アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。
クレジットカードの利用明細や、ATMの支出記録、月々の給与明細などなど…
私たちの日常的な消費数値は、ほぼ電子化プラットフォームの整備が整いつつある世の中です。
そんななか、根強く紙文化を貫き続けてきたレシートが、そう遠くない将来ついにペーパーレス化するかもしれません。
今月22日、宮城県仙台市のみやぎ生活協同組合が、電子レシートサービスへの取り組みを実験的にスタートしたことを発表しました。
サービス名は「SMART RECEIPT(スマート レシート)」。
現在は本格導入にむけ、21店舗で実証実験を行っているとのこと。
実証実験の期間は、1月22日~3月25日までです。
スマートレシートってどういう風に使うの?
まず、本サービスを利用するにあたっては「みやぎ生協」の組合員であることが大前提です。
更に、スマホユーザーである必要があります(ガラケーは非対応)
みやぎ生協組合員は自身のスマホから利用登録、及び専用のアプリをインストール。
あとは、会計時にみやぎ生協のメンバーカードを提示するだけです。
みやぎ生協は、スマートレシートを利用する利点として、以下を挙げています。
デジタルレシートの利点と、今後の課題点
5万8000店舗と提携してポイントを管理できるTカードやnanako、waon、pontaをはじめ、Suicaやpasmoなど交通機関においても広く浸透した電子マネー文化。
そして、消費者の傾向をデータベースに蓄積して分析するマーケティング手法も、近年では当たり前のように大多数の企業が取り入れ、活用しています。
改めて考えてみると、確かに紙のレシートの存在は、そんな電子化の進んだ現代において前時代的なものでした。
「スマートレシート」は単純にお財布のなかでかさばらなくなるだけではありません。
連携アプリで家計簿化が容易になったり、レシート裏などに印字されているキャンペーン、クーポンなどの使いそびれが激減したり…現金での支払い管理は、これまで以上に「スマート」になるでしょう。
ご自身で確定申告を行う、フリーランスや個人事業主の方にとっても嬉しいサービスですね。
勿論消費者だけでなく、企業側にもメリットがあります。
当然のことながら、これまでかかっていた紙コストも削減できますし、ビッグデータともいえる売上データを上手に読み解けば、効果的なキャンペーン施策を打ちやすくなるだろうといわれているようです。
いいことづくめのデジタルレシートですが、なぜ今まで実現化されず、大手企業が二の足を踏んでいたのか。
完全導入への課題、懸念としては、連携アプリの超細分化と、会員番号に紐づけられたクローズドな管理仕様が挙げられます。
例えばコンビニひとつとって考えてみても、各ブランド毎に専用アプリが必要、なんてことになってくると逆にものすごくややこしいことになりますね。
セブンイレブンでしかものを買わない!ってこだわりのある人はまずいないと思えるので、買い物をするたびにファミマ、ローソン、ampm…とアプリをインストールするのはさすがにちょっと…。
とはいえ、企業の垣根を越えて、購入データが一括管理されるというのも現実的とはいえません。
小売りとは独立した、クレジットカード会社のような「レシート管理会社」が別途中間管理を行わない以上は、様々な問題が生じてきそうです。
また、ある程度は仕方ないことだとは分かりつつ…事前登録必須のシステムは、老若男女に広く普及させるうえで、一つの大きな壁になってきます。
電池ひとつ買うだけのために、会員登録が必要であれば私ならきっと登録しません…。
そのほか、本件のソーシャルメディア上でのユーザーリアクションのなかには、印字でないデータ金額改竄の容易さを指摘するユーザーも見受けられました。
上記の課題点だけとってみても、紙のレシートが完全に世の中から姿を消す時代は、まだまだ先になりそうです。
しかし、デジタルレシート管理のオープンプラットフォーム化が実現すれば、これからのお買いもの事情がまたひとつ、おおきく変わったものになるでしょう。