金曜日のネットマーケティングレポートをお送りします。
アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。
今日も海外で話題の最新バイラル動画事例をご紹介します。
UKのドメスティックバイオレンスの被害者を支援する団体「Mankind Initiative」は5/22YouTube上に一本の動画をアップしました。動画は公開一週間で今日までに600万再生され、大きな議論を巻き起こしています。
町中の公園で、男女カップルの間にDVが起きそうになったら
公園に仕掛けられた3台の隠しカメラと男女一組の俳優(仕掛け人)によって動画は撮影されました。
公園の中、男性に腕を掴まれながらそれを振りほどこうとする女性「手を離して!」
その様子に気づいた一般人は心配そうに様子を見守ります。
男性の女性への態度はエスカレートし、徐々に詰め寄る声も大きくなっていきます。
ついに、男性はフェンスに女性を抑えこみ顔を掴んで恫喝します。
見かねた一般女性が、止めに入ります。
あっとい言う間に女性たちによって取り囲まれ、彼女を守るため仲裁が行われました。
最後には男性もその輪に入り、行動を諫めます。
ここで、動画は巻き戻り始めます。
動画冒頭から再スタートしますが、今度は男性女性の立場が逆転します。
強い口調で、女性が男性に詰め寄ります。それを察した前を歩く女性グループは苦笑いしています。
男性のかたを突き飛ばす男性。ランニング中の男性もその様子を見て笑っています。
遂に女性は男性の髪に掴みかかりフェンスに男性を追い込みます。
誰も助けにこない中、女性が男性を罵倒する声で動画は終わります。
ファクトが示されます。「ドメスティックバイオレンスの40%は男性を苦しめている」
キャンペーンコピー「#VIOLENCE IS VIOLENCE=暴力は暴力だ」が示されます。
動画製作団体のMankind Initiative は男性が女性に暴力をふるうケースについての社会認知が進む一方で、UK内ドメスティックバイオレンス被害者の40%が「男性」であるという事実を伝えています。サイトでは男女を問わないすべての「被害者」をすくう活動を行っていることが紹介されています。バイラル動画で一般的な隠し撮り映像の形を取りつつ、巻き戻しという演出で、被害者が女性であるケースと男性であるケースを並列的にみせることで、DVの社会認知に性別間のダブルスタンダードがあることを上手く見せています。動画はUK版ハフィントン・ポスト他で大きく取り上げられ、広く話題を呼びました。
YouTube上のコメント欄や、Twitter・Facebook上でも活発な議論が行われており、それら議論をとおして拡散はさらに進んでいます。Mankind Initiativeの問題提起は、広く議論と事実の認知を拡大することに成功したのです。