LINE ネット選挙

ネット選挙時のLINE運用で気をつけておきたいコミュニケーション手法

金曜日のソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼(@torukuronuma)です。

LINEがネット選挙解禁に向けて、政党にLINE公式アカウントの無償提供を行うことを決定しました。すでに「LINE@」でアカウントを開設している政党についても(公明党のことかな?)公式アカウントへ無償で移行されるようです。

今日は、LINE公式アカウントの運用を「政党」はどのように使えるかについて考えてみたいと思います。

LINE公式アカウントのコミュニケーションは「対話」ではない

LINEと言うと、個人間でのメッセージツールとしてユーザーに利用されているわけですが、LINE公式アカウントとユーザーとのコミュニケーションは、対話ではなく一方的なものとなります。

いわばメルマガに近い情報伝達となりますが、LINEがプロモーションツールとして強力なのは、LINEユーザーのスマートフォン上に「プッシュ」で情報が届くということです。スマートフォンを見ていない時でも、スマートフォンの画面上にアカウントから送られたメッセージの内容が、着信のお知らせとともに自動で届くため(設定にもよりますが)、ユーザーの目に情報が届きやすいのです。

一般的なメールマガジンの開封率が3%~10%程度、メルマガ上のリンククリック率が1%~3%程度なのですが、それに比較するとLINE公式アカウントからのお知らせ(メッセージ)の浸透力の強さは異常です。LINE公式アカウントからの事例として公式サイトには、ラフォーレ原宿で「クーポンのお知らせの開封率60%」と示されています。

ローソンの公式アカウントでは、150万人のユーザーへのクーポン送信で10万人(6%)の来客があったという記事をガイアックスさんがまとめています。開封率ならともかく、実際に店頭に訪れた割合が6%というのはクーポンとはいえ、驚異的な数字です。

政党が選挙期間に活用するとして、「まじめ」にやるならば各地の選挙運動の様子を日常のメッセージとして発信が投稿内容の中心となるでしょう。他にも、街頭演説など選挙期間のイベントへの動員/議員による政策についての解説/関連ウェブサイトへの誘導。Youtubeなどのオピニオン動画への誘導など、を発信していくこととなるのでしょう。もう少し踏み込める政党ならば、LINE(その他のSNSも含む)でつながっている「友だち」とのオフラインミーティングなどをおこない、その様子をレポートするなど、有権者との距離を近づけるイベントなどを行い、またネット上で共有することで、ネット上を政党の情報が拡散しやすい「空気作り」ができるのではないかと考えます。

LINEのメッセージは、ユーザーに確かに届けやすいです。しかし、このメッセージの「頻度」については少し注意しなくてはいけません。

コミュニケーションの「頻度」は控えめに

LINEが開催している、LINE@のビジネス活用セミナーのなかでも特に利用者に注意が促されるのは、「LINE上でのメッセージ頻度」についてです。いくら開封率が高いとはいえ、数を打ち過ぎてユーザーに「うるさい」と感じられてしまっては、「友だち」を解除されてしまいます。ユーザーとアカウントとの関係性にもよりますが、一般企業がビジネス活用するときでさえ、「週に1通」送るのが上限と言われています。

ネット選挙の解禁が今夏はじめて行われるので、実際はその現場で適当な数「頻度」について調整が行われることになるのですが、想像するに選挙期間中が特別な期間であることを考えても、週に2通程度が限界なのではないかとおもいます。

さてここまで、「友だち」とのコミュニケーション手法を見て来ましたが、そもそもどうやって「友だち」を集めればよいのでしょうか?

議員スタンプ化は有効?

公式アカウント運用において、「友だち」を集めるための方法のひとつに、「友だち」になってくれたユーザー限定のスタンプ提供があります。スタンプほしさに「友だち」となるのは、なんだか変な感じですが、最も即効性のある手法と言えます。


LINEに「いつやるか? 今でしょ」講師のスタンプ登場 – ITmedia ニュース http://image.itmedia.co.jp/l/im/news/articles/1302/26/l_yuo_linestamp.jpg

そこで、有名議員を抱える政党であれば、議員のスタンプ化は「友だち」獲得にかなり有効に働くのではないでしょうか?キャラクターの立った議員がおおいほど、作られたスタンプはユーザー同士のコミュニケーションの中で利用され、ネタとして消費されます。メッセージの中でスタンプの存在を知ったユーザーは、政党のLINEアカウントの新たな「友だち」となり、結果として多くの有権者へのチャンネルを開くことができるはずです。

まとめ

最後にLINEのユーザー層についてまとめておきます。

日本国内の利用者は4,500万人以上(2013年3月)に及びます、その内訳の過半数が35歳未満占められています。ネット選挙解禁でさけばれる無党派層(浮動票)へのアプローチを考えれば、LINE公式アカウントはその筆頭に上がってくるツールといっていいと思います。その主力のLINEがちゃんと選挙に向けて政党に無償開放とは、LINEよくわかってる。

あとは立候補者用公式アカウントがどれくらいのタイミングで、どれくらいの数立ち上がるかに注目です。初動の身軽な政党はどこになるのでしょうか?ネットを通じて有権者と最も距離を近づける政党はどこになるでしょうか?

黒沼透(@torukuronuma)/株式会社アクトゼロ