Ustream配信機材などを手がける家電ベンチャー企業「Cerevo」。こちらから新しい機材がリリースされました。ビデオカメラなどを接続してPCレスで映像をライブ配信できる「LiveShell」の新モデルとして、機能を向上させたモデル「LiveShell PRO」が昨日発表されました。
http://static-shell.cerevo.com/pro/ja/
これまでの「LiveShell」が480pでの配信だったのに対し、新たに720pのHD映像配信に対応。配信ビットレートも最大1.5Mbpsから10Mbpsに向上し、現実的な使用で最大限の高画質配信が可能になったのが魅力のようです。この他にも、業務用途に適した機能が盛り込まれたとか。昨日9月5日(水)、発表イベントが行われたのですが、私も実際に参加し、「LiveShell PRO」を見て確かめてきました。その様子をレポートしたく思います。
「LiveShell PRO」発表イベントの様子
記者発表会で、詳細の紹介が行われたこともあり、冒頭のほんの数分だけ軽く特徴に関するプレゼンテーションが行われた後、早速、実機の試用会となりました。
今回の機材は業務用途を意識したものということもあり、来場者は詳しい方ばかりのようで、Cerevoのスタッフの皆さんへ熱心に質問する姿が見られました。NHKも取材に来ていました。
アルミ削り出しの筐体は、LiveShellに見慣れていると、一見けっこう大きく感じますが、実際にはそれほど大型化にはなっておらず、小型ハンディーカムでも十分アクセサリシューに取り付けることができるサイズです。(背面に三脚用のネジが切られています。)
前面には液晶画面と設定用のボタン、マイク入力端子、AV OUT端子が付いています。写真には写っていませんが、表示を切り替えてオーディオメーターを表示することも可能です。音が入っているかどうか、ひと目で確認できるので配信者としては安心できる機能です。また、AV OUT端子からは専用ケーブルでコンポジット端子のあるモニター画面に配信映像を映し出すことができます。(HDMI信号もダウンコンバートされるそうです。)
背面の写真です。(少々ピントが甘いですが・・・。)手前から、HDMI入力・コンポジット入力・USB・有線LAN・電源となっています。HDMIケーブルはケーブルが抜けやすいのが難点で、これまで業務で使う際にはガムテープ等ですっぽ抜けしないように養生していましたが、LiveShell PROには抜け防止のネジ穴が切られています。
このような、ネジ付きのHDMIケーブルが、2000円程度で普通の家電量販店で売られているのだそうです。(私もこの存在は知りませんでした。)これは非常に業務ユーザーの声を反映させた、非常に素晴らしい改善点だと思いました。HDMIではなく、抜けづらいBNC端子のSDIを使いたい気持ちが強いのは業務ユーザーであれば誰でも思っていたはずです。
電源は、ACとバッテリー駆動に対応。バッテリーでは約3時間の駆動が可能です。ACケーブルを接続すれば、自動的に給電先が切り替わるので、シームレスにバッテリー交換が可能です。また、今後eneloopのような外部バッテリーにも対応予定とのことなので、電源のない屋外でもバッテリー交換が可能です。ただ、カメラ取り付け用のネジ穴の関係で、カメラに装着した状態では構造的にバッテリー交換ができないので、その予定がある際にはカメラに装着しないで運用するなど注意が必要です。
ダッシュボードの画面です。LiveShellは、設定や操作をwebアプリを介して行うことができます。これまでのLiveShellよりも細かい設定を行うことが可能です。画面のアスペクト比も設定でき、1:1の正方形画面などにトリミングして配信もできます。PROの方を購入・登録すると自動的にPRO用のダッシュボードになり、通常のLiveShellの場合だとこれまでのダッシュボードの利用になるそうです。
これらの他にも、注目すべき新しい機能として挙げられるのが、
◆給電されると自動配信開始
電源OFF状態のLiveShell PROに給電すると自動的に配信が可能。これは、定点カメラで活用できそうです。店舗の定点カメラの場合、機材に詳しくない店員しかいない場合でも運用が可能になります。また、停電の可能性が大きい場所でも運用が可能です。
◆キーロック機能
配信開始後は本体ボタンの機能を無効化し、誤操作を防止することができます。 (Dashboardからすべての操作が可能) 知らぬうちに誰かが機材を触ったり等、何らかの理由で機材が止まることは、実はUstに限らずプロの現場でも発生することがあります。事前にこうした事態を防ぐことができるのは便利な機能です。
インタビュー
最後に、Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏(上記写真)にインタビューさせて頂きました。
◆これまで、ライブ中継機材を多く発表してきましたが、「LiveShell PRO」を開発した動機は何ですか?
なかなか難しい質問ですね。笑 デジタルカメラが一般的になり、次にデジカメに求められる機能は何だろうかと考えた時、PCを介さずにそのままYouTubeなどにアップロードできる機能だったり、動画で生中継できる機能ではないかと考えました。そうした機能を持ったデジカメ「CEREVO CAM Live!」を2010年に発売しましたが、その際、ユーザーさんから「もっと良いカメラやマイクを持っているので、”CEREVO CAM Live!”に接続して使いたい」という要望を多く頂きました。こうしたユーザーさんの声や発想が「LiveShell PRO」につながっています。
◆「LiveShell PRO」のPRポイントは?
”高画質”と”低価格”です。HDの高画質でライブ配信を行う ことは技術的にもなかなか難しいのですが、ネットブックPC程度の価格の機材で簡単にHD高画質ライブ中継が安定して24時間配信が可能な点が、最もPRしたい点です。
「高画質で低価格」。確かに配信される映像は非常に高画質で、今後のライブ中継配信の品質を向上することが期待できます。また、LiveShell譲りの、簡単・手軽な操作性もさらに向上されており、また、業務ユーザーならではの改善ポイントも嬉しい点でした。
配信機材事情は「LiveShell PRO」のように充実してきた分、安定配信を実現するもう一つの要素「通信環境」も向上が望まれます。特に携帯通信キャリアなどのサービス品質の更なる向上がなされると、より、動画ライブ中継シーンが盛り上がるのではないでしょうか。
お問い合わせ先:
LiveShell Pro http://static-shell.cerevo.com/pro/ja/
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