ブランド認知のない企業がFacebookページでファンを集めるには

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こんにちは、アクトゼロの黒沼です。本題の前に、今週よりITmediaのオルタナティブ・ブロガーになりました。

Social Streamline:ITmedia オルタナティブ・ブログ 
こちらではもう少しコラムっぽいものを扱っていければと考えています。あわせてどうぞ。

アクトゼロでFacebookページのプランニングを行う際に、結構な頻度で課題となるのが「ブランド認知のない企業のFacebookページをどう運営していくか」という問題です。
クライアントが、AppleやSonyやUniqloやMUJIであれば、Facebookページを運営するのは簡単です。 皆さんご存知のとおり、ほったらかしにしていても、ファンは増えていくからです。
熱烈なファンと言わないまでも、知名度や利用経験があるだけで、かなり難易度は下がります。今回のソーシャルメディアインサイトは、世間一般には全く知られていない企業のFacebookページのプロモーション手法について考えます。

具体的な施策アイデアに入る前に「ブランド認知がない状態」とは、どういう状態なのかを考えてみます。

 

ブランドとはなにか

最初に定義してみましょう。ブランドとはなにか、というクエスチョンとその回答は世にあふれていますが、ここでは

「ユーザーがその企業の商品・サービスを利用するに当たって、望ましい結果が約束されていて、それが一般に共感されている状態」

と仮定します。ユーザーにとって「いい結果」が望めるから、利用したい。そしてそのイメージが広く「共感」されている状態。これが「ブランド」が成立している状態です。

 

企業におけるファンとはなにか

さきほどのブランドの例で言うならば、ファンとはそのブランド体験において、企業より「より多くのものを与えられている」と感じている状態のユーザーの事です。
ユーザーは、支払った対価と等価の商品・サービスを受け取ったならば、「それなりだなぁ」と感じます。支払った対価以上のものを受け取り続けたユーザーは、いつしか「企業より、多くのものを与えられている」と感じるようになります。よってその企業を信頼し、リピートを繰り返します。

映画監督やアーティストのファンも、同様の構造といっていいでしょう。「あの監督の映画は、毎回面白いから必ず見に行く」といった具合です。それは企業にとっても何も違いはありません。

 

Facebookページでファンを獲得するために必要なこと

Facebookページが、かつてFacebookファンページという名前だったように、Facebookページのファンを獲得するためには、「ユーザー」を「ファン」に変えなくてはいけません。

ひとつは、「ユーザー」に価値を与えることで、「ファン」に変えるということ。
もうひとつは、共感されやすい状況を作ることで、「ファン」になるハードルを下げるということ。

具体的な手法として、知名度のない企業にも有効そうなものを上げていきます。

 

いいね!してくれたユーザー用にインセンティブを用意する

手前味噌になりますが、アクトゼロでは、普段提案に使っているPPT資料をデータの状態でダウンロード出来るようにしています。クリエイティブ・コモンズライセンスのもと提供しているので、facebookの資料として、内容を自社の提案資料や稟議書類の中で使って頂けます。アクトゼロとしてはFacebookに興味のあるアーリーアダプター層を集めることが現状の仮題なので、その層に認知拡大を図る必要があるのです。

「いいね!すると、何かがもらえる」という行為モデルは、「お金を払うと、何かがもらえる」という購入の行為モデルと、とても近い体験です。

この際与えるインセンティブは、何も物や金銭的価値に限る必要はありませんが、「いいね!」の行為よりも価値のあるインセンティブを用意しましょう。このあたりは、

オンラインからオフラインへ誘導する為の3つのインセンティブについて | クラッチ、ソーシャルメディアのハンパない状況

によくまとまっていますのでぜひご覧ください。

 

Facebookページのテーマを共感されやすいものに変える

女子フォトライフFacebookページは、写真を取る女性を応援することを目的としたFacebookページです。特定のカメラメーカーが運営しているわけではないため、ユーザーが持っているカメラのメーカーを問わず参加することができます。

このように、対象となるユーザー層が最大化するコミュニティページとしてスタートするのもひとつの手です。企業の顔を全面に出すのではなく、運営企業としてあくまでコミュニティのサポート役に回ることで、より多くのユーザーを抱えることが可能になります。

化粧品メーカーであれば、メイク技術のコミュニティにする。酒造メーカーであれば、日本酒をたのしむコミュニティにする。不動産屋であれば、扱っている地域のコミュニティにする。など、ユーザーの利用シーンにまで降りていくことで、ユーザーの「共感」を得やすくなります。また同時に場所をユーザーに貸している状態になるため、コミュニティ機能がうまく働くほどに、運営企業からユーザーは「与えられている」と感じやすい状態となります。

 

商品をいいね!してもらいやすくしておく

衣料販売のフェリシモインターナショナルFacebookページでは、取り扱っている商品一つ一つを、いいね!してウォール上へながすことができます。フェリシモ全体ではなく、商品一つ一つをというところが肝です。

「いいね!」をするとこんな感じで商品の細かい情報が表示されるように、ページのメタタグが最適化されています。

metaタグを追加してFacebookに対応する方法とハマりやすいポイント | KAYAC DESIGNER’S BLOG – デザインやマークアップの話 

「いい商品・サービスだ!」と感じたファンは、その情報を伝播してくれる強力なセールスマンへと変化してくれます(布教モデル)。その自然な感情を、妨げない工夫としてこういった細かい対応が大切です。商品やサービスに自信のある企業であれば、自分たちの商品が、いつでもバズれる環境を整えておきましょう。

 

キャラクターをたてる

東急スポーツオアシスFacebookページでは、くびれちゃんというキャラクターをたてて、情報発信を行っています。

SUUMOの「スーモ」や伊藤ハムの「ハム係長」なども有名ですが、キャラクターの効果をひとことで言うならば、企業とユーザーの「コミュニケーションの潤滑油」ということになります。

ユーザーに愛されるキャラクターを作れれば、企業に変わってターゲットユーザーのすぐ隣で、企業の情報発信を行ってくれます。これは生身の人間にはできないことです。

そしてウォールも当然盛り上がりやすくなります。「共感のハードルを下げつつ」企業のエヴァンジェリストとして、その後のプロモーションにも一役買ってくれます。

 

まとめ

これまでの手法は、小さい企業にもできるものばかりです。是非お試しください。そしてもう一つ、大ブランドに比べて小さい企業であることがソーシャルメディア運営に有利に働く点があるとしたら、それはきめ細かいサポートや、情報発信が行い易いというところにあります。

社内の複数の決裁者の発言を経て、やっと「ひとこと」発言できるといった具合のソーシャルメディア運営を行っている企業は、とても多いです。「発言」の一任を受けやすい小さな企業では、その点とても身軽です。担当になった方が愛されるキャラクターをお持ちであれば、担当者の生の声で発信していくことで、とても柔軟で自由なソーシャルメディア運営が可能になると考えています。

大事なのは、ユーザーにどれだけ与えられるかです。みなさまのソーシャルメディア運営がうまくいきますように。

企業規模の大小にかかわらず、ソーシャルメディアの運営で迷った時には、いつでもアクトゼロへお問い合わせください、アクトゼロが全力で御社のブレーンとなって働きます。