とりあえず作ってみたけれど…企業のソーシャルメディア活用に未来はあるのか?

今年に入ってから企業のFacebookページの利用が急激に増えてきています。先行した企業は昨年末くらいから、そして、その流れに引っ張られるように、年明けから夏にかけて、多くの企業がFacebookページの開設を進めたからだと考えられます。

周りに流されて作ってみたけれど…というケースも多く見受けられ、ソーシャルメディアにおける、そもそもの目的や役割さえ不明瞭なまま運用されているアカウントがとても多いと思われます。

そもそも既存のWEBサイトに加えて、ソーシャルメディアのカウントを新しく持つということについて、そして、長期的な視点での運用について、今回は考えてみたいと思います。

ソーシャルメディア展開の目的や意味を明確にすること

既にWEBサイトを持っている企業がソーシャルメディアのアカウント、とりわけFacebookでの展開を行う目的とはなんなのでしょうか。
その目的として、大きく考えられるのは以下の項目だと思います。

・企業ブランディングのため
・ユーザー数が増えてきているFacebook内に企業の窓口を持たせるため
・ユーザーとのコミュニケーションを行うため(サポート・リサーチ)
・商品やサービスのプロモーションのため

などなど。

やはり、その目的を明確にすることがまずは必要で、その目的があいまいな場合、コミュニケーションはおろか、ファンの獲得さえままならないケースが殆どです。

目的を明確にして、それをきちんとユーザーに伝えること、まずは、その点をきちんと押さえなければ何も始まらないと言えます。

瞬発力ではなく継続する力を

次に運用するという面で考えてみると、ただ単に盛り上げて集客して終わりではないことを肝に銘じておくことが、ソーシャルメディアを取り組む際に重要になってきます。

ただ単にファンを獲得するという目的だけであれば、それでもいいかもしれません。しかし、獲得したファンとコミュニケーションを持つフェーズに入って初めて、ソーシャルメディアを活用する意義が出てくるものと考えられます。

そう考えると、「瞬発力」ではなく長期にわたって運用する「継続力」が重要になってくると言えます。
その「継続力」を持つためには、闇雲に担当者が取り組むのではなく、組織内にきちんとした運用のルールを作ることが不可欠です。

運用の形として、Facebook専任で担当者を配置する企業はほとんどありませんので、何らかの業務と兼務する形が多いと思われます。
始めのうちは、ファンからのコメントに小まめに対応するのですが、時間が経つにつれ対応が疎かになるケースが非常に多くなっています。
そうならないためにも、担当者の気分一つで運用するのではなく、きちんとルールを決めていくことで対応の「ムラ」を無くす必要が出てきます。

人材を確保・育てることの重要性

運用のルール化によって、情報の発信やコメントの対応の「ムラ」をなくした次に見えてくるのは、コミュニケーションの「質」の問題です。
ただ単に、「お知らせ」を発信することはソーシャルメディア上では、大した効果は生み出しません。むしろ、商売色を出しすぎることで、逆効果になってしまうこともあります。

ファンとコミュニケーションを取りながら、その対話の中で伝えたい情報を発信していくという、今までにないスキルが求められます。
一朝一夕にそういったスキルが身に付けることは難しいため、やはり、専門的なスキルを持つ人間を確保することが重要です。
もちろん、0からスタートし、社内で試行錯誤のうえ、ノウハウを蓄積しつつ、同時に人材を育てていくという方法もあります。

個人レベルでのSNS利用が日々拡大していく中で、今後一層、ソーシャルメディアにおける企業のあり方が重要になっていくことは間違いありません。今はまだ、その重要性を感じない企業がほとんどだと思いますが、専門的なコミュニケーションスキルを持った人材を確保すること、そして、育てることは非常に大きな意味を持ってきます。

短期的な視点でのソーシャルメディア展開はそろそろ終わりにして、長期的な視点で考えてみてはいかがでしょうか?