今年の5月、子供向けのYouTubeアプリ「YouTube Kids」が日本向けにリリースされました。(参考:2017.6.8「子供のネット利用の実態 ~「YouTube Kids」が日本でもリリースに」)このアプリが先日11月2日にアップデートされ、新たな機能が追加されました。
11月には、視聴環境をカスタマイズできるお子さま用プロフィール設定機能を追加。兄弟姉妹など、アプリを複数の子どもが利用する場合、それぞれにプロフィールを設定できる。設定したプロフィールは端末に依存せず利用できる。お子さま用プロフィール上ではさらに、子どものプロフィールごとにパスコードを設定できるため、兄弟姉妹間での利用を干渉することも軽減できそうだ。
(ReseMam「「YouTube Kids」デザイン刷新、お子さま用プロフィール機能搭載」2017.11.6)
YouTube Kidsは、親が子供に対して安心してYouTube動画を見せられるようにすることを目的としたアプリです。今回のアップデートによって、兄弟・姉妹ごとにアカウントを設定できるようになり、アカウントに生年月日を設定しておくと、年齢が低いほどテキストの表示が少ないなどといったように年齢に合わせたUIに変わるのだとか。子供にとっても使いやすくなり、親にとっても安心して動画を見せられるようにより変わったようです。
子供に人気のYouTuber動画も視聴できるようです。
ヤフー株式会社などインターネット系の企業が事務局を運営している、子どもたちのインターネット利用について考える研究会による「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査結果」(2017.2.6)によると、未就学児(6歳以下)のおよそ半数が、スマートフォン等の情報通信機器をほぼ毎日・毎日必ず利用していると報告されています。
そして、その端末でネット接続時に行っていることは、圧倒的に「動画を見る」ことがトップになっています。
街中で、親が子供にスマホなどを使わせるシーンが多く見られますが、アンケート結果でも、「親が家事などで手が放せない時」「自家用車で移動している時」「子供が騒ぐ時」などといった、子供を飽きさせないで静かにさせたい時に親が利用させている状況も伺えます。今や、web動画は育児に欠かせない重要なツールとなっていると言えるでしょう。
YouTube Kids広告が更に細かいセグメントを可能に?
通常のYouTube同様、YouTube Kids向けに広告を配信することができること、ご存知でしたか?
YouTubeヘルプ「YouTube Kids での広告」
展開できる広告は、現時点ではインストリーム動画広告のフォーマットのみで、掲載できる動画の最長時間は、 スキップ不可の広告は15秒、スキップ可能な広告は60 秒になります。通常のYouTube広告では、Call-to-Action オーバーレイや情報カードにより、クリックすることで外部サイトへ誘引することができますが、YouTube Kidsの広告ではそれができません。
また、一般的な広告掲載のポリシーに加えて、美容/フィットネス・デートや恋愛に関するもの・違法または規制対象の商品・政治的/宗教的な広告など、一般的に子供にふさわしくない内容の広告もNGとなっています。
YouTube Kidsは、13歳以下の子供を対象としています。子供にターゲティングできる動画広告媒体であるとはいえ、例えばおもちゃ一つ取っても、3~4歳児が楽しむものと、小学生高学年が楽しむものでは大きく違います。教育商材などでも同様です。
今回のYouTube Kidsのアップデートで最も注目されている、”複数の兄弟毎にアカウントを付与できる”ことにより、年齢(生年月日)をアカウントに登録することで、ユーザーによってUIや表示されるコンテンツの最適化ができるようになりましたが、広告出稿側からすれば、視聴している子供の年齢を確実に把握できることになります。それにより、これまで子供一括りだったセグメントを、年齢別に更に細かく設定することができるようになるのではないのかと思います。
また、逆に狙いのもう一つとしては、実際の購買に繋がりづらい子供を通常のYouTubeから隔離して、通常のYouTubeの広告の価値を上げる、ということも考えられます。YouTuber動画は特に子供層を中心に人気があり、こうした動画に広告が配信されても、実際の購買に繋がりづらいことが以前から指摘されています。
どのような目的があるかは想像の域を超えませんが、子供向け商材を扱う企業にとって、YouTube Kids広告は、明らかにピンポイントに子供にターゲティングできるため良い広告商材なのではないでしょうか。この先、クリスマスや年末年始など子供に関する消費が多くなる商戦時期がやってきますので、検討してみてはいかがでしょうか。
あくまで、実際に購買するのは保護者・親になることが多いので、保護者が動画広告を視聴した時に不快な印象を与えないか、広告する商材が子供に悪影響を及ぼすと判断されるものではないかどうか、といった点に注意することは重要だと思います。