週の真ん中、水曜日のソーシャルメディアインサイト、アクトゼロの山田がお送りします。
みなさん、テレビはご覧になっていますか?
個人的には昔ほどは見なくはなりましたが、まだまだ影響力は大きく、依然、重要なメディアであることは間違いないと思っています。
しかし、若年層の間では、1日に占めるメディアの接触時間に大きな変化が出てきています。
(参考:株式会社博報堂DYメディアパートナーズ「メディア定点調査2013」)
テレビを見る時間に代わり、スマートフォンなどでYouTube等のWeb動画を閲覧したり、TwitterやFacebook等のSNSを利用したり、時間の過ごし方が大きく変わってきています。
そうした接触するメディアが大きく変わりつつある現在、Facebookが動画広告を準備中というニュースが、いろいろなメディアで取り上げられています。
今回は、そのFacebook動画広告を取り上げて、来るべきSNSにおける動画広告時代に備えておきたいと思います。
Facebookが導入を検討している動画広告
すでに多くのニュースメディアに取り上げられているように、現在Facebookでは動画を活用した広告の導入に向けて準備を進めています。
Facebookの広告メニューといえば、PC閲覧した時に右側に表示される一般的な広告を始めとして、Facebookページへの友達の「いいね!」を軸としたスポンサー記事などを、多くの企業が活用しています。
また、各Facebookページの投稿を多く人に届けるための「投稿の宣伝」といったFacebookページの宣伝だけに留まらないメニューも追加されてきました。
そして、最近はスマートフォンへのアプリインストールを促すための「アプリインストール広告」というものもあり、ニュースフィード上で目にする機会が増えています。
そんな中、今回の動画広告は今までとは全く違う広告の形として、話題となっています。
今までと大きく違うポイントは、実施できる企業が限られてしまう点になります。
これまでの広告は、わずか数百円から出稿できることから、小さなお店や中小企業でも気軽に活用することができました。
しかし、今回導入準備中の動画広告は、様々なニュースで流れている内容を総合すると、100万~250万ドル(1億~2億5千万円)になると言われています。
これは、動画を流す広告枠を1日買った場合の費用で、ターゲットとする人数によって変動するようです。
この金額感から言って、当然ながらそれを支払うことができる広告予算を持っている企業に限定されてしまいます。実際にリリースされたとして、いわゆる大手と言われる企業でしか実施は難しいと言わざるを得ません。
拡大するFacebookのユーザー規模は、もはや“マス”
この転換の理由として考えられるのが、まずは全世界で11億人とも言われるFacebookのユーザー数でしょう。
欧米だけにとどまらず、日本やインドネシアといったアジア地域において、圧倒的多数のユーザーを抱えています。
複数の広告枠を細かく切り売りする回転率を重視した広告モデルに加え、ユーザーを“マス”と捉えた広告モデルを立ち上げたい思惑があるのは間違いなさそうです。言い換えると、企業がテレビCMに割く予算を、Facebookへの出稿予算へリプレイスさせたいという思惑の表れです。
効果の測定やユーザーの導線設計、動画の閲覧方法やユーザーインターフェイスなど、小さなコミュニティを使った数多くのテストを行っていることから、テレビのマス広告に負けない、広告効果を最大化する仕組みを作り上げようとする意気込みを感じます。
もちろん、配信ターゲットを重視した現状の広告は、効率的に顧客にリーチする点においては効率的ですが、実社会において、Facebook広告が共通の話題として盛り上がるようなムーブメントには発展しづらく、比較的閉じられた広告形態であると言わざるを得ません。
そこで、逆のポジションを担うことができる、大量な露出を重視したマス広告へ取り組んでいるのではないかと思います。
今のうちから準備しておくことは?
本国でもまだベータ版のリリースもされていない現状で、私たちが準備しておくことは何か?
まずひとつは、ユーザーがWeb動画をどのように楽しんでいるのか、また、どういったシチュエーションで見られているのかを理解しておくということです。
今回のFacebookの動画広告は、“動画”と直球で言われていることから、Web動画に対する一般的な接触状況の把握は欠かせません。
どういった年齢層が多く利用しているのか、また、どのようなシチュエーションで閲覧しているのかといったことは、非常に重要な情報になります。
そしてもうひとつ、どういった動画がWebやSNS上で拡散しているのかを、知っておくことです。
これだけの媒体費用を掛けたんだから…といって、予算を掛けたテレビCMをそのまま流すのは、全く効果を得られないどころか、マイナスイメージを植え付ける結果になるかもしれません。
独りよがりの広告にならないように、常にトレンドに目を光らせておきましょう。
Facebook動画広告の日本への導入はまだまだ先になりそうですが、頭の片隅に置いておいても損はなさそうです。
アクトゼロ / 山田佳祐