ニュース報道などでも連日報じられていますが、円安の状況を背景に、海外から観光などを目的として日本を訪れる訪日外国人数が、これまでになかった規模で増え続けています。実際、都内を歩いていても多くの外国人の方を見かける機会が増えたように思いますし、都内のホテルが軒並み予約しづらい状況が続いており、私自身も身を持ってこの傾向を実感する今日このごろです。
先週に財務省から発表された情報によると、訪日外国人が日本国内で使う金額から、日本人が海外で支払う金額を差し引いた「旅行収支」が55年ぶりに黒字に転向し、その黒字額は2099億円となったのだとか。(2015年5月13日 日経新聞) 2014年は、日本が「観光立国」として経済を成り立たせていく元年となった年だったのかもしれません。
こうした好況に沸く訪日インバウンドに関する最新データ「訪日外国人消費動向調査」(平成27年1月~3月期)が、先月4月30日に観光庁から発表されました。
旅行消費額と訪日外客数の推移
訪日外国人の数と旅行消費額の推移を見てみましょう。平成23年(東日本大震災)を底にして、ゆるやかに上昇傾向を続けています。特に平成26年以降、その幅は大きくなり、今年に入って急激に伸びた印象があります。平成27年1-3月期の訪日外国人全体の旅行消費総額は7,066億円で、前年同期(4,298億円)に比べ64.4%も増加しています。訪日外客数は413万人で、前年同期(287万人)に比べ43.7%増加しています。外客数の増加の割に、消費額が増えているということは、一人あたりの消費額が増えていることにになります。
訪日外国人1人あたり旅行支出の対前年同期比較
それを証明するデータがこちらになります。訪日外国人1人あたりの旅行支出は171,028円、前年同期(149,517円)と比べ14.4%増加という結果になっています。国別に見てみると、中国からの外客がその傾向を牽引しており、中国人1人あたりの旅行支出は20%以上の増加で30万円に達しており、増加率・金額ともに他国から突出して大きい数字となっています。
国籍・地域別の旅行消費額は、突出してトップは中国2,775億円(39.3%)、次いで台湾1,063億円(15.0%)、3位が韓国725億円(10.3%)、4位が香港541億円(7.7%)、5位が米国368億円(5.2%)の順となっています。これら上位5カ国で全体の8割近くを占めていることになります。
上位5カ国の前期比を見てみると、全ての国で増加傾向にありますが、中でも特に中国は訪日外客数も1人当たりの旅行支出も前年同期に比べて大幅に増加したため、旅行消費額は前年同期に 比べ2倍以上に拡大しています。
目立つ中国人観光客の旅行支出とビザ発給条件
外国人が日本を訪れる際には、日本が発給するビザが必要になりますが、中国からの外客数が増加した背景には、今年の1月に実施された、中国人対象にした訪日ビザ発行条件の緩和が挙げられます。
<相当の高所得を有する者とその家族>
1回目の訪日の際における特定の訪問地要件を設けない(有効期間5年、1回の滞在期間90日)
<十分な経済力を有する、過去3年以内に日本への短期滞在での渡航歴がない者とその家族>
<ある一定の経済力を有し、過去3年以内に日本への短期的な渡航歴がある者とその家族>
沖縄・東北三県(岩手、宮城、福島)を訪れ1泊以上しなければならない(有効期間3年、1回の滞在期間90日)
「十分な経済力」「ある一定の経済力」がどの程度なのか気になるところですが、前者は申請者の年収が20万元(約380万円)以上、後者は10万元(約190万円)以上なのだとか。(2015.2.3 レコードチャイナ)今回の緩和策で、年収にして100万円近く下がったとはいえ、中国人に対する訪日ビザ発給のために求める個人の経済力は依然高い水準となっているようです。
つまり、日本に来ることができる中国人は高所得者層が多いため、支出も多くなっているといえます。中国人の”爆買い”なんて言葉も定着したように思えますが、こうした背景があるからこそ現れた現象とも言えるでしょう。
2015年は益々、訪日外国人数が多くなることが予測されています。こうした外客に対して、弊社では事前に現地でのwebプロモーションを実施する訪日インバウンド施策をご提案しています。どうぞお気軽にご相談下さい!