移動を伴ったり、インターネット回線が不安定な会場からのライブ動画配信には、3G回線でのインターネット通信によって別のスタジオに一旦映像を伝送し、安定した環境からUstream・ニコニコ生放送等に配信する方法があります。
以前、弊社の記事でご紹介しましたが、こうした配信を可能にする機材が、いくつかのメーカーからリリースされています。今回は、三信電気様の提供する「LiveU」についてご紹介しようと思います。こちらのメーカー様は、映像の編集システムや放送機材を取り扱っておられ、映像業界の人間には非常に馴染みのある会社です。
LiveU LU70-HD
LiveU LU70-HDは、イスラエル製の機材。ビデオカメラからの映像(映像にエンベッドされた音声)をリュック型の送信装置に入力すると、接続されている最大7回線の3G回線を同時に使用し、HD(1080i)の映像を、インターネットを介して受信機に送信します。そして、受信側は通常の光回線に接続していれば面倒な設定が必要なく(少し設定は必要のようですが)送信された映像を受信し、SDI出力や、そのまま動画サーバーなどにエンコードして、受信した映像を配信することができます。
実際に訪問し、デモを拝見しました。送信機のカバーを外すと、データーカードが刺さるようなスペースが用意されています。7本の通信カードの他にWiFiにも対応しているので、PocketWifi等も使えます。移動が不要であれば有線LANもあるのでより安定して送信できます。機材のOSはエンベッドされたWindowsによって動いています。
基本的には、現場に到着したらカメラを送信機に接続し、電源を入れれば調整や回線接続は全てオートで行われるため、送信機材に慣れていないカメラマンでも、事前の訓練不要で運用できます。
液晶モニターはタッチパネルになっており、状況に応じて、中継の品質を調整できるように調整できるようになっています。
◆低遅延生中継モード(InterviewMode)
映像がネット経由で受信機に届くまでに、どうしても少しの遅延は発生してしまいますが、その遅延が最も少なくするモード。1秒程度の遅延で映像を伝送することができます。スタジオとレポーターとの掛け合いが必要なときに都合が良いでしょう。
◆移動中継モード(BalanceMode)
中継先で全てが完結する番組の場合、少々の遅延は問題になりません。遅延させることでバッファーを持たせ、安定した中継が可能になります。およそ4秒程度の遅延になります。
◆素材伝送モード(MaxQualityMode)
画質重視の場合、10秒程度の遅延で送信することができます。(最大1分まで遅延可能) 中継でも10秒程度では問題無いと思いますが、取材先から編集スタジオに映像素材を伝送する際に都合がよさそうです。
このような移動して利用する機材は、バッテリーの持ち時間も気になります。標準バッテリーで約1.5時間の利用が可能です。オプションの外付けバッテリーで約2.5時間、業務用ビデオカメラで一般的なVマウントバッテリーで約40分持ちます。外部バッテリーは、内部バッテリーに充電しながら使われるようです。
映像の入力にはSDIとHDMIのモデルが準備されています。音声は映像にエンベッドした形で入力する必要があります。USBスロットがいくつかありますが、こちらは主にメンテナンス等の際にキーボード・マウス等を接続して使うためのものとのことです。(小さなバッテリー駆動のwindowsPCですからね・・・。)
mini
リュックで背負うタイプのものとは別に、小型軽量化されたminiタイプのものも近日、リリースされるとのことでした。ショルダー型のケースもありましたが、大型ENGカメラであれば、バッテリー後方に接続も可能そうでした。このサイズであれば、運用が非常に楽そうです。
4系統のデータカードの接続が可能で、標準サイズのバッテリーで1時間、ラージバッテリーで3時間の継続利用が可能です。写真はSDIタイプですが、ボードを差し替えればHDMIやアナログ入力タイプに簡単に変更することができます。
テレビ局や地方自治体などにも多数の導入実績のあるLiveU。三信電気様では、予備機も十分に用意しているため、日常運用の中で故障等の万一の際にもすぐ代替機を準備できたりと、サポート体制が他社に優るのが自信と話していました。
こうした機材によって、より面白いライブ動画中継が可能になることが期待できますね。
<お問い合わせ先>
LiveU http://www.realmovietools.com/liveuhome.html
三信電気株式会社
東京都港区芝4丁目4番12号
ソリューション営業本部 映像システム営業部
電話:03-5484-7270