サイバーエージェントの参加で過熱する、ゲーム実況者を活用したアプリマーケティング

アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

サイバーエージェントの子会社、渋谷クリップクリエイトが新サービスの「PLAY CLIP」のリリースを行いました。

01ゲームをプレーしている画面や自身の様子をYouTubeや「ニコニコ生放送」で配信する、「実況」と呼ぶネット動画が人気を集めている。渋谷クリップクリエイトは人気の高い実況者を約200人組織。ゲーム企業の要望に応じて実況者を選び、新作ゲームなどの実況動画を製作、配信する。
ニュース – ゲーム実況動画で販促、サイバーエージェント、人気「実況主」200人:ITpro 

人気YouTuberのHIKAKINやマックスむらいなどとゲームアプリの開発元とのコラボレーションはこれまでも盛んに行われており、スマホゲームアプリの新規インストールや継続利用を促すことに成功しています。PLAY CLIPは、ゲーム実況に特化したうえでメーカーからのマネタイズを意識して立ち上げられたサービスだと思われます。

ゲームアプリのインストールごとに課金が行われる従来のネット広告を使った集客に比較しても、人気実況者とのコラボレーションはユーザー定着率などの面で良い結果を産むことも多く、アプリベンダーにとっては一般的に認知されるマーケティング手法になったと言えます。ゲーム実況者とのコラボはテレビCMなどでの広告接触回数が確保しにくい若年層などに対するフォロー施策としても活用され始めています。

かつてゲーム実況は据置型ゲームやフリーゲームがその主戦場でしたが、2013~2014年ころから一気にスマホゲームの実況が増えている実感です。

5,000円以上するゲームソフトを購入してその世界のなかでゲームプレイを楽しむ、これまでの据置型ゲームとゲーム実況との相性は、ストーリーのネタバレなどの関係であまり相性がいいものではありませんでした。実況動画によって未プレイユーザーの興味を惹ける反面、プレイ実況でだいたいのゲーム内容を理解するだけで満足してしまうユーザーも多かったのです。PS4の発売後、公式にゲームのシェア機能が実装されましたが、メーカーによってシェア可能なシーンが制限されるなど、どこまでゲーム実況にオープンにするかは今まさに各メーカーが模索しているところです。

その点、無料でプレイをはじめることができ、ユーザーからの課金を収益源とするスマホゲームアプリと、ゲーム実況の相性はとても良いといえます。パッケージ販売のゲームと違い、ゲームアプリの多くはサービスが継続される限り、新しい敵が現れ新しい世界が提供され続けます。どこまでゲーム実況しても、し尽くすということがありません。また、ゲーム実況を見てゲームアプリを遊び始めたユーザーは、自分の進捗度合いに合わせて、実況者のコンテンツを参考にすることが出来ます。ゲーム実況のアーカイブが、プレイヤーの伴走者のような役目をはたすのです。

まとめ

女子小学生の65%が動画共有サイトを利用、10%は毎日視聴、ボカロは学年差が大 – インターネットコム 
角川アスキー総合研究所の2014年末の調べによると、女子小学生高学年に最も人気の動画コンテンツは「ゲーム実況」となっており、この傾向は男子にはより当てはまるものと予想できます。

ゲーム実況の視聴者に占める小中学生の割合は一般的な動画に比較して有意に高いという話もきくので、金銭的に限られた自由しかない子どもたちが、無料で始められるこれらのゲームをプレイし始め、無料で見ることが出来るプレイ実況動画を参考にして楽しんでいる様子が想像できます。

非課金(もしくは微課金)プレイヤーの数の多さは、ユーザー同士の対決や協力を重視するタイプのゲームにおいて、課金を行える金銭的余裕のあるユーザーに「課金する理由」を与えます。無料ユーザーを獲得することは間接的にサービス事業者側の利益となっているのです。

[アクトゼロ/黒沼(@torukuronuma)]