Twitter スパム 炎上

「カメリオ」スパム疑惑騒動の、一連の流れを見て思ったこと

アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。

先週頭ほどから、ちょくちょくFacebookやTwitterのタイムラインに、こんな画像が流れてきたのをご覧になった方も多いのではないでしょうか。

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上記は、株式会社白ヤギコーポレーションが今年2月下旬にリリースした、「ワードクラウド」というSNS連携ブラウザアプリで生成された画像です。
(参考画像はYahoo!ニュース 麻薬覚せい剤アカウントで作成されたものらしく、なんだか物騒な単語が並んでおりますが…)
ここ一週間ほどで一気に火が付き流行したようなので、実際に遊ばれた方も多いのでは。

※ご覧のとおり、シェアされる画像の右下には「powered by カメリオ」との表記があり、ユーザー間でのやりとりに見られる呼称も「カメリオ」となっているため、本件では「ワードクラウド」アプリを「カメリオ」として記載しております。正しくは同社が開発、提供しているニュースメディアiPhoneアプリの名称が「カメリオ」です。

ワードクラウドってなんなの?

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ワードクラウドとは、文章を分析した後に単語の大きさや配置からその文章のエッセンスをひと目で表す表現方法です。あなたのFacebook・Twitterタイムラインからワードクラウドを作りませんか?

引用:シロくも

FacebookやTwitterのアカウントとコネクトし、ユーザーが発信しているテキストから単語を抽出、一枚の画像に生成するアプリです。内容は異なりますが、生成された画像のイメージ的には、昔流行った「脳内メーカー」のような感じに近いかもしれません。本アプリを利用するにあたって、サービス側からアプリ連携が求められる仕様なのですが、本件はそのアプリ連携が発端となり、ユーザー間でちょっとした疑惑が浮上する流れになってしまいました。

「カメリオ」スパム疑惑騒動一連の流れ

アプリ連携を求める承認画面(Twitterの場合)はこんな感じです。

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許可動作として挙げられている「フォローしている人を見る、新しくフォローする」や「プロフィールを更新する」、「ツイートする」といった項目。
これらの許可項目が、最近問題となっている「アカウント乗っ取りスパム」と同一であることから、カメリオはスパムアプリなのではないか?という疑惑が浮上します。
ここ数カ月ほど、悪意あるサードパーティアプリケーションに注意喚起を呼びかけるエントリーが様々な媒体で立て続けに公開されていました(弊社でも記事にしています)。
連携アプリそのものに懐疑的なユーザーが増え始めている時期だっただけに、疑惑は一気に加速しユーザー間に拡散されていきます。

そして、一連の騒動に火をつけたのが、29日(土)に公開された「【新種】あなたのSNSアカウントを乗っ取るスパムアプリ #カメリオ に注意」というnaverまとめのエントリー(現在は当エントリーは削除されています)。
スパム“かもしれない”という憶測段階である筈が、スパムであると断定した切り口で作成されたこのエントリーは、フォロワーへの注意喚起を動機とするユーザー間で瞬く間に広がりを見せました。
まとめ内容で引用されているツイートは、スパムなのでは?という疑念の声の切り貼りに終止しており、実際にカメリオによって被害を受けたという体験談はありません。

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これを受けて、同日夜、リリース元である「シロくも」のカメリオ広報部が、公式にスパム疑惑の否定を発表する事態に。

シロくも(#カメリオ)はスパムではありません

上記エントリーでは、取り沙汰されている個人情報の流出やSNSの乗っ取りは絶対にない、と断言しており、疑惑を呼んだ許可項目についての経緯も丁寧に説明されています。

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シロくもは、ご利用者の方が作成したワードクラウドをシェアする事ができるようにするため、”Read and Write”という権限を許可して頂く必要があります。Twitterのデベロッパーアカウントでは、上記写真の3つの選択肢がありますが、それ以上細かい設定をすることが出来ないため、投稿を許可していただくと、プロフ変更の権限も同時に許可されてしまいます。白くもにはご利用者の方がシェアボタンをおした時の投稿以外の機能は搭載していませんので、ご安心下さい。

とても素早い公式対応だったとは思うのですが、一件から数日経った本日、「カメリオ」ワードをFacebook、Twitterで解析してみると、ネガポジ比は以下の通りに…。

003データセクション Insight Intelligence

結果的に「カメリオ」=「スパム」のような、アプリそのもののネガキャンのような状態になってしまい、プロモーションとしては裏目に出てしまう結果となりました。

過剰反応?情弱?飛び交う誤情報に翻弄されるユーザー

カメリオサイドのリリースから数時間は、まとめ記事と公式記事のリツイートが入り乱れ、Twitterはカオス状態に。
結局どっちなの?と困惑するユーザーの声が多数見られたほか、「のっとりスパム」という恐ろしい言葉が一人歩きしてしまったせいで、いたずらにユーザーが怖がりすぎてしまったことへの批判の声も見られました。
また、ネイバーまとめによる注意喚起のコンテンツはあっという間に拡散したのに比較して、公式発表の拡散はだいぶ時間がかかったように思えます。

もちろん、件のまとめ記事に、はじめから懐疑的なユーザーも存在しました。
根拠のないスパム断定記事と、それらに“釣られ”たユーザーを情弱と指摘する声は、公式からのスパム否定発表直後から急激にボリュームを上げ、日付が変わっても尚じわじわとTLに広まりを見せていました。

明確な根拠もないままスパム認定し、あたかも真実であるかのようなまとめを作成してしまったまとめ制作者が、きわめて早計であったことは否めません。
開発された方の心境を思うとなんとも複雑な心境になりますし、確証もないまま大声で危険だけ吹聴するのも無責任な話です。
しかし、恐ろしげなエントリーに惑わされ、良かれと思ってそれを拡散してしまったユーザーを情弱と笑うのも、個人的にはなんだかなあ、という思いもあります…。
一個人の発信情報を唯一の論拠とし、たった数時間でひとつのサービスの信頼を貶めることができてしまうSNSの情報力に、改めていろいろと考えさせられる一件でした。

SNSの利用において、より強いリスクヘッジの意識が問われる時代になりました。
特にソーシャルにコネクトさせる様々なサービス、アプリケーションの本質には、慎重になりすぎるに越したことはない、というのが持論です。
私は、こういった面白系アプリ(診断とか○○メーカーとか)は、Facebook、Twitterともに遊んだら即連携解除してしまうようにしていますが、みなさんはどうされていますか?

悪意ある連携アプリの蔓延にユーザーが疑心暗鬼になっているこんな時期だからこそ、利用するサービスの本質を慎重に見極め、自らが発信する情報の正確性には、個々がしっかりと責任を持っていきたいですね。