こんにちは。アクトゼロの山田です。
最近では有名人が投稿する写真がニュースになるなど、一般的な認知度が高まってきたInstagramですが、企業のマーケティング活用という観点から見た時には、日本国内ではまだまだこれから…といった温度感のように感じています。
企業アカウントを立ち上げて、魅力的な写真を投稿していくというシンプルな活用方法だけではなく、こういったケースもあるというのをニューヨークのメトロポリタン美術館を例にご紹介できればと思います。
ひとりの写真家から始まった取り組み
アメリカの写真家Dave Krugmanという人から、今回のケースはスタートします。
彼のInstagramアカウントを見て分かる通り、まさにプロの写真家レベルという感じで、とても印象的な写真が並んでいます。
Instagramに魅了され、素晴らしい写真をアップする彼は、Instagram上で抜群の存在感を発揮してます。
そんな中、彼は、自身が大好きでニューヨークに立ち寄る際には必ず訪れるというメトロポリタン美術館を、多くの人に知ってもらい、訪れてもらうためにInstagramを使えるのではないかと考えます。そして、メトロポリタン美術館にInstagramを使ったアイデアを持ちかけるのです。
#emptymet
そして、実現したこの取り組みは「#emptymet」と呼ばれ、「empty」という言葉の通り、“空っぽ”のメトロポリタン美術館がモチーフになっています。
どういう事かというと、メトロポリタン美術館の休館日にDave Krugman氏と氏に繋がりのあるInstagramユーザーに解放。そして、館内を自由に撮影してもらいそれぞれのInstagramアカウント上にアップロードしてもらうというアイデアです。
その投稿にはハッシュタグ「#emptymet」が付けられ、同時にメトロポリタン美術館のアカウントも紐付けられたことで、そこから多くのユーザーがメトロポリタン美術館のアカウントを訪問することになったのです。その効果もあって美術館のフォロワー数は現在60万人を越え、多くのユーザーとの新しい繋がりが生まれています。
このように盛り上がった要因としては、まず、Instagram上で影響力のあるユーザーを、Dave Krugman氏が集めたという点。これは、最近よく耳にするようになった「Instagrammer」と呼ばれているものと言えます。
そして、そのInstagrammerがすでに影響力があった人であったことから、投稿された写真のクオリティが全般的に高かったというのも一因です。さらに極め付けとして、休館日のメトロポリタン美術館を垣間見れるという特別な体験ができる点も、そこに加わったと考えられます。
このメトロポリタン美術館の事例は、Instagramを使った特徴的な取り組みとして、様々なメディアに取り上げられています。
ハッシュタグというベーシックなものを使いつつ、Instagramというサービスの特性に合ったコンテンツが、同時多発的に投下されたことにより、それを見た他のユーザーへ新しい体験が提供されるという流れは、極めてソーシャルメディア的な流れに思います。
ソーシャルメディアの利用というと、アカウントを運用していくことをまず考えてしまうと思いますが、こうした周辺ユーザーを巻き込んだ展開というのも、ひとつの形であることは間違いありません。
アクトゼロ / 山田