アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。
先週12月1日、株式会社SHARPのTwitter公式アカウントが、大阪コピーライターズ・クラブの最高新人賞を受賞したことを発表しました(おめでとうございます!)。
SHARP公式アカウントは、Twitterに存在する企業オフィシャルアカウントの中でもウイットに富んだツイートが多いことで有名です。
これまでTwitter独特の文脈を上手に取り入れながら、流行りのハッシュタグの活用や著名人の誕生日を祝うなどの工夫で、多数のフォロワーを獲得してきました。
鬼寒いし鬼広い(冷凍室が pic.twitter.com/nrbaJLTm5r
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 12月 2
師 走 は じ ま っ た な
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 11月 30
【お願い】私にプレゼントをねだられても困ります。たとえ弊社製品でも困ります。 #お前ら欲しいクリスマスプレゼント書いてけ
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 12月 3
また、同じトーンで運用している他社アカウント(タニタさんとのやりとりが目立ちます)とのリプライのやりとりも頻繁におこなっており、公式アカウント担当者同士のオープンな対話の面白みから、高い水準でのエンゲージメント維持に繋がっています。
どうも!中途入社の社員から『あのシャープさんとの絡みで有名なタニタ公式なんですか!?』って言われるタニタ公式です!!
— 株式会社タニタ(公式) (@TANITAofficial) 2014, 12月 7
リツイートなどで出回る発言は上記のとおり「おもしろツイート」が主立っていますが、勿論企業アカウントとして商品PR、CSR活動報告などもしっかりと行われています。
注目すべきはその「商品PRの方法」です。
SHARP公式アカウントの自社製品のプロモーションは単純なCMや公式コピーの焼き増しでなく、よりTwitterという媒体でリーチを見込める文体にリライトされながら、メディアカラーにしっかりと馴染むスタイルで運用されてきました。
受賞を受けての“中の人”のコメントと、企業×ソーシャルの可能性
最高新人賞の受賞発表後、“中の人”は以下のように述べています。
確かにずっと考えていたんです。私のツイートは広告のコピーとして機能しているのか。その問題を一度でも、本職のコピーライターの方たちが考えてくださり、そして一部でも、そう認めてもらえたのはうれしかったです。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 12月 1
同時に、企業垢のツイートはコピーだけじゃない、もう少し多様な意味や役割を持っているとも、私は考えています。広告の持つ身勝手さを減らし、かわりに同じ時間を共有したり、同じ言葉でおしゃべりすることで、耳を傾けてもらえるようにできるはず。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 12月 1
そして、私は私のツイートで、弊社製品が売れるとは思っていません。いつかどこかで、こっちとあっちで迷ったら、弊社を選んでもらう、それくらいの微力さが、ふさわしいと思っています。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 12月 1
弊社は結局、あらゆる人が日常で使う家電メーカーですからね。この垢も、みなさんの生活にそっと寄り添いながら、仲良くしてもらう、それがたぶん、私ができる関の山だと思います。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 12月 1
ですからみなさん、どうかこれからも、TLで仲良くしてください。ただしアレとコレ、どっちか迷ったときはご連絡を。全力で弊社の方、推しますので。
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) 2014, 12月 1
今回の一連の流れは、ソーシャルメディア上の発言が企業のコピーライトとして機能することを、証明づけるひとつの事例となりました。
ソーシャルメディアの運用は根気がいります。
広告のようにお金をかけた分だけファンが純増するとは近年尚更言い難く、実益に結び付く数字を追い求めると頼りなく…どこか遠回りで物足りなく思えるツールかもしれません。
しかし、Facebookでページにいいね!を押しているユーザーのことをファンと呼ぶ通り、ソーシャルメディアで実現できる企業のプロモーションは、消費者と親しくなること。ファンになってもらうことなのだと私は考えています。
そして、直接消費者と触れあい、コミュニケーションが図れるツールだからこそ、アカウントの中の人の温度を伝えていくことが重要です。
SHARPのアカウントを運用しているのは「株式会社SHARP」ではなく、「株式会社SHARPに勤めているソーシャルメディア担当者」なのだと、そうユーザーに感じさせる運用が、成功に結び付いているのではないでしょうか。
日常タイムラインで継続的に触れ合う「SHARPの人」のコピーライティングは、時にどんなに莫大な費用をかけた広告よりも、ユーザーの心を動かすものになる可能性を秘めているのです。