金曜日のソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。
今週9日、アニメーション監督新海誠の短編アニメーション「だれかのまなざし」が野村不動産の運営するYoutubeチャンネル「PROUD CHANNEL」上で無料公開されました。まずはどうぞご覧ください。
この作品は、野村不動産の主催するイベント『プラウドボックス感謝祭』などで公開されたもので、その後同監督の劇場版長編アニメーション「言の葉の庭」と同時上映されました。DVDでセルアウトされていないことから、今の時点でこの作品を見ることができるのは「PROUD CHANNEL」上だけです。今日は野村不動産のYouTubeチャンネル運用を中心にお送りします。
「だれかのまなざし」YouTube無料公開の反響
公開依頼Twitter上では視聴したファンの感想が続々とツイートされています。
今朝、ZIで紹介されてた、「だれかのまなざし」って」いう動画感動した…泣いた…(ノД`)・゜・。 YouTubeで見れるから検索してみてくれ…涙ってこんなに簡単に出るものなんだね…
— 海のしろくまはテスト前ツイ減を知らない (@sea_kumakuma) September 12, 2013
今日の朝テレビで紹介してた「だれかのまなざし」っていう7分間のアニメがすごく良い! 気づけば涙流してた。 とても優しい7分間でした!
— (´・ε´・.)o彡Van)Д`) (@Vansan2009) September 12, 2013
それぞれ皆様、泣き所があるようですね(^^)”@Empty_Stone: @suzuki_mi_ho_ 一度観ただけではもの足りず、5回程だれかのまなざしを観に行きましたが、改めてYouTubeで観ると、あーちゃんの空港での決意のシーンにグッと込み上げてくるものがあります…略
— 鈴木海帆@絵仕事 (@suzuki_mi_ho_) September 12, 2013
正直俺は、言の葉よりもこっちの方がはるかに”期待していた深海監督”でした…。5センチメートルより進んだ、6分40秒。新海誠監督の短編アニメ『だれかのまなざし』がYouTubeで全編公開 : Kotaku JAPAN http://t.co/ACqW0DQdI9
— 宮下くんつむじ9/22KAIJU対策会議 (@tsumujipiano) September 12, 2013
ここひと月の「だれかのまなざし」への言及ツイート数推移グラフです。
YouTube公開後はじめて目にしたファンも多く、反応も上々です。YouTube上の該当動画の再生回数は、現時点で30万再生を数えています。「だれかのまなざし」の言及ツイート数もうなぎのぼりで、言及ツイートは早くも10,000ツイートを超えました。(※TOPSY調べ)
ネットメディアでも多くこのニュースが取り上げられており、「ITmedia/ねとらぼ」「ロケットニュース24」「GIGAZINE」やその他2ちゃんまとめサイトなどでも数多く言及されています。再生数以上の露出効果があったと思われます。
野村不動産の意欲的なYouTubeチャンネル運用
野村不動産は分譲マンション/分譲一戸建てブランド「PROUD」の名前でYouTubeチャンネルを運営しています。TVCMのアーカイブ的な運用で終わってしまう企業が多い中、PROUD CHANNELでは、CMで音楽を担当した葉加瀬太郎やゴスペラーズなどへのインタビュー動画や、BS-TBSで放送中の自社提供ミニ番組「ONE×TIME 建築の記憶」をそのまま公開するなど、独自コンテンツの制作にも意欲的に取り組んでいます。
その内容は「上質で豊か」なブランドイメージ訴求が中心でしたが、今回のオリジナルアニメーション制作では、実際に「住まう人たちの日常のドラマ」へとぐっと視点を変えたチャレンジだと言えます。「だれかのまなざし」は舞台こそPROUDの建築物ですが、そこで描かれるストーリーはありふれているけれど、情感豊かなものなのです。
アニメーションと言う手法を、プロモーションの一環として用いるケースもここ数年で多く見られる流行です。印象的なものとしては、2013年1月に公開されたメルセデス・ベンツの「NEXT A-CLASS」というショートアニメーションコンテンツが挙げられます。伝統的なあまり、車に興味のない層には「金持ちオヤジの乗る車」と認識されることもあったメルセデス・ベンツが、A-classという新しいコンパクトカーでユーザー層を開拓するために用意されたコンテンツでした。
2010年のデータとなりますが「現在放映中のテレビアニメを何本視聴しているか」についての調査結果です。40代までの男女で半数近い割合がアニメーションを日常的に視聴しているということがわかります。当たり前に視聴されているにも関わらず、プロモーションのためにオリジナルアニメが用意されることが少ないため、提供できれば大きな話題を集めることができるのです。制作チームが著名であればなおさらです。
まとめ
まとめです。ここまでの情報から野村不動産が「PROUD CHANNEL」で、新海誠のオリジナル短編アニメーションを公開するわけが大きくふたつ読み取れます。
ひとつは、住宅購入を検討する中心層20代~30代への新しいコミュニケーション手法として、「オリジナルアニメーションの制作」を選んだということ。もうひとつは、動画視聴スタイルがテレビからインターネットへと移りつつあることを受けて、テレビなどマスメディアへの露出だけではカバーしきれない層へのアプローチ手段として、「YouTube公式チャンネルの運用」へと力を入れているということです。
結果として、その試みはソーシャル上でも広く話題を呼びました。生まれては消えていく「ただの広告物」から、「作品」として多くのファンの心に残ることで、野村不動産のブランドに「家族に寄り添うすまいづくり」という意味合いをもたせつづけていくのです。