Facebookなどの普及に伴い、ソーシャルメディアを通して情報を発信したり・受信する機会が増えつつある中、動画サイトの存在も大きくなりつつあります。視聴するためのPCや、ネット環境の高速化もその背景にあると考えられます。
年代別にインターネット利用時間に占める滞在時間比率を見てみると、YouTubeやニコニコ動画などの動画サイトとソーシャルメディアを併せた時間は、10代ではおよそ3/2、20代・30代でも半分以上の数字が挙げられます。インターネット接触時間の中で、動画サイト・SNSに非常に長い時間を費やしているといえます。
ソーシャルメディア白書2012より
また、視聴環境はPCに限った話ではなく、スマートフォンの普及に伴い、スマホ経由で動画を視聴するユーザー数は、2016年度に3,836万人に達する見通し(2011年の約3倍)で、市場規模は2011年が177億円だったものが、2016年度には601億円になる見通しも指摘されており、ますますネット動画を視聴する機会が増大すると見込まれています。
YouTube動画広告
映像は、テキストや写真だけのコンテンツよりも、情報量が大きく、また、受け手側の理解度・インパクトなども強いため、ソーシャルメディアの中においても非常に大きな伝播力があり、拡散・共有しやすい表現であると言えるでしょう。
以前の記事にも書かせて頂いたのですが(コンテンツ制作側も広告出稿側も気になるYouTube)、YouTubeで人気の動画にCMを出稿することが可能です。視聴したい動画の冒頭にCMが流れ、5秒後にスキップすることができるようになります。5秒間は勿論、広告が表示された時点では広告費は発生しません。視聴者が広告をスキップせずに30秒間(もしくは、それより短い広告は最後まで)視聴すると、広告主に課金される仕組みです。
これは、インストリーム動画広告と呼ばれるものになります。一昨年末から米グーグルが始め、日本でも昨年3月から試験運用が開始されました。
そして、このCM動画からは、外部サイトへのリンクが貼ることができ、LPやSNS等に興味をもったCM視聴者を誘導することができます。最近、こうしたYouTube動画とLP・SNSを連動させたキャンペーンを見かけることが多くなってきました。
YouTube動画広告を中心としたキャンペーン事例
◆アートネイチャー
動画コンテンツの制作には、費用・時間もかかります。既にTVCM等で利用するための動画コンテンツを持っている場合、YouTube動画広告キャンペーンは比較的すぐに展開できるといえます。既にTVCMで放送している動画をYouTubeで展開し、バナー広告やリスティング広告と並行してLPに結びつける形は最もベーシックな手法です。
◆安室奈美恵・新譜アルバム「Uncontrolled」
魅力ある動画コンテンツをそのままYouTube動画広告として利用し、SNSやLPなどに双方向的に視聴者を結びつける手法もあります。
上の動画は、安室奈美恵さんの20周年アルバムとなる新譜のプロモーション用動画です。新宿駅前に掲出する看板をライブペインティングの形で披露した様子のメイキング動画です。
新宿の雑踏や、季節感、早送りを印象的に多用して演出しており、動画のクリエイティブ自体が魅力的な仕上がりのため、楽曲の印象とともに好意的にSNSで受け止められ、YouTube動画の視聴に繋げることができています。そして、その動画自体をYouTube動画広告として利用し、未接触の視聴者にもリーチさせ、LPへの誘導を行なっています。
YouTube動画広告を使った事例の一部を見てみましたが、これらのように動画を核としたLPやSNSと連動したキャンペーンはさまざまな形が考えられます。特に、既に映像コンテンツを持っている企業・団体の場合、バナー広告などと並行して、比較的容易に開始することができます。動画の、”ワンソース・マルチユース”の一つに、YouTube動画広告を考えてみてはいかがでしょうか。