各種ソーシャルメディアにおける企業アカウントの投稿で、動画を目にする機会がここ数年でかなり増えました。Facebookでは、動画の再生数が一年間で8倍近くの増加が見られ、エンゲージメント率においては、画像・リンク・テキストはどれも数字を落としているのに対し、動画コンテンツのみが率を上げているという報告もあり、SNS投稿において動画の存在感が大きくなっていることが言えます。
Yahoo! JAPANが、動画を活用している企業の社員4120人に対し行った調査(参考:動画コンテンツを活用している企業の担当者4,120人への調査結果から浮かび上がった活用方法と課題 2016.5.31)によると、動画の活用シーンで多いものは、自社のホームページ・インターネット(SNS)広告、Facebook、YouTubeなど、多くの企業では動画コンテツをオンライン上で使用することを目的に制作していることが分かります。逆にインターネット上では公開・配信しない、オフラインで使用することを目的に制作している割合はわずか約15%に留まっています。
そんな動画コンテツを制作する際に、社内での自社制作と他社による外注制作の割合を、動画の用途別に見てみると、いずれの目的でも社内制作が半数を上回っています。ただ、「インターネット広告」や「デジタルサイネージ」といった、比較的クォリティーが求められる動画コンテンツでは外注での制作の割合が高い結果になっています。
どうしても広報・宣伝予算に限りがある中で、制作に高価なイメージのある動画は、いざという時に予算を費やしてプロの制作力を求め、SNS投稿コンテンツなどのような日常的に本数が求められるような動画は社内で制作してしまう状況が浮き彫りになっています。
センスがあり、動画制作が得意な社員が社内に居れば話は別ですが、自社制作による動画はどうしてもクォリティーに劣ってしまう傾向があります。
動画編集スマートフォンアプリ「QUIK」
ところで「GoPro」と呼ばれるムービーカメラの名前を聞いたことないでしょうか。”アクションカメラ”と呼ばれるジャンルのカメラで、例えば自転車やスケードボードなどに付けて、迫力ある動画が撮影できる小型カメラのことで、最近ではドローンに付けて空撮動画を撮影する時に使われることも多く、多くの放送局でも使われているカメラです。
そんなGoProがリリースした、動画編集用スマートフォンアプリが「QUIK」です。
数タップするだけで、BGMに併せたPV風のビデオが簡単に作成することができるアプリで、誰でもクォリティーの高い動画を作成することができます。元々はGoPro向けにリリースされたものですが、スマートフォン内の動画・写真を使って編集、アップロードまでできるので、撮影・編集・完パケ・公開までの動画制作の一連の作業が一台のスマートフォンで済ませることができます。このアプリを実際に試してみて動画を作成してみました。
スマートフォンにインストールしてアプリを起動し、新規作成を選択すると、スマートフォン中に保存されている撮影した動画・静止画一覧が出てきます。動画に盛り込みたい素材を選択し、動画の冒頭に必要な、動画のタイトルを入力します。(先週末、北海道・釧路を訪問したので、その時撮影した素材を使いました。)
選択を終了し、少し待つと、もう自動的に編集が終了しています。”スタイル”と呼ばれるテンプレートが25種類準備されており、編集の演出のテイストを選択することが出来ます。各テンプレートに応じて推奨されたBGMがつけられており、編集のテンポもBGMによく合わせられています。
各カットごとにもいろいろ手を加えることが出来ます。余計な部分をカットしたり、テロップやキャプションを出したり、トリミングなどをすることができます。また、画面のサイズはSNS投稿に適した「正方形」と、横長の「シネマ」の2種類の設定が選べます。
カットごとにInstagramのようにフィルターをかけて雰囲気を出すこともできます。BGMは著作権フリーのデフォルトのものが複数種類の他、スマートフォン内に入っている音楽も使うことができます。ですが、SNS等、ネット上に公開する際には著作権のあるものはNGなので注意。このアプリは、音楽のテンポなどに併せて編集ポイントやタイミングが変わるのが面白い点です。動画の長さも自分で決めることができ、それに併せて自動的に編集してくれます。
編集が終われば動画の書き出しです。数十秒~数分程度、少し時間がかかりますが、待ちくたびれる程ではありません。更に、そのままgoproのサーバにアップロードされ、動画がオンライン上で配信することもできます。こうして完成した動画が以下の動画です。(少し、BGMの雰囲気が合っていないような気もしますが…) 多少のテンプレート感は否めませんが、静止画・動画素材に上手く動きを付けながら印象的な動画に仕上がりました。
アプリを初めてインストールして操作した上、いろいろ試したり、記事用にスクリーンショットを撮りながらの作業ではありましたが、30分程度で完成・公開できました。慣れれば10分程度ででも作成できると思います。イベント報告などの簡単な動画制作であれば、簡単に制作でき、その場でSNSに公開することが可能です。
社内制作の動画コンテンツでもクォリティーを高く制作する努力を
予算を費やしてプロに依頼すればクォリティーの高いものが作れるのは当然ですが、前述した通り、予算が限られる中、内製しなければならない事情もあると思います。今回ご紹介したアプリを始め、数年前とは違い、様々なツールや環境が準備されており、玄人裸足の作品が作ることができる可能性があります。こうしたツールを駆使して、自社制作のコンテンツでもなるべく高いクォリティーをアウトプットすることが重要です。
また、動画や静止画を撮影するテクニックも身につけるとよりクォリティーの高い動画が制作できることになるでしょう。