バイラル動画

今、企業動画は「素人」っぽさが万人に愛される成功パターン

アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログをお届けします。

若年層を中心に勢いづくショートムービーや、企業のバイラル動画プロモーションが続々と増加傾向にあるなかで、「社員」や「従業員」を全面に押し出した「スタッフムービー」(と、本エントリー内では呼びます)が昨年から継続的に話題になっていることにお気づきでしょうか。
今週は、そんなスタッフムービーについてまとめてみました。

日本におけるスタッフムービーの「はしり」は、やっぱり「恋チュン」

スタッフムービーのWEB動画のプロモーション事例で最も有名どころとしては、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」のフリに合わせて踊った様子を撮影した、ご存じ「恋チュン動画」です(ちょっと古いですが)。
代理店主体で制作された動画のほか、自発的に動画を制作する企業や団体の後追いアップロードが続出し、Youtube上にはちょっとした「恋チュン旋風」が巻き起こりました。

たくさんの企業動画のなかで個人的に一番好きなのは、AKBの公式チャンネル上で203万回も再生されている、東京の老舗タクシー・ハイヤー会社である日本交通株式会社の社員のみなさんが踊るこの動画です。
アパレルやIT企業のような画面の華やかさは微塵もありませんが、かっちりスーツに白手袋のタクシー運転手の男性が、たどたどしく踊る姿に非常に和みます。

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楽しそうな役員の方々。

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最後は「N」字に整列した社員が深々と一礼します。黒塗りのタクシーが両サイドにズラリと駐車されている光景は壮観です。

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規模感で勝負の「伊勢丹」、アットホームで楽しいオリジナル楽曲の「WAKODO」

また、直近の事例では今年3月末、大型百貨店伊勢丹の従業員約500名が、ソングライターの矢野顕子さんの曲「ISETAN−TAN−TAN」に合わせて踊るプロモーションビデオが公開され、話題になりました。

お買いものを終え、ゆったり休憩している来店者が急に立ち上がって踊り出す出だしは、欧米で流行のフラッシュモブっぽい演出です。

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振付はPerfumeなどを担当する振付師MIKIKOさんに依頼し、動画に出演する従業員もオーディションにより選抜するなど、企業版「踊ってみた」系の動画のなかでは、非常に大掛かりなつくりになっています。

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公開から二か月あまりで、約43万回再生された、成功事例です。

 

下記は、伊勢丹の事例同様、企業オリジナルの楽曲と振付を起用したスタッフの踊ってみた系プロモーション動画。

和光食品工業株式会社(和光堂)が制作した、粉末カフェオレ商品「牛乳屋さんの珈琲」のプロモーションキャンペーンです。振付はパパイヤ鈴木さんが担当。

工場の人や…

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会議室や…

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役員さん(?)…

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倉庫管理の方まで。

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セクションの垣根を越えて、プロモーションしたい商品に携わるすべてのスタッフが出演する、アットホームでなんだかゆる~い作品に仕上がっています。音楽が独特で中毒性があります。

 コピーが活きる!今夏のH.I.S.のスタッフムービー

上記のとおり、社員にクローズアップしたスタッフムービーの流れは「社員が踊る」というパターンがポピュラーになりつつありますが…。
旅行代理店のH.I.S.が今夏、TVCMとして放映しているこんなやり方も素敵です。

社員の方が旅行先で撮影したホームビデオやスナップ写真が、軽快な音楽をBGMに数秒毎に切り替わる、ショートムービーアプリで作ったような動画構成になっています。

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画面設定が暗すぎたり、ふらふら手振れしていたりするのが逆に『味』になって、素朴なあったかみのある動画に仕上がっていますよね。

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実際に思いっきり旅を楽しんで満喫する方法を知っているスタッフだからこそ、素敵な旅のプランを提案することができる…そんな説得力のある魅力的なプロモーションですね!

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さいごに

いかがでしたか?
まるでフィード上に流れてくる親しい友人のホームビデオを視聴しているような気持ちで、違和感無くすんなり内容が入ってきませんか。
いずれも、企業の先に存在する「働く人間」の温度感を共有することで、ビジネスライクで冷たくなりがちな会社組織と消費者の距離をぎゅっと縮める、素敵なプロモーションになっていると思います。
綺麗なタレントでも有名な俳優でもない、どこにでもいる「普通の人」の姿は日常の中とても身近で、だからこそナチュラルです。
ローコストで、かつ、プロには決してマネできない「素人くささ」が、視聴者に広く受け入れられやすい「スタッフムービー」施策。
バイラル動画プロモーションをお考えの担当者様は、選択肢の一つとして是非、ご検討ください。