アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。
今月18日午後9時、塩村あやか都議会議員のツイートから一気に火が付き、連日国内外のメディアに取り上げられている「都議会ヤジ問題」。
女性軽視とも取れる発言に非難の声が相次ぎ、差別発言をした議員の特定と然るべき処分を求める声が、各所から上がっていました。
このツイートの翌日19日、オンライン署名プラットフォームChange.org上に「私たちは、都議会本会議内で女性差別発言をした自民党都議会議員を特定し厳正に処分するよう、自民党東京都連に対して強く求めます。」という題目のキャンペーンが発足。
本キャンペーンは、公開から28時間30分で42,580人分の署名と6,390人分のコメントが寄せられる異例の事態となり、最終署名総数は90,000人を突破した模様。
今週は、そんな今話題のソーシャル署名プラットフォーム「change.org」についてご紹介します。
世界で6,500万人以上が活用する、「変えたい」気持ちを形にするソーシャル・プラットフォーム
「change.org」は今から7年前の2007年2月7日にアメリカで創立されたオンライン署名プラットフォーム。2012年夏頃に日本での使用が可能になりました。
2014年現在で全世界での利用ユーザーは約6,500万人。
facebookの公式アカウントは、81万人のファンを抱える巨大メディアに成長しています。
オンライン署名という文化は、米国をはじめとする諸外国では既にオーソドックスなものとして広く浸透しているようです。
2012年3月の「トレイボン・マーティン銃殺事件」におけるキャンペーンでは220万件以上の署名が集まり(これは「Change.org」で公開されたキャンペーンでも過去最多のユーザーが参加した事例とされています)2011年10月の「デビットカード利用者への新手数料導入反対」を掲げたキャンペーンには、米大統領バラク・オバマ氏も署名し、結果として手数料導入の廃止が実現しています。
日本での事例として最も有名とされているのは、日本人バイオリニスト堀米ゆず子氏のバイオリンがドイツのフランクフルト空港の税関に押収され、高額な輸入付加価値税の支払いを要求されたことへの署名キャンペーン。
仕事道具であるバイオリンへの課税に異を唱えるネットユーザーの声はおよそ2週間で約5,000件ほど集まり、その声を受けた駐日ドイツ大使を介して、バイオリンは無事、無償で返還されました。
誰でも、無料で、たった5分で全国規模の署名活動ができる時代に
「Change.org」は“キャンペーン作成に5分もかからない”とのふれこみ通り、必要最低限の入力項目のみのシンプルなつくりで構成されています。
発起人は
・働きかけたい相手
・その相手に求めるアクション
・このキャンペーンの経緯や重要性の説明
の三つのエリアに必要事項を記入し、キャンペーンサムネイルとなる画像や動画をアップロードするだけで、キャンペーンを無料で開始することが可能です。
組織を編成し、多額の準備金を消費し、地道な街頭での呼びかけなどが必要だった従来の署名活動。
コストの削減はもちろんのこと、ニュース性や人々の関心の鮮度を損ねないスピード感を保ったままの署名活動が実現できるのは、ウェブならではの利点といえます。
また、実際に署名に参加したユーザーにはFacebookやTwitterでの周知、拡散を呼びかけるインターフェースが用意されており、実質的にネットユーザーに参加を促す呼びかけは「発起人、発起団体」だけでなく、「署名した一個人」であるという点も、オンライン署名の大きな特徴のひとつです。
実際にソーシャルで結び付いている知人、友人からの呼びかけであることで、キャンペーンはより身近なものとなり、参加への動機に繋がりやすいものになるのではないでしょうか。
本キャンペーンは、「成功」宣言されました
昨日23日午前、都議会自民党の会派会合において、同党の鈴木あきひろ議員が塩村あやか都議に対して女性差別発言をしたことを認め、会派離脱を申し出たことで本件は一旦、収束(?)となりました。
以下は、キャンペーン参加者に向けて発表された、発起人からの報告文書の一部抜粋となります。
最終的なゴールとは、結婚と子育てを希望する女性の支援体制を整えること、そして同時に、さまざまな事情で結婚や出産を望んでいても叶わない女性や望まない女性に対して強要することのない社会をつくることです。
(中略)
私は、ほんとうのゴールをあきらめないことにしました。
女性のほんとうに生きやすい社会は、すべてのひとにとって生きやすい社会であるはずです。そこでは、きっと子どもたちがのびのびと遊んでいるでしょう。
このゴールは決して近くありませんが、みなさんが声を挙げたおかげで、私たちはささやかな一歩を踏み出しました。これを元に、今回のキャンペーンは「成功」として宣言させていただきます。
「都議会ヤジ問題」における本質での解決、なにをもって成功とするかについては、諸論あるかと思います。
しかし、日本ではまだまだ認知の低かった「オンライン署名」というやり方がたくさんの人に認知され、また90,000人以上の人々がそれに参加したという事実は、日本社会におけるソーシャルの在り方に少なからず変化を齎す、ひとつのきっかけになったのではないでしょうか。