訪日インバウンド動向ニュース~2017年2月

冬真っ盛りで、昨日は全国のあちこちで雪となり、当社、株式会社アクトゼロの所在地である東京・神楽坂でも、積もりこそしなかったものの、時に雪、時にみぞれ混じりの寒さの厳しい一日となりました。しかし、寒さも今がピークで、徐々に暖かくなっていくはずです。春、桜の時期は、最も訪日外国人観光客が多くなる時期と言われています。訪日インバウンドのビジネスを考えておられる方にとって、今は重要な準備期間ではないでしょうか。

さて、今日は訪日インバウンドに関するニュースをまとめてお送りしようと思います。

訪日外客数 / 2016年 過去最高の2,403万9千人

JNTO(日本政府観光局)の発表によると、2016年の年間を通しての訪日外客数は前年比21.8%増の2,403万9千人で、JNTO が統計を取り始めた1964年以降、最多の訪日者数となりました。主要20ヶ国の中でも、特に中国は前年比27.6%増の637万人と主要国中初の年間600万人台に達し、昨年に引き続いて最大の訪日旅行市場となりました。これは、クルーズ船寄港数の増加や航空路線の拡充、これまでの継続的な訪日旅行プロモーションに加 え、ビザの緩和、消費税免税制度の拡充等が、主な増加要因として考えられるとのことです。

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ちなみに、2016年12 月単月の訪日外客数も、前年同月比15.6%増の205万1千人で、これまで12月として過 去最高だった2015年(177万3千人)を大幅に上回りました。

春節 2017年

2017年は、1月27日~2月2日の7日間が、中華圏において旧暦の正月である「春節」にあたり、大型連休となりました。一年の中で最も重要な祝日とされていて、新暦の正月(1月1日)よりも盛大に祝います。大型の休みとなれば、遠方への旅行に行く人も多く、その行き先として日本を挙げる中華圏の外国人観光客も多かったようです。

全世界の日本の在外公館でビザ発給件数が最も多い上海の総領事館でも、1月に入って昨年同月を約1300件上回る、1日平均1万件超のビザ申請を受け付けたようです。(「中国人、春節でビザ発給ピーク 「爆買い」から地方旅行へ」2017.1.17  zakzak)

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春節の観光ラッシュによる経済効果も大きかったようで、六甲山スノーパークでは春節の7日間には、外国人観光客約3,000名が来園したり、(「春節シーズン到来!7日間で約3,000名の訪日外国人が来園 ~個人旅行客の来園も好調~」2017.01.25 阪神電気鉄道株式会社) 百貨店大手5社の1月度売上が、春節の好影響で3社が増収(高島屋が0.7%増、大丸松坂屋百貨店が0.8%増、阪急阪神百貨店が1.6%増)となりました。(「百貨店大手5社の1月度 春節の好影響で3社増収」2017.2.1  WWD)

2015年に流行語にもなった、外国人観光客、特に中国人による「爆買い」は一段落ついた印象がありますが、やはり旅行客数が順調に伸びている分、彼らが日本にもたらす経済効果は拡大を続けているようです。2017年は「インバウンド関連」が大復活の年となるのかもしれません。

訪日観光客が、日本での旅行中困ったことは?

観光庁は2月7日、「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」(調査時期:2016年8月~10月、調査場所:成田・羽田・関空を中心とした空港・港湾など)を行い、総数5,332件の回答をとりまとめたと発表しました。

旅行中に困ったことを尋ねたところ、最も多かった意見が、「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」(32.9%)でした。次いで「無料公衆無線LAN環境が少ない・使いづらい」(28.7%)、「多言語表示の少なさ・分かりにくさ(観光案内板・地図等)」(23.6%)でした。こうした意見の一方、「困ったことはなかった」という回答も多く、30.1%でした。

特に「小売・飲食店」でのコミュニケーションで困ったという割合が多いようです。

ある調査によると、日本人の英語能力は72カ国中35位と「低い」部類になっています。この調査の結果は、大方の日本人は英語が不得意という国柄を反映した結果だと考えられますね。

訪日外国人の観光動態データ、GPSデータやSNS投稿を分析

1月20日、観光庁では、携帯電話の基地局情報、携帯電話のGPS情報、SNSでの投稿情報など、ICTを活用して、訪日外国人旅行者の旅行動態や関心事等を把握したことを発表しました。(対象期間:2015年1月~2016年1月 ローミングデータは、訪日外国人データ数の約30万台、GPS情報は訪日外国人データ数のべ約25,000名、SNSでの投稿はのべ約116,000件が対象。)

日本全国に対する各都道府県の訪日外国人・日本人観光客の各集積比率を比較すると、外国人は東京と大阪に集中する傾向が高く、宿泊時間帯では日本人の約16%に対して外国人は約45%(東京と大阪の合計)に上ります。また、季節別に日本全国に対する各都道府県の訪日外国人割合をみると、北海道と長野県は冬の集積比率が高く、一方、沖縄県は夏の集積比率が高いことが分かりました。また、東京都は春の集積比率が比較的高いのに対し、大阪府は夏の集積比率が比較的高くなっています。

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GPSデータから、地上移動を対象にした流動状況を調査した所、2016年1月のデータでは東京から京都・大阪までのゴールデンルートへの集中がみられたことが判明しました。やはり、初めて日本に来た人は、関東と関西どちらも体験してみたくなる気持ちはよく分かります。

訪日外国観光客はSNSではどのような投稿が多くしているのでしょうか。各国/地域別ランキングを見てみると、「見る(ランドマーク)」に関するキーワードでは、東京・大阪・京都といったゴールデンルート上のランドマークに関連する話題が上位を占めていました。特に、「新宿」というキーワードによる投稿が最多です。

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また、「食べる」に関するキーワードでの投稿は、中国・香港・韓国からの訪日観光客で最も多かったのは「ラーメン」。台湾は「ビール」、米国は「寿司」がトップに。「買う」に関するキーワードでの投稿は、中国では上位から「お菓子」、「コスメ」、「着物・浴衣」と続き、香港では上位から「バッグ」、「本・ポストカード」、「おむつ」と続きました。米国はバッグのほかカメラ、着物・浴衣などが上位となっています。

 

確実に拡大を続けている、訪日インバウンド市場。これを又とないチャンスととらえ、様々な施策や調査を続け、自治体や民間に情報共有を続ける政府・観光庁。官民一体となり、オリンピックイヤーである2020年に4000万人を目指して達成することは、この先の国内の人口減による国内市場の縮小予測を前にすると、訪日インバウンドによる経済効果は、大きく新たな収益チャネルとなるため、日本の将来にとって重要な施策であるといえます。

今後も、訪日インバウンドに関するニュースを定期的にお伝えしたく考えています。