お盆を迎え、夏真っ盛りですね。この季節、全国の至る地方で”祭”が行われていると思いますが、その様子をUstreamで中継する試みが沢山行われています。Ustream公式サイトでも「花火&夏祭り2011特集」の特設ページが設けられ、全国各地の祭のUstreamの窓口となっています。
8/15(月)23時現在、徳島の阿波おどりの96時間Ust中継が行われています。(マルチビューによって、複数地点からの中継を切り替えながら視聴できるのが楽しいですね。
「夏と言ったら、祭りに花火!各地から生中継満載!」 http://www.ustream.tv/matsuri
Ustreamは誰でも中継できる”チャンネル”だけど・・・
Ustream中継には大きく分けて、2通りのスタイルがあると思います。
◆コンテンツ制作ありきのUst = Ustream中継のために番組を企画/構成して放送する
◆イベントありきのUst = もとから行われるイベントをUstreamで中継する
祭のUstream中継は後者であり、もともと大勢の観客を動員するほどの魅力あるイベントのため、はるかにゼロから作り出す必要のある前者と比べ、圧倒的に容易に多くの視聴者数を見込められる、良質なUstのネタであるといえます。
祭の担い手側からすれば、地元の祭の魅力をネットを介して、全国・全世界へ動画で発信することは、地域の活性化やPR、次回以降の来場を促す手段として、非常に有効であると考えた結果、Ustreamの取り組みがあちこちの祭で行われているのではないでしょうか。
しかし、残念ながら、Ustreamというプラットフォームをただの”テレビのチャンネル”として捉え、動画生中継を行うだけで終わらせている「勿体無い」中継が多いように感じます。折角、魅力があり、多数の視聴者数を叩き出している中継なのに。
事例:長岡まつり大花火大会中継
先日、8月2日・3日に、日本三大花火大会の一つである「長岡まつり大花火大会」の様子がUstream中継されました。地元のネットワーク企業とコミュニティーFM局が、昨年からこの中継の取り組みを開始して大好評を博し、今年は公式に格上げされました。
http://www.ustream.tv/channel/nagaokahanabi
このUstream中継は、実況中継が非常にクォリティーが高く、評判のひとつの要因となっています。さすがラジオ局のプロのアナウンサーによる安定した実況に加え、地元の博物館の館長さんが非常に花火に詳しく、落ち着いたディープな薀蓄を語って番組は進行していきます。
2日間で最終的に公式・非公式併せて、この花火大会のUstreamを視聴した人数はのべ約15.8万人、最大同時視聴者数は公式チャンネルで11032に達しました。元からあった花火大会の認知度の高さもあると思いますが、この数字はなかなか驚異的な視聴者数の多さだと思います。
対して、Ustrema中継公式のFacebookページのファン数はたった138人。長岡まつり関連のFacebookページが複数に渡っていますが、それらを全て足しても400人足らずです。
中継内容のファンを囲い込んでコミュニティー作りが肝
Ustreamの視聴ページは、ご承知の通り、掲載できる情報に限りがあります。また、中継が終われば視聴者はそのまま解散といった雰囲気が漂い、余程、記憶や印象に残った配信で無い限り、次回の視聴には結びつきづらいものではないでしょうか。
Ustream中継はソーシャルメディアとの連携を意識して企画すべきだと私は考えています。視聴者を中継内容のファンとして定着・囲い込みをするために、とりわけFacebookページによるファンのための”受け皿”を準備し、Ustream中継中にツイートを紹介する等といった視聴者とのコミュニケーションは勿論、中継の事前の盛り上げと、事後のフォローにも力を注ぐべきだと思います。Ustreamの中継が一過性のものと捕らわれがちなのは、Ustream中継の内容ばかりに主眼が置かれ、本来もっと連動すべきソーシャルメディアの施策がなされていないからなのではないでしょうか。
事例の花火大会の例であれば、視聴者数の例えば3%がFacebookページを訪れるなり、もしくはどこかで「いいね」ボタンを押させることができれば、4500人ものファンが居るコミュニティーを作れる可能性があります。これだけのファンを抱えれば、次回のイベントや中継での更なる盛り上がりが見込めるだけでなく、「花火大会」「夏」といったセグメントされたキーワードによる嗜好で集まったコミュニティーで、属性情報も取れるFacebookであれば、その後のマネタイズもいろいろ考えられるのはないでしょうか。
Photo by i.am.leon