米国のTwitterは8月15日、新たな企業向けプロモーションツールとして「Promoted #Stickers」を発表しました。
ステッカーとは今年6月にiOS・Android公式アプリでリリースされた機能で、写真にサングラスや猫耳など、準備されている画像を重ね合わせてTwitterに投稿できるというもの。そのステッカー画像に、企業やブランドがカスタマイズした画像をマーケティングに活用できるサービスが今回リリースされたのです。まずは米国PepsiCoが約50点のプロモーションステッカーを10市場で展開するキャンペーンを開始しています。(残念ながら日本は対象外です…。)
Promoted #Stickers are live! Design custom stickers that add creativity to a person’s photos https://t.co/wIIDHAC0KK pic.twitter.com/iNz8sTUAv4
— Twitter Advertising (@TwitterAds) 2016年8月15日
早速、対象の地域となっている海外では、ペプシによるPromoted #Stickersによる写真が加工されて投稿・共有されています。
Woop! Promoted stickers are LIVE! in love with #PepsiEmoji 😍 #SayItWithPepsi pic.twitter.com/aWyY3Bl0tD — Halla AlRazouq (@HRazouq) 2016年8月15日
Launch of Promoted Stickers with @pepsi ! pic.twitter.com/cNAqpk7oBm
— Chad Tully (@ChadTully) 2016年8月15日
ちなみに、このステッカーは、タグの機能も持たされており、写真中のステッカーをタップしたりクリックすると、同一のステッカーを使った他のユーザーが投稿した写真を検索することができることもあり、画像投稿キャンペーンなどのような企業プロモーションで有効に使えそうな予感が非常に強くします。
SNSで「画像が拡散される」ことの可能性に多くの企業やサービス提供側が意識している事例の一つです。
フォトプロップスやフォトブースとSNS
2015年頃から日本のSNS界隈で流行り始めたのが「フォトプロップス」です。これは、元々欧米発祥の文化で、結婚式の際にゲストや新郎新婦達と一緒に楽しく写真撮影する時に使うグッズのことを指します。Prop(プロップス)とは映画や演劇で使われる「小道具」の意味があるのだとか。簡単な仮装のためのヒゲや帽子などのようなものや、「Happy Wedding」「Congratulations!」などといった文字が書かれた吹き出しなどが、棒の先に付いています。これを使うことで、写真撮影後に加工することなく撮影時にその場で面白い写真が撮れたり、簡単なメッセージを写真中に収めることができます。
フォトプロップスの一例
「メッセージを写真に収める」点に注目し、SNS店舗に自社のブランド名などが印刷されたフォトプロップスを準備し、例えばそれと一緒に撮影した写真をハッシュタグを付けてSNSに投稿した人の中から◯名にプレゼント…などといったキャンペーンがよく見られます。
キャンペーンの一例 dejavu RED or PINK キャンペーン(終了)
また、イベント会場にフォトプロップスを準備し、画像が拡散することで、イベントの認知を上げるといった使われ方もよくされています。
そして現在、欧米での流行はフォトプロップスから「フォトブース」に移動しているのだとか。結婚式場やイベント会場の片隅にセットを設けたり小道具を準備し、そこで記念撮影ができるようにするのがフォトブースです。
フォトブースでの写真の一例 Photoby Iain Farrell
こうしたフォトブースは、やはりSNSに投稿されることによる画像の拡散力を狙い、欧米だけでなく日本でもイベント会場で設けられるようになりつつあります。過日、私が参加したウイスキーのイベントでも、かなり力を入れて作られたフォトブースが準備されており、撮影して拡散した人にはスペシャルな一杯をプレゼント、というキャンペーンを行っていました。
流石、宣伝も上手いMHD。やることが早い。
https://www.facebook.com/LagavulinWhiskyJapan/
企業主体で行うキャンペーンの場合、上記の例のようにユーザーに対してSNS投稿を後押しするためのインセンティブはマストです。
だけど、昔から日本にも無かったっけ?
写真を撮らせ、共有させる。SNSにおいて、現在の潮流の一つとして欧米から日本に持たされたという流れをご紹介しましたが、実は昔から日本にもこういうことは無かったでしょうか。
登別温泉で浮かれている筆者
いわゆる顔ハメ写真。日本ならではの文化で、旅先などで見かけるとつい写真を撮ってしまうのはきっと私だけではないはずでしょう。また、観光地などでは丁度風景が綺麗に収まる場所に記念撮影できるような舞台や「◯月☓日△観光記念」のような看板が準備されていたりします。訪れた人に対して、そこで写真を撮るように促す「小道具や場」、家に帰って家族や友人にその写真を見せながら土産話をする「投稿・共有」、そして話された側がいずれ訪れようかと考える契機となる。いわゆる「リーチ」の要素が一連の流れに見られます。(話された人が実際に訪問すれば、観光地側にとっては「コンバージョン」したことになります。)
昨今、Instagramなどといった写真・画像によるSNSの流行をはじめ、ソーシャルメディアの企業活用において、いかに企業のメッセージも含んだ写真を投稿・共有させ、拡散させられるかをSNSサービス提供側が狙った機能やサービスがリリースされ続けています。しかし、これはこれまではリアルの生活中に普通に行われてきたことが、インターネット上のSNSに”場”が変わっただけに過ぎないのではないでしょうか。
過去から現在、日常の生活の中で普通とされている行動の中に、SNSという場に転用すると大流行する要素がまだ隠されているのかもしれません。