木曜日のプランナーズブログ、アクトゼロの山田がお送りします。
今回は、少し前の事例にはなるのですが、中々面白いアイデアで展開された海外プロモーション事例をご紹介しつつ、その事例を元に最近多いステマ騒動を未然に回避するためのポイントを考えてみました。
IKEAさん!うちの近所にお店を作って!
ここ日本でも徐々に店舗数が増えてきている、家具の小売りチェーン「IKEA」。
北欧の企業として有名ですが、日本では、首都圏や関西、九州エリアで店舗を展開しています。
デザインの優れた家具を低価格で販売していることから、若い世代に大人気のインテリアショップです。
出店地域外に住む方は、「うちの近所にできればいいのになぁ」と思っているのではないでしょうか。
それは、日本人だけではなく、外国の方も同じようで・・・。
まずは、このFacebookページをご覧ください。
1人の女性が、IKEAの看板や店内で撮った写真をFacebookで展開しています。
英語ならまだしも、ポルトガル語での投稿のため、何が何やらよく分かりません。
ただ、最後の投稿ではハイテンションでIKEAを去っているように見えます。
ここでもうひとつ、Youtubeの動画を見てみましょう。
おお、英語の字幕が付いています。
これなら何となく理解できますね!
このYoutube動画とFacebookページを照らし合わせてみると、この女性が何をしたかったのかが見えてきました。
要約するとこのような話のようです。(意訳)
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主役の女性はポルトガルはマデイラ島の住人で、リスボンにはIKEAができたのですが、彼女の住む島にはIKEAはありません。
もしマデイラ島にIKEAが来ないのであれば、来るまでリスボン(ポルトガル)のIKEAに立てこもってやる!!!!と固く決意します。
その籠城期間は15日間にも及び、Facebookページでもその様子が投稿されています。
そして、彼女が発信する「マデイラ島にIKEAが欲しいの!」という思いは世界中に広がっていくのです。
そんな思いが通じてか…ついに彼女が勝利をおさめるに至ります。あまりの嬉しさに、思わず涙ぐむ彼女・・・。
結果的には、実店舗のオープンには至りませんでしたが、IKEAのオンラインストアができたことによって、マデイラ島でIKEAの商品を購入できるようになりました。
めでたしめでたし。…か?
「ステマ」と言われ炎上しないためには
もう多くのみなさんはお気付きだと思いますが、これは実話ではなく仕込まれた“ネタ”なのです。
IKEAが開設したオンラインストアのプロモーションの一環で、IKEAの無い地域でも商品が買えることを伝えるものです。
パッと見では、一般人を装ったIKEAの宣伝をしているため、最近流行り(!?)の“ステマ(ステルスマーケティング)”と思われてしまうかもしれません。
ただ、このIKEAのケースでは、ステマに徹するというよりは、いくつかの要素をちりばめることでエンタメ感やネタ感の方を前面に出しています。
その要素が、「ステマ」としての炎上を未然に防ぐ役割を担っています。
例えば、“突っ込みどころを作る”という要素です。
普通、IKEAに15日間も女性が立てこもっていたら、警察に通報して強制的に退去させられますよね。
投稿を見る限り、寝泊まりしているようですし…。ネタだからできることです。
また、Youtube動画のクオリティの高さも挙げられます。
アマチュアでも本格的な動画を作る方もいらっしゃいますが、使っているイラストや編集など、女性がひとりで作るにはとても良くできていますね。
そして、何よりも15日間でオンラインショップを開設するのは無理がある…。
「そんなことできるわけないじゃん」「そんなばかな!」という要素を取り入れることによって、多くの消費者に“ネタ”として受け取ってもらうことができます。
ただ、なかなか面白いアイデア(取り組み)ではあるのですが、ふとFacebookページの「いいね!」数を見てみると、わずか300強…。Facebookのタイムラインを見る限り、お世辞にも盛り上がったとは言えないようです。
このようなプロモーションを見て感じたのが、本気でやると“ステマ”というレッテルを張られて「炎上」してしまいそうな内容を、力を抜いてパロディにすることによって、ポジティブな広がりを生み出せるかもしれないということです。
ただ、今回のケースでは、ソーシャルメディア上で大爆発…とはいかなかったため、あくまでも想像の域をでませんが・・・。今回のケースでは、“ネタ”の提供に加え、パンチのある“煽り”を入れていれば、もしかしたら盛り上がったかもしれませんね。
Queremos a IKEA na Madeira Já !
アクトゼロ / 山田佳祐