今日の首都圏は悪天候のため、交通機関が混乱しています。こうした際の情報収集に、Twitterはとっても便利ですね。電車に乗車中の方のツイートを参考に状況を判断することができます。
そういった例でいくと、2011年の東日本大震災において、電話のダウンやメールの不通が発生し、その際にSNS…主にTwitterが情報収集に有効であったというのも、記憶に新しいところだと思います。
ただ、飛び交う多くの情報の中に“誤ったもの”も多く、非常時でありながら、情報を取捨選択できる冷静な判断が求められます。ともあれ、SNSが電話やメールに並ぶ、ひとつの情報取集ツールとしての可能性を持っていることは間違いありません。そして、それは企業にとっても有用なのではないかとも思ったりします。今日も、出社時間の調整や自宅待機などの措置を企業として取られているところもあるようです。
事業継続のためのSNS活用
ここ数年、企業の事業継続計画(Business continuity planning、BCP)というのが、一般に浸透し多くの企業でその取り組みが始まっています。特に2011年3月の震災以降、その重要性が再認識され、さらに注目が集まっていると感じます。東南海や首都圏での地震の可能性などが各所で報道されている昨今、非常時のSNS活用について、企業利用の観点から考えてみましょう。
非常時にSNSが担う役割は大きく2つ考えられます。
①社員の安否確認
②会社から社員への連絡手段
まず、①については、最も確実な手段は、間違いなく電話であると考えられます。しかし、東日本大震災時の実体験として、電話よりもネットワークの方が、幾分繋がりやすかったように思います。ただ、ネットワークに繋がっても、携帯電話やスマートフォンのキャリアメール(~@docomo.ne.jpなど)はサーバーが混みあっていたために、なかなか送受信できなかったと記憶しています。そうした際に、社員の連絡手段としてSNSを活用する方法を考えてみましょう。
例えばFacebookのグループ機能を使って、社員同士のやり取りが挙げられます。
これは、大きな企業が全社として活用するのは難しいと思いますが、各部署やプロジェクトチームごとといった細かなグルーピングを行って運用することが可能です。
グループの使い方はとても簡単で、Facebookの左側にある「グループ」というカテゴリーから「グループを作成」を選択して作成することができます。
「緊急連絡用」などといった分かりやすい名前を付けて、グループに含めるメンバーを選択、入力していきます。
そして、投稿の表示範囲を選択します。緊急連絡用ということであれば、限られたメンバー間だけのクローズなやり取りで大丈夫だと思いますので「秘密」というのを選択しておけばいいでしょう。
安否の確認のルールも決めておきましょう。多くの場合、緊急時はスマートフォンなどからの連絡となると思いますので、その運用の方法を共有することが重要です。
スマートフォンアプリの場合は、左側のメニューの中から該当するグループを選択すると、グループでの投稿・閲覧できる画面が開きます。
開いた画面から、通常のFacebookの投稿と同じように、テキストの「投稿」、「写真」のアップロードを行えますので、特に難しい操作は必要ありません。
このFacebook強みは、個別に各社員に連絡を取り確認していくという手間の掛かるフローを、自発的に安否情報を共有することで、グループに属する社員の情報を一覧で把握できる点にあります。
次に②については、非常時に社員に的確に指示を出すことを最重要に考えます。この場合、双方向でのやり取りというわけではありませんので、Twitterを使った方法を考えることができます。
こちらは非常に簡単で、会社が緊急連絡用のアカウントを開設して、社員にそのアカウントをフォローしてもらうだけです。
ただ、社員向けの連絡用という目的のため、関係のない一般の方に見えてしまっては困ります。そこでツイートを鍵付きにして、承認されたフォロワーのみ閲覧できるようにして、必要以上にツイートが公開されてしまわないようにすることが重要です。
①②のそれぞれは、ご覧いただいて分かる通り、非常に簡単に設定・利用することができます。
しかし、実はそこに至る前の段階に難しい問題があるのです。
重要なのは社員の理解とルール作り
実はSNSを活用するにあたって最も重要なことは、緊急時とはいえ、社員が自身のアカウントを会社に対して開示し、アカウントのフォローやグループへ追加といった必要性を理解し、協力(承諾)してもらう必要があるということです。
そうしてもうひとつ、全社で取り組むと言った際に、すべての社員が同じようにSNSアカウントを持っているわけではないという点です。そのため、電話やメールといったツールの一つとして位置付け、回線状況などに応じて段階的に実施する必要も出てきます。あくまでも、全社員を対象とするのであれば、SNSのみというのは現実的でないと考えれます。
このように、実際にSNSを使うこと自体は難しいものではないのですが、企業という組織を巻き込んだ取り組みになってしまうため、社内の調整やルール作りがとても大変なことは想像に難しくありません。
企業が非常時に何ができるのか、何をするべきか、そういった視点の中でSNSを手段の一つにカウントするということ。
自然災害の多い日本だからこそ、こういった視点を持つことも大きな意味を持ってくるのではないかと思います。