企業がソーシャルネットーワークを活用するというと、どういったことが頭に浮かぶでしょうか?
Twitterでのつぶやき、Facebookページの開設等を想像される方が多いと思います。
しかし、トヨタ自動車(以下トヨタ)はそういった既存のサービスを利用せずに、独自のソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)を構築することを発表しました。
まだまだ情報が少ない状況ではあるものの、その内容を明確にしトヨタの狙いについて考えてみたいと思います。
トヨタフレンドとは?
トヨタが発表した独自SNSは「トヨタフレンド」という名前にて、米国セールスフォース・ドットコムの「Chatter」をベースにしたものになるようです。トヨタ、セールスフォース・ドットコムから発表されたリリースを総合して、まずはその要点をまとめてみたいと思います。
- 2012年発売予定のEV・PHVに合わせてサービスが開始される
- メーカー(トヨタ)、販売店、ユーザーを繋ぐネットワークが基本
- FacebookやTwitterと連動しコミュニケーションツールとしても活用できる
- ユーザーが使用するのは、スマートフォンやタブレットPC等の携帯端末
- 自動車が自発的に情報を発信する
- 既存のテレマティクスサービスも連動させていく
リリースの内容から、ざっと上記の点が挙げられます。
では、具体的にどういったことができるのかをまとめてみます。
・クルマが自分の状態を発信する
→バッテリー残量を発信することで、ガス欠を防ぐ
→コンディションを把握・販売店と繋がる
→点検などの事前予約や、クルマのコンディションの共有
→キャンペーンやお得な情報を入手することができる
・クルマの位置情報を友達と共有することができる
→待ち合わせしている場合、渋滞している・空いているといった、待ち合わせ場所までの状況を把握することができる
・メーカー(トヨタ)と繋がる
→色々な情報のフィードバックによって、商品開発・サービスの向上が行える
・ユーザー同士でコミュニケーション
→同じクルマに乗っているユーザー同士の情報共有が行える
それぞれのメリットとデメリット
それでは、上でまとめた情報を元にして、それぞれの立場にたってメリット・デメリットを考えてみたいと思います。
【ユーザー】
●メリット
・クルマの状態を把握できることにより、故障等のトラブルを事前に防ぐことができる
・クルマのコンディションに関する事前情報から、点検や車検などのサービスを受ける時間が短縮される
・修理や点検の予約がスムーズにできるようになる
・クルマに関するお得な情報を入手することができる
●デメリット
・個人情報を含めて、常に様々な情報を発信している状態であり、その流出が考えられる
・自動車がネットワークに繋がっているという点で、通信コストが増える可能性が高い
【販売店】
●メリット
・ユーザーとのコンタクトポイントを確保できる
・クルマの状態について的確な情報を事前に把握することで、効率的なオペレーションと部品の在庫コントロールが可能になる
●デメリット
・従業員の教育を徹底する必要がある
・DMなどに比べて情報の伝達が速くなるため、対応についてもスピード化が求められる
【メーカー】
●メリット
・クルマ自体の情報を入手でき、品質の改善に役立てることができる
・ユーザーの行動や趣向を把握することで、商品やサービスの開発に利用できる
●デメリット
・システムやインフラ整備に膨大な費用がかかる
・個人情報の流出リスク
以上、客観的に情報をまとめてみました。
次回の後編では、トヨタの狙いがどこにあるのか、そのあたりの考察を進めていきたいと思います。
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