金曜日のネットマーケティングレポートをお送りします。
アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。
夏ももう終わりですね。今日は、ペプシがこの夏を通して行ってきたREAL.BIG.SUMMERキャンペーンで公開した動画広告のなかから、代表的な一本をご紹介します。
World’s Largest Claw Game Surprises The Jersey Shore
アメリカの人気観光地ジャージーショアのジェンキンソンボードウォークで行われたのは、世界最大のクレーンゲームです。
特大のディスプレイにはクレーンゲーム開催までのカウントダウンが映しだされています。
最初のチャレンジャーがやって来ました。
青か白の大きなボールが上手く拾えたらプライズがゲットできます。
西海岸で行われるMTVのビデオミュージックアワードへの招待券があたりました!次のプレゼントは…、
アイスクリームソーシャル!観客みんなにアイスクリームが振る舞われます。
ジョッキで振る舞われたコーラフロートに一斉に手を伸ばす観客。
次のプライズはピザパーティです!
アイス同様にピザが振るまわれていきます。殺到するビーチのみなさま。
ここで、ハリケーンサンディの生存者家族が招待されます。ジャージーショアはニュージャージー州の海岸で、2012年にハリケーンの甚大な被害を受けた地域なのです。
フロリダ州キーウェストの家族旅行があたりました!
次の生存者家族には…。
ヤンキースのチケットが送られます。司会者がさらにサプライズがあることを告げます。
オールスターゲームでピッチャーに選ばれた「デリン・ベタンセス」選手の登場です。大喜びする少年。
消費者に限りなく近いスタンスを、視聴者に印象付ける動画広告
広告業界にいらっしゃる方なら、同様のコンセプトで行われた日本のキャンペーンを思い出すかもしれません。2011年に行われたトヨタ/ラクティスのBIG SHAREキャンペーンです。六本木ヒルズに世界最大のUFOキャッチャー™が設置され、ユーザー参加型イベントも行われました。キャンペーンYouTubeアカウントはこちら→https://www.youtube.com/channel/UCIJqpM3UdXLZsxMptAAUKGQ
世界一のクレーンゲーム/世界一のUFOキャッチャー™。両者は一見似たコンセプトの動画広告ですが、並べてみると視聴者にまったく異なる印象をあたえるのではないかと思います。今回のペプシキャンペーンとトヨタのCMを比較した時、異なる点はどこなのでしょうか?それは、「参加者との距離感」だと僕は思います。
トヨタラクティスでは商品をゲットした際に大橋トリオを先頭にパレードが現れ、なんとなくの「フィーバー感」が演出されたのち、ぬいぐるみが詰め込まれた車にフォーカスが移り、車が主役の動画広告として終わるのに対し、ペプシではゲームの参加者や観客に応じたプライズが提供され、それに対する観客のリアクションや、司会者による観客とのコミュニケーションにフォーカスがあたっています。演出面に置いても、はっきりとした違いが有ります。トヨタの動画広告ではキャンペーンソングが全面に覆いかぶさってイメージ広告のような雰囲気がある一方、ペプシでは司会者のトークを聞き取れる形で残す事で彼にペプシというブランドの代弁を行わせています。つまり、トヨタ/ラクティスは、非対話型の動画広告、ペプシのものは対話型の動画広告だと言えます。
2014年現在、自分たちのブランドが、より消費者に近い位置で楽しみを共感できる「仲間」のような存在として認識されることをおおくのB2C企業が目指しています。プライズをゲーム参加者だけに与えるのではなく、ピザパーティのような形で、観客に向けてもシェアさせる演出などはその最たるものです。サンディ被災者むけに重要なプライズを提供するくだりは、ペプシの「意図」が透けて見えるような気もしつつ、これがあることで「シェアしやすいコンテンツ」になっているとも言えます。
バイラル動画広告で多く見られる「街頭設置型のサプライズマシーンとそのリアクション」で構成された動画から脱し、ほんとうの意味での「シェアの空気」をうまくみせることに成功した、素敵な動画広告だと思います。