アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。
現地時間今月6日、米Yahoo!は写真共有サービス「Flickr」のソーシャルログイン(対象サービスはFacebookアカウントおよびGoogleアカウント)サービスを、本年6月30日をもって終了すると発表しました。
これまでFacebook、Googleアカウントでログインしていたユーザーが終了日以降、既存のFlickrアカウントを継続利用するには、Yahoo!アカウントを新規に取得する必要があります。
Yahoo!アカウントの取得を促す画面のスクリーンショット
近年のWEBサービスにおいて、ソーシャルログインの導入はほぼ標準化されていると言えるでしょう。
ソーシャルログイン導入のメリットとしては、
- 新規会員登録の煩わしさを解消。利用の障壁を下げる。
- ログイン情報の失念による離脱を防ぐ。
- デイリーに活用するソーシャルとコネクトさせることでサービスの波及にも効果的。
などが挙げられます。
利用するサービスによっては、ソーシャルとコネクトさせることで不必要な情報まで過剰に連携されてしまうという、ユーザーにとってのデメリット面も示唆されてきました。
しかしそんな声を受けて、Facebookが連携する情報を項目ごとにセグメントして制御できる仕組みを公式に導入するなど、ユーザーがより安心してソーシャルログインを活用できるような環境の用意はより精度を上げ、安全面においても徐々に整備されつつあります。(参照:「最近のFacebookは情報を「守る」方針になってきた?」)
WEBサービス全体が運用母体の垣根を越えて、ユーザーの利便性向上と、顧客情報の共有に意欲的な風潮にある近年。
そんな中、独自サービスとして他サービスとの連携を完全に切り離そうとする今回のFlickrのアップデートは、よりシームレスであろうとするソーシャルな時代の流れに逆行する、斬新な試みといえるのではないでしょうか。
FacebookとGoogleをソーシャルログインに活用するユーザーは、全体の八割
以下は、2014年の1クオーター時点の、「ソーシャルログインで活用されている各種サービス」の比率を表した図です。
ご覧いただければ一目瞭然ですが、ソーシャルログインにおいて最も活用されているサービスはFacebookが約半数の42%と圧倒的シェア。
次ぐGoogleアカウントも38%と、その他サービスとは比較にならないパーセンテージです。
つまり、今回Flickrは、単純計算で約80%のコネクトユーザーを一気に切り捨てる選択をしたということになります。
2009年の4クオーターから2014年1クオーターまでのソーシャルログインにおける各メディア変動値(上図)を見てみても、主要2サービスのコネクトを完全廃止するという決断が、かなり思い切ったものであることがわかります。
さいごに
勿論、現状FacebookやGoogleアカウントでFlickrを利用するユーザーのすべてが完全に離脱するわけではありません。
しかし、ソーシャルアカウントの互換性を完全に絶ってしまう本アップデート後、相当数のユーザー減少は避けられないと考えられます。
このアップデートで、Flickrというメディアそのものが、会員獲得のための手段として割り切られてしまったのでしょうか。或いは、GmailやYoutube、独自SNS、オンラインストレージ、アプリマーケットなどのサービスをアカウントで一律管理するGoogleをモデルケースに、Yahoo!サービス内でのユーザー囲い込み施策の一環なのでしょうか。
画像共有型ソーシャル上でのFlickrの孤立化が、今後のサービス運営に、そしてYahoo!社にどのような作用をもたらすのか、完全移行後のユーザー動向に注目です。
グラフ引用 : janrain 「Social Login Trends Report for Q1 2014」