Googleは1900万ドルの返還に応じました。これに対してAmazonは、当初アプリ内課金についての苦情に対して「すでに適切に処理し返金の必要はない」と主張したため、結果としてFTCから提訴されることになりました。
(2017.6.1 米アマゾン、「子どもが勝手にアプリ内課金」した約78億円の返金を開始。1アプリ当たり最高約1万円 engadget)

また、9割近くの家庭で、インターネットを使うルールを決めており、利用する時間・場所などを決めている例が多いようです。かつて私も子供の頃、親に「ファミコンは1日1時間まで」なんて言われてたことを思い出します。

子供限定YouTubeアプリ

現在のように、ネット環境が生まれながら普通にある環境で育った子供が成人になった時、デジタルマーケティング的な視点で、恐らく今とは異なった社会になっているでしょう。こうした今の環境に賛否はいろいろあると思いますが、現実問題、すでに変化は起きてしまっています。上手く付き合っていくほかありません。

若年層のインターネット利用において、保護者の立場からすると、ポルノや残虐な内容といった、子供の目に入って欲しくない不適切なコンテンツが無視できません。子供向けのフィルタリングソフトなどがあるようですが、先日5月31日に子供向けのYouTubeアプリ「YouTube Kids」が日本向けにリリースされました。

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YouTube Kids

利用は無料で、YouTubeで公開されている動画からグーグル独自のアルゴリズムで抽出し、主に2~10歳の子供が楽しめるアニメや学習用動画などを提供するサービスです。視聴する子供の設定として、未就学児・学齢児童・すべての3種類から選ぶことができ、年齢に見合った動画が表示されます。

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また、長時間の閲覧を制限するタイマー機能や、検索制限などといった、保護者による管理機能も設けられています。2015年2月に米国で開始され、今では日本を含め、世界28カ国、7言語で提供されています。

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これまでもYouTubeには子供向けフィルタリングの機能が標準で準備されていましたが、専用のアプリがリリースされたことにより、より安全に使うことができるようになりました。

子供たちのネット利用に際して、適切な環境を提供することも保護者の責任のひとつです。「YouTube Kids」のような、こういった様々なツールを活用してみてはいかがでしょうか。