mixiの「黒歴史掘り起こしキャンペーン」は失敗だったのか?

今、あるキャンペーンが起因して、あの、今やマイナーになってしまったSNSのアクセス数がえらいことになっているのだとか。

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mixi日記を「リライト」しよう http://mixi.jp/akg/

ASIAN KUNG-FU GENERATIONがセカンドアルバム『ソルファ』をリリースした 2004年。 それは、SNS mixiが生まれた年でもあります。 『リライト』が、『ループ&ループ』が街に響き渡ったあの時代の空気を、mixi日記を通じて振り返ってみませんか。

招待制の日記SNSとして始まったmixi。初めてmixiにログインしたあの日を思い出して、ひさしぶりに日記を「リライト」してみませんか?

mixi日記を「リライト」しよう http://mixi.jp/akg/ より

コラボしたアーティストの楽曲名になぞらえて、過去のmixi日記をリライト(書き直し)して、2004年のことを思い出し、SNSで共有するというキャンペーンです。12年前といえば、私は26歳。当時、どんな日記を付けていたかな…、と思いましたが、私は当時mixiアカウントは持っておらず、自身の日記を書く機会がなかったので残念ながらご紹介できるような文章はありません。紹介できる文章なら良いのですが、12年前、当時、mixiに加入できる年齢である18歳だった、今の30歳位の人はご注意です。

当時、mixiは今のFacebookでいう「友達」にあたるユーザー同士がマイミクシィに登録している「友人」という制度があり、日記の公開範囲を「一般に公開」「友人まで公開」「友人の友人まで公開」の3種類から選択することができました。公開範囲を友人までにして日記を記入していた人は、けっこうプライベートな話題だったり、友人間だけでやりとりできる話題など、いわゆる「今、自分で読んだり、今の友人・知人に見られてはすごく恥ずかしい」内容を書いていたようです。

12月6日に今回のキャンペーンが公開されたことにより、mixiの存在を忘れて長年放置していたユーザーが、慌てて数年ぶりにmixiにログインし、過去の日記を消したり、公開設定を変更したり、退会したりと、過去の黒歴史を消すためにmixiに一気にアクセス。パスワードを忘れたユーザーが慌てたり、Twitterのトレンドに”mixi”のキーワードが出現したり、一時はmixiのサーバがダウンした程だったのです。


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Google検索のサジェストにも、今回のCPに関連するワードが並ぶ

Twitterで”mixi”のキーワードで検索して眺めていると、「私も自分のやつ見て来たんだけど見ててすごい懐かしくなった…そして随分とリア充してたんだなぁと…」といったような肯定的なツイートがあるものの、多くは「やめてくれ!」「余計なことを…」等とネガティブなツイートの方が多く目立つ印象です。

Twitterに投稿されたツイートやFacebookの投稿を検索できる、Yahoo「リアルタイム検索」で「mixi」のキーワードで検索してネガポジ分析を行ってみました。本文章執筆時の2016年12月7日18時45分現在から過去24時間を30日間と比較してみると、ポジティブが1ポイント減ったのに対し、ネガティブは9ポイント上昇していることが分かりました。

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左が過去24時間、右が30日間

このキャンペーンは失敗だったのだろうか?

ここまで見てみると、このキャンペーンは長年mixiを使ってこなかったユーザーに対して、皮肉な意味ではありますが久々にログインさせたことに繋がったようですが、同時に「不要なことをしてくれて…」とネガティブな印象をそうしたユーザーに与えてしまい、退会によるアカウントの消去にも少なからず繋がってしまったはずです。キャンペーンの狙いのように、”リライト”を楽しんだユーザーとどちらが多い結果となるでしょうか。

かつては国内最大のSNSの地位を誇ったmixi。現在主流となっているTwitterやFacebookといった、欧米発のソーシャルメディアに押されたり、友人が閲覧すると、誰が読んだのかユーザーに分かる印「あしあと」機能の廃止や復活によるサービスの迷走などにより、アクティブユーザー数は減少し、今ではむしろマイナーな存在となってしまっています。

しかし、最近では、mixiが2013年10月にリリースしたソーシャルゲーム「モンスト」の人気が続いており、2016年3月期の連結業績予想を上方修正して、売上高は前期比82%増の2050億円、営業利益も71%増の900億円と当初の見込みを上回り、売上の9割をモンストが占め、SNS事業を大きく上回っている状況です。(JCASTニュース:赤字「ミクシィ」に一発逆転もたらした「モンスト」 今度は高い「ゲーム依存度」がリスクに

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モンスターストライク http://www.monster-strike.com/

今回の”リライト”キャンペーンの本当の狙いは、長年ログインされていない休眠アカウントを一掃させることだったのではないかと私は思うのです。かつて国内最大だったSNSサービスには相当数の放置されたままのアカウントが現存するはずです。こうした休眠アカウントはwebサービス側で勝手に消去するにもできず、サーバーの容量を圧迫させる原因の一つとなっています。今回の黒歴史を掘り起こすようなキャンペーンを通し、長年ログインしていないユーザーに、久々にログインさせ、そのまま再びアクティブユーザー化させるか…。退会してアカウント消去してくれれば…。退会するユーザーにネガティブな印象を持たれても問題無い…。そして得られた原資やリソースを、今や主事業に成長したゲームに投入しよう…。流石にこれは考え過ぎでしょうか??

ちなみに、mixi側は、「退会者がいらっしゃるのは、企画当初から想定内でした」と話しているようです。(BuzzFeed:mixiの黒歴史、公開恐れて退会者続出中 運営側は「想定内でした」