金曜日のソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。
今日はYouTubeを見ている時に冒頭に流れる動画広告、その中でも再生から5秒経てばスキップ可能になる「TrueView動画広告(インストリーム広告)」についてお送りします。開始5秒でスキップになると言うことは、なんとかユーザーの興味を保った形で情報を伝えきる必要があるということです。国内ではまだ先進的な事例は少ないので、今回は海外の事例を幾つか紹介します。
5秒でスキップされるなら、5秒に全てを入れ込もうVolkswagen、Audiの挑戦
※CM本編は20秒あたりから。
5秒でスキップされることを逆手に取り、Volkswagenは5秒で終わる短いCMを創り、その短い秒数の中にメッセージを詰め込みました。そのメッセージは「New BeetleのDSG Tiptronicが自動的にギアを切り替えるように、あなたの広告を自動でスキップします」というものでした。動画は5秒しかないため、ユーザーはスキップボタンを押すまでもなく動画広告の終りを迎えてしまいます。ユーザー本意の「冴えたやり方」といえるのではないでしょうか?
※CM本編は35秒あたりから。
Audi も同じ手法で別の切り口を見せています。Audi R8の紹介動画広告では、5秒の動画が始まると、運転席視点で急加速する様子が再生します。そして、わずか3.5秒で時速100キロに到達した後、残りの1.5秒でAudiのVIを流し終わります。その後も動画は続きますが、画面上には「もう、動画をスキップできますよ。」と10秒間表示されます。TrueView広告は動画の最後まで再生されることではじめて課金されるため、5秒間見てすぐにスキップした場合は原則として課金されません。
スピード感のある商材やサービスを訴求するのであれば、この手法はとてもうまく行くのではないでしょうか?
ユーザーの良心に訴えかけることで、スキップされにくくなる広告
“5 Seconds” – You Tube Pre Roll (English version) from MAYO Chile on Vimeo.
ペルーのホームセンター「Sodimac」はどのように普段の生活を送れば、環境保護が可能になるかを説明した特設サイトを持っていました。(ホームセンターですので、新しい商品に買い換えることで環境負荷を減らすことのできる新商品紹介なども兼ねていたのでしょうか?)
動画広告の内容は、「やめることで環境保護につながる、ついついやってしまいがちな日常習慣」で、例えば蛇口を1分間開きっぱなしにすることでコップ何配分の水が無駄になるか、と言った情報で構成されています。そして、TrueView動画広告にあらわれる「Skip Ad」ボタンのすぐ上に、「Skip behavior(習慣をやめる)」ボタンを設け、そのふたつのボタンをORでつなぎました。これによって視聴ユーザーに「環境に悪い習慣をやめる」OR「(習慣を改めず)広告をスキップする」という選択肢のように見せることで、「Skip Ad」を押しにくい心理状況を作り上げたのです。
ちょっとずるい気もしますが、環境問題という「(世間的に)良きこと」を取り扱っているからこそ、評価されたやり方なのだと思います。
どうやって見て「もらえる」広告を作るか
従来型のYouTube動画広告は、スキップ不可能なもので30秒近い長さのものが一般的でした。ユーザーに強制的に見せるという意味では有効に思えますが、Twitterなどではこの「飛ばせない広告」に対する拒否反応が散見されます。商品のプロモーションをしているはずが、その裏でソーシャル上では空気の読めない企業として、ネガティブブランディングへと繋がってしまっているのです。
ソーシャル・CMSプラットフォーム上での広告出稿については、対話可能なプラットフォームであればあるほど、広告の内容も「共感」を得られるようなクリエイティブにする必要があるのです。
アクトゼロ/黒沼透(@torukuronuma)