新海誠短編アニメーション「だれかのまなざし」が野村不動産のYouTubeチャンネルで無料公開される理由

金曜日のソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

dareka

今週9日、アニメーション監督新海誠の短編アニメーション「だれかのまなざし」が野村不動産の運営するYoutubeチャンネル「PROUD CHANNEL」上で無料公開されました。まずはどうぞご覧ください。

この作品は、野村不動産の主催するイベント『プラウドボックス感謝祭』などで公開されたもので、その後同監督の劇場版長編アニメーション「言の葉の庭」と同時上映されました。DVDでセルアウトされていないことから、今の時点でこの作品を見ることができるのは「PROUD CHANNEL」上だけです。今日は野村不動産のYouTubeチャンネル運用を中心にお送りします。

「だれかのまなざし」YouTube無料公開の反響

公開依頼Twitter上では視聴したファンの感想が続々とツイートされています。

ここひと月の「だれかのまなざし」への言及ツイート数推移グラフです。

topsy

YouTube公開後はじめて目にしたファンも多く、反応も上々です。YouTube上の該当動画の再生回数は、現時点で30万再生を数えています。「だれかのまなざし」の言及ツイート数もうなぎのぼりで、言及ツイートは早くも10,000ツイートを超えました。(※TOPSY調べ)

netolab

ネットメディアでも多くこのニュースが取り上げられており、「ITmediaねとらぼ」「ロケットニュース24」「GIGAZINE」やその他2ちゃんまとめサイトなどでも数多く言及されています。再生数以上の露出効果があったと思われます。

野村不動産の意欲的なYouTubeチャンネル運用

【公式】プラウドチャンネル---YouTube

野村不動産は分譲マンション/分譲一戸建てブランド「PROUD」の名前でYouTubeチャンネルを運営しています。TVCMのアーカイブ的な運用で終わってしまう企業が多い中、PROUD CHANNELでは、CMで音楽を担当した葉加瀬太郎やゴスペラーズなどへのインタビュー動画や、BS-TBSで放送中の自社提供ミニ番組「ONE×TIME 建築の記憶」をそのまま公開するなど、独自コンテンツの制作にも意欲的に取り組んでいます。

その内容は「上質で豊か」なブランドイメージ訴求が中心でしたが、今回のオリジナルアニメーション制作では、実際に「住まう人たちの日常のドラマ」へとぐっと視点を変えたチャレンジだと言えます。「だれかのまなざし」は舞台こそPROUDの建築物ですが、そこで描かれるストーリーはありふれているけれど、情感豊かなものなのです。

アニメーションと言う手法を、プロモーションの一環として用いるケースもここ数年で多く見られる流行です。印象的なものとしては、2013年1月に公開されたメルセデス・ベンツの「NEXT A-CLASS」というショートアニメーションコンテンツが挙げられます。伝統的なあまり、車に興味のない層には「金持ちオヤジの乗る車」と認識されることもあったメルセデス・ベンツが、A-classという新しいコンパクトカーでユーザー層を開拓するために用意されたコンテンツでした。

「2010年3月11日から16日調査」garbagenews.netより

「2010年3月11日から16日ドゥ・ハウスによる調査」garbagenews.netより

2010年のデータとなりますが「現在放映中のテレビアニメを何本視聴しているか」についての調査結果です。40代までの男女で半数近い割合がアニメーションを日常的に視聴しているということがわかります。当たり前に視聴されているにも関わらず、プロモーションのためにオリジナルアニメが用意されることが少ないため、提供できれば大きな話題を集めることができるのです。制作チームが著名であればなおさらです。

まとめ

まとめです。ここまでの情報から野村不動産が「PROUD CHANNEL」で、新海誠のオリジナル短編アニメーションを公開するわけが大きくふたつ読み取れます。

ひとつは、住宅購入を検討する中心層20代~30代への新しいコミュニケーション手法として、「オリジナルアニメーションの制作」を選んだということ。もうひとつは、動画視聴スタイルがテレビからインターネットへと移りつつあることを受けて、テレビなどマスメディアへの露出だけではカバーしきれない層へのアプローチ手段として、「YouTube公式チャンネルの運用」へと力を入れているということです。

結果として、その試みはソーシャル上でも広く話題を呼びました。生まれては消えていく「ただの広告物」から、「作品」として多くのファンの心に残ることで、野村不動産のブランドに「家族に寄り添うすまいづくり」という意味合いをもたせつづけていくのです。

アクトゼロではYouTubeの企業公式チャンネル運用のプランニングを行っております。
お気軽にお問い合わせください。