先週末、面白い(と言ったら失礼かもしれません…)ニュースが発表されました。
そのニュースとは、佐賀県武雄市の公式サイトをFacebookに完全に移行するというもので、市民とのコミュニケーションの場として活用していくという方針を掲げているようです。
8月1日から完全移行ということで、ソーシャル化される行政サービスについて、そして、WEBサイトとFacebookページとの関係性について考えてみようと思います。
公式サイトは既に無くなって…
Googleで「佐賀県武雄市」を検索すると「佐賀県武雄市:トップページ(http://www.city.takeo.lg.jp/)」がトップに表示されます。
ただ、このリンクをクリックしてもすでに公式サイトはなく、Facebookページ「武雄市役所」へリダイレクトされるようになっています。
で、どういったコンテンツがあるのかを見てみると、そのメニューが非常に多い!
ウォールや基本情報といった外せない機能を含め、全部で20項目あります。
行政のWEBサイトはその性質上、細かな情報がメインのコンテンツであり、このFacebookページもそういった内容を踏襲しています。
そのため、個人的な第一印象は、「すごく詰め込まれてる…」というもので、恐らくこのボリューム感は日本のFacebookページの中でもトップクラスと言えるでしょう。
結構窮屈な中身
詰め込まれているという印象は決して大げさではなく、例えば「市役所からのお知らせ」を見てみると、かなり窮屈に押し込められています…。
そして、縦スクロールがすごいです。
これは、Facebookの仕様ではあるのですが、実際に使用できるエリアが、左のメニューエリアと右の広告エリアに挟まれた真ん中のエリアに限定されるため、自由に使用できる領域が少ないのです。
そのため、1ページあたりの情報量を増やそうとすると、縦に伸ばすしかなくなってしまいます。その結果、かなり窮屈で縦に長いページになってしまっていると考えられます。
観光情報等はページ内にボタンを設け情報を整理していますが、やはり横幅の窮屈さは変わりませんので、やはりこちらも、かなり詰め込まれている印象を持ってしまいます。
市民とのコミュニケーションの場としての活用は理解できるが
ITメディアの記事によると市長の意向が大きく、市職員や市民とのコミュニケーションを活発にする狙いがあるとのこと。
Facebookの日本における登録者数は置いておいたとして、そういった面でのコミュニケーションの場として、Facebookは非常に有効な手段だと思われます。
ただ、既存のWEBサイトを完全に移行するという点に関しては、正直疑問に思うところがあります。
大きなところでは、Facebookページが既存のWEBサイトを完全に互換できるか否かという点。
Facebookページと既存のWEBサイトでは、その役割が違うのではないかと思っています。
Facebookページは、ウォールでの情報発信の速報性やその共有やコミュニケーションの形成といった点で大きな役割を担っていると言えます。それは、すでにFacebookアカウントを持っている人に向けて、あるいは既にある地域の方々の繋がりの中に、新しい接点を築いていくことだと考えられます。
これは記事の中でも言及されているように、Facebookというサービスの中に内包されてしまう危うさについては、何度も議論されてきたようです。
逆に、WEBサイトはFacebookアカウントなんかとは関係なく、インターネットを利用できる環境があれば、誰でも利用することが可能です。
また、ある特定のサービス内に設けるのではなく独自に構築することになるため、外的要因によるリスクは非常に低いと言えるでしょう。
例えば、市内に人が集まっているショッピングモールに市役所の分室を置いて、市民の声を集めてコミュニケーションの場として活用しようとしたとします。
そこに市役所と同じ機能を持たせることができれば、市役所の本庁舎の窓口を廃止して、ショッピングモールの分室のみにしてしまおうという流れに近いと感じてしまいます。
そもそも、本質的に違いがある一般のWEBサイトとソーシャルメディアを、完全に一本化する面でのデメリットは小さくないように思います。
今回の大きな目的である、市民とのコミュニケーションに関して言えば、参加できる資格を持つという点で、Facebookアカウントを持っている人に限定されます。
また、前項で述べた情報へのナビゲーションの不自由さについても、大きなデメリットの一つであると思います。
今回ご紹介した佐賀県武雄市のFacebookページ。地方自治体におけるソーシャルメディアの活用は、まだまだ始まったばかりです。ちょっと辛口な意見を述べてしまいましたが、市民が気軽に参加できる場ができることは、非常に重要なことです。
市民が気軽に発言することができる、ソーシャルメディアだからこそできる新しい行政サービスが、今後ますます増えていくのではないかと思います。