アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。
ソーシャルメディア上での炎上事案は、これまでに相当数の前例が報じられていながら、今尚、後を絶ちません。
また、最近ではメッセージアプリ等を介した「ソーシャルいじめ」の被害が、子供たちにとって深刻な問題となっています。
今週は、こういった事案を未然に防ぐべくリリースされた、ふたつのセーフティサービスについてご紹介します。
“火種ツイート”を早期発見、鎮火する炎上防止サービス「セーフティプログラム for Twitter」
先月24日、Twitter上でのリスク投稿を有人目視により発見することのできる「セーフティプログラム for Twitter」を、株式会社ガイアックスが発表しました。
提供内容は、独自の検索システムからリストアップした該当校の在校生、会社従業員などのアカウントをモニタリングし、一投稿単位でリスクレベルや内容分析をレポーティングするというもの。
さらに、学校や企業側は“特に見守りが必要な対象”をアカウント単位で指定することができるので、不適切な投稿の更なる早期発見と、迅速な対策が可能になります。
料金プランは1アカウントにつき月額4,000円。
運営するガイアックス社は、今後1年間で学校・企業あわせて50法人を目標に、サービスの提供をおこなっていくとのこと。
“ソーシャルいじめ”から子どもを守る、メッセージ監視サービス「Filii」
エースチャイルド株式会社が提供する「Filli(フィリー)」は、炎上防止とは少し違った切り口でアカウントの監視を行います。
本サービスはSNSを中心としたネット上でのいじめ問題や、出会い系被害などから子どもを守るために、保護者を対象に開発されたもの。導入には監視対象アカウント(子ども側)の承認が必須になります。
また、プライバシーを考慮し会話の原文そのものは見られない仕組みになっているようです。
会話の内容からいじめや出会い系などに関連するキーワードを独自システムで検知し、問題があると判断された場合のみ、保護者宛にアラートで通知されます。
尚、LINEを筆頭に、カカオトーク、commといったメッセージツールから、主要SNSのFacebook、Twitterなど、5サービスに対応。
現在はβ版として、Android版のみが無料で使用可能です。
おわりに
先月中ほど、タレントのはるかぜちゃんこと春名風花さんが「完全犯罪」というタイトルで発表した、LINEいじめの実情をテーマにしたエントリーが、さまざまなネットメディア上で話題になりました。
下記は、当該エントリーを一部抜粋したものです。
ひとつのグループを作ってそこにいじめ対象を招待し、もうひとつ裏で、その子を外したグループを作り
友だちぶって会話し、その子だけに伝わらない話題で盛り上がって、その子がおろおろするのを楽しんだり
その子を観察しては、裏グループで反応を笑い合う。
これは立派ないじめなんだけど、被害者本人にもなにがどうなっているか分からないし
もし親に見られそうなど、ヤバくなれば、その裏グループごと消せばいいだけ・・・。
上記エントリーを読んで、現代のリアルないじめのかたちに、驚愕した大人も多いのではないでしょうか。
友人とのコミュニケーションの在り方が激変した今、保護者や教師の与り知らないところで、ネイティブ世代の対人関係はより陰湿なものへと進化しているようです。
また、学校という狭いコミュニティで一日の大半を過ごす学生たちに、ワールドワイドに公開されたウェブへの危機感を正しく認識させることが困難であるということは、頻発する炎上事案から明らかといえます。
無法地帯となりつつあったソーシャル上での発言に、これらのサービスが抑止力として機能することを期待する声がある一方、自らのアカウントが監視されているかもしれない事実への嫌悪感や、パーソナルなメッセージのやりとりに第三者が介入できてしまう仕様が、プライバシー侵害にあたるのではないかという懸念の声などなど…。
直近に続けて発表されたこれらのサービスに対して、ネットユーザーの声ははっきりと二分される結果となりました。
さらに、将来的にはユーザーが監視サービス適応外のツールを転々とするだけで、抜本的な解決策とはいえないとの指摘の声も多く見られました。
個人ベースでの情報のやりとりにいわば第三者とも呼べる企業が関与してくるケースは、これまであまり前例もなく、ユーザーに抵抗感なく浸透するまでにはまだ少し、時間が必要に思えます。
今後益々ソーシャル上でのコミュニケーション比重が大きくなる一方で、「監視サービス」はセンシティブなプライバシー問題との折り合いをどのようにつけ、最適化されていくべきなのでしょうか。
皆さんは、これら“ソーシャル監視”のサービスについて、どう思われますか?