カラ鉄バイトさんのツイートがTwitterを活用したO2O手法のお手本じみてる件

 アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。

先週末、ついっぷるトレンドでリツイートランキング一位に浮上していた、とあるアルバイト女性のツイートからとても面白い動向が見られたので、ご紹介します。

バズりまくった室料半額クーポンのバラ撒きツイート

事の発端は3月8日23時半に投下されたこちらのツイート。(一般の方の為、IDなどは伏せております)

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カラオケの鉄人で使用できる、室料50%OFFのクーポン券のバラ撒きです。
これ、思いっきり「従業員 ご家族・ご友人ご優待券」って書いてあるけど大丈夫なんだろうか…と心配になるも、店長さんの許可はちゃんと取られている様子。
リツイート、ふぁぼは瞬く間に伸びまくり、あっという間に二万リツイートを突破。
急激な伸び数からリツイートランキングに一気に浮上し、そこから更にユーザーの流入が起こり…と、バズの理想的なサイクルに突入しました。

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ソーシャル解析ツールで「カラ鉄」ワードで呟くユーザー数の遷移を見てみても、3/9だけ鋭角に突出しているのがよくわかります。

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ソーシャルメディア分析ツールInsight Intelligence

クーポンそのものの価値が拡散力を持っていたことは勿論ですが、本ツイートがここまでバズったのはそれだけに起因するものではありません。
上記のアルバイト女性の呟きは、TwitterをはじめとするSNSでユーザーを引き付けるために必要な仕掛けがふんだんに盛り込まれた、お手本のような投稿文なのです。

01.文頭のフック

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本題に入る前にさらっと一言「室料半額!」と前置きをされています。
アイキャッチとなる最初の数文字が目を引くか引かないかは、エンゲージメント率に直結する非常に重要な課題です。
「室料半額!」と前置きがあることでユーザーは初めて目を留め、以降の内容をきちんと取り込もうとする意志を持ちます。

02.共感されやすい、ライトな切り口

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ココの下りを対話形式にしたのもテクニックだなあと思います。「Twitterで撒いていい?って店長に聞いたらOKもらえた」の一文で済んでしまう簡単な内容ですが、見せ方ひとつでちょっと面白いやり取りを垣間見たような印象になりますよね。

03.そして、ちょっぴりの毒(媒体がtwitterなら特に効果的)

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今回のキモはココです。
「お得なクーポンでぜひ当店にいらして下さいね」ではなく、「裏ルート(?)で流したクーポンを全国で使ってやれ!」と、『スタッフの謀反』という切り口になっています。
実際にはカラオケの鉄人本社監修のもの発券されているものなので謀反でもなんでもないのですが…ユーザーの悪戯心をちょっとわくわくさせるような、ついフォロワーに共有したくなってしまうような、そんなわずかな毒を含んでいます。

書き方によっては単なるクーポンの周知に留まってしまう筈の内容ですが…本件はTwitterでリツイートを伸ばすコツをおさえた「コアユーザーならではのテクニック」が光る、面白いテストケースだったのではないでしょうか。

さらに。ソーシャルはフォロワー数だけがすべてじゃない。

ところでこの一件で、カラオケの鉄人の本アカウントはなにか動いているんだろうか…と気になって、見に行ってみました。(特に本件についてはノータッチでした)
こちらのアカウントでもクーポン訴求はされているようでしたが、ファンの反応はというと…

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リツイート、ふぁぼともにゼロでした…。
バイトさんのツイートはあんなに盛り上がっていたというのに…。
定型文での投稿ではなく、都度言い回しなどに変化を付けて丁寧に運用されている印象でしたが、反応率としては奮っていない様子。

ちなみに、カラオケの鉄人公式アカウントと、先程のアルバイト女性のアカウント、各々が抱えるフォロワー数の対比はこんな感じです。

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数字だけ見てもお分かり頂けるとおり、Twitterやその他SNSでの情報拡散のちからは、必ずしもフォロワー数に依存するものではないということがよくわかります。例えばこのアルバイトさんのツイートと同じクーポンの訴求を公式アカウントがさらっと紹介したとしても、20,000件を越える拡散は見込めなかったのではないかと思います。

以前Youtubeチャンネル登録数国内No.1!SonyやGoogleを超える日本企業とは…?という記事のなかで、チャンネル登録数国内TOPのwacomのYoutubeチャンネル運用について触れたとおり、ソーシャルでユーザーに選ばれ、有益で面白い情報として認知されるためには、各SNS毎に細かくカスタマイズした切り口での訴求が必要になってきます。Youtubeであれば、映像作品としてユーザーが面白いと感じるための工夫が登録数に結び付きますし、Twitterであればちょっとした伝え方の「捻り」や、コアユーザー層に刺さる言い回しをチョイスしてあげるだけで、ときに爆発的にバイラルしたりするのです。

本件のやりとりのなかには、当日にカラ鉄を利用したというツイートがぽろぽろと散見されるほか、「近々友達と行きます!」といったリプライも、クーポンツイート宛に数多く寄せられていました。情報の拡散に成功するだけでなく、しっかりとO2Oとして成立しています。キャンペーンの内容に頭を悩ませたりプロモーションに必死になったりすることなく、たった一言つぶやくだけで…。

最後に

いかがでしたか?なんだかばかばかしい分析でしたでしょうか。
ですが、ソーシャルメディアはもともと、企業がプロモーションに使うものではなく、ユーザー同士のコミュニケーションツールとして誕生したサービスです。
日頃各サービスを頻繁に利用し、慣れ親しんで使いこなしている一般ユーザーの「上手な楽しみ方」にフォーカスしていくことが、問題解決への小さなタネになるのでは?と、私は考えています。

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店長もお喜びのようです。