Youtubeチャンネル登録数国内No.1!SonyやGoogleを超える日本企業とは…?

アクトゼロの藤村です。火曜日のプランナーズブログ、今回はYoutubeのチャンネル運用に成功している、とある企業をピックアップしてお届けします。

PCの前に座って見るという従来のスタイルから、スマートフォンでどこでも気軽に視聴できるスタイルへと変化したことで、訴求ツールとしてのYoutubeは、発信側、受信側共に、より身近なものとなりました。
国内事例はまだまだ少ないですが、積極的にYoutubeでの展開を取り入れたプロモーション事例は、近年欧米を中心に急激に増加。
これまで名だたる大企業のみが参入していた自社チャンネルも、企業規模に関わらず、続々と開設されています。
今や、Youtubeは単なる動画共有サイトとしての域を超え、プロモーションツールとして非常に強い影響力を持つチャネルです。

昨年末、国内でチャンネル登録者数が最も多いYoutuberのTOP10をまとめて発表しました。(やっぱりHIKAKINさん強かったですね…)
では、今国内で一番登録者数が多い、人気トップの企業チャンネルって、いったいどこだと思いますか?

国内の企業・ブランドチャンネルにおける登録者数ランキング(2014/01/21調べ)

以下、動画分析サービスyoviosから抽出した、Youtube企業・ブランドの、チャンネル登録者数ランキングです。

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ご覧のとおり上位10社には、Sony、GoogleJapan、バンダイ、スバル、トヨタ、ホンダのほか、そうそうたる大企業がランクインしています。
では、Sony、Googleをおさえて、一位に輝いた企業はどこでしょう…?

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Sonyと約1,500人ほどの差をつけて、国内企業のチャンネル登録者数首位は、株式会社ワコムが運用するチャンネルwacomwclでした。

【株式会社ワコム】
パソコンの周辺機器、特にペンタブレット・CAD関連の製品を得意としており、2010年ペンタブレット業界では日本国内で85.7%(*BCN発表データ )を占めるNo.1企業である[1]。ペンタブレット関係製品で多数の特許を保有している。また、特許戦略に強みを持ち、一部の特許が期限切れになった際も関連技術の特許を持ち防衛体制の整備につとめている。(wikipedia)

上記のとおり、ワコムといえばプロ使用のペンタブメーカーとしてクリエイティブ界隈では有名です。ペンタブという物自体、万人が使用するツールではないので、もしかすると企業名をご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
私は絵心がないので、ペンタブのメーカーによる違いってピンときませんが…弊社イラストレーターにワコムのペンタブってどう?と聞いてみた結果「他社のものに比べるとクオリティが全然違う」そうです。もちろん弊社クリエイターが使用しているのはすべて、ワコムさんのペンタブです。流石シェアNo.1。

とはいえ…その他ランクイン企業と比較して、老若男女、誰しもがピンとくる企業…とはちょっと言い難いワコム社の運用チャンネルが、一体なぜSonyやGoogleを凌いで首位に立つことができたのでしょう。

実際にチャンネル登録動画を視聴してみた

ワコムのチャンネルは、主に三つのカテゴリー分けで成り立っています。
気鋭のイラストレーターが、実際に一枚のイラストを仕上げていくまでを早送りで撮影したシリーズ「イラストレーター Live Painting」。
製品のトレーラー(CM)を詰め込んだ「ワコム製品ムービーWacom Product Trailer」。
そして、ワコム社製の製品を使用しているトップクリエイターのインタビュームービーを集めた「Intuos5 Creators Movie」。
再生回数順にソートをかけると、上位10件の動画すべてが、「イラストレーター Live Painting」カテゴリーのものでした。

一番見られている動画 岸田メル先生のLive painting

このコンテンツ、すごく面白いです。
視聴数が最も多かった上記の岸田メルさんをはじめ、涼宮ハルヒシリーズなどを手掛けるいのうのいぢさんや、初音ミクをはじめとするクリプトン社ボーカロイドのデザイナーKEIさん、まどかマギカのキャラクターデザインを担当した蒼樹うめさんなど…
人気の高い著名なイラストレーターを続々起用し、実際にプロのイラストレーターがワコムの液タブを使用して絵を描いていく様子を、淡々と伝えています。
さらさらとキャラクターが生まれていく様子は、絵を描かない私のような人間でも、まるで魔法のようで、ついじっくりと見入ってしまいます。ご自身でペンタブを使われるユーザーさんにとっては、きっともっと興味深いコンテンツなのでしょうね。

ところでこちらの動画、この商品はどういいか、といった、ペンタブそのものの売り込み的要素の説明がほぼ皆無です。
販促というよりは、チュートリアル然としています。
しかしそれでいて、商品性能の訴求や購買意欲の向上に強く訴えかてくる、非常に魅力的なコンテンツに仕上がっていると思いませんか。
ワコムの投稿する動画は、Youtubeで視聴者が求める映像がどんなものなのか、とても良く考えられたつくりになっているのです。
「Live Painting」のカテゴリーのみでなく、ドキュメンタリー仕立ての「Creators Movie」コンテンツの動画たちも、いい意味であまり商売っ気を感じさせません。
売り売りな広告としてでなく、ひとつのエンターテイメント作品として展開することで、チャンネル全体通してとてもスマートなプロモーションが成立している。
ワコムのチャンネルが、大企業を押しのけ多くのユーザーに支持される理由は、「Youtubeに最適化されたコンテンツ制作」が徹底された、丁寧な運用の結果だと感じました。

もちろん、トップ3のそれぞれの企業チャンネルもいろいろと工夫されています。
Sonyのチャンネルで最も再生されている動画は、ラジコンヘリにsony製のビデオカメラを搭載し、軍艦島を空撮するというドキュメンタリー風のつくりになっていますし、3位のタカラトミーのチャンネルでは、東京消防庁の実際の消防車の説明を交えた、子供番組風の動画の制作に、意欲的に取り組まれていました。

Youtubeでのプロモーションは、面白くしなきゃ絶対意味がない。

YoutubeはテレビCMではありません。
従来の広告の概念で一方的な情報を垂れ流すだけでは、ユーザーに選択してもらうコンテンツとして、一歩及ばないことがほとんどです。
エンタメコンテンツの中に、いかユーザーにストレスを与えることなくPR的要素を組み込むか。
Youtubeをはじめとするムービープロモーションは、ここが最も重要なポイント、キモになってくると思われます。
飛ばせないトゥルービュー広告が反感を生み、企業PRとして逆効果になっている現状からも読み解ける通り。
コンテンツの選択権を与えられた視聴者は、これまでの受動的な受け手の何倍もシビアで、冷たいものだと考えるべきです。

 

Youtube広告への違和感を呟くユーザー
111 解析ツール データセクション株式会社 Insight Intelligence

 

企業チャンネルは数あれど、テレビCMをPC用にエンコードして、アップロードしているだけのチャンネル運用を本当にたくさん見かけます。
せっかく開設されたチャンネルの運用法としてはそれってとても勿体ないですし、そもそもYoutubeにチャンネル持ってる意味あるのかなあと思うのです。
だって自らCMを探しに来るほどの熱心なファンに向けたものであるならば、ブランドサイト上での展開で事足りますよね…?
敢えてYoutubeという解放されたフィールドでコンテンツを展開していくのなら、これまでアピールすることの難しかった幅広いエリアのユーザーまで届けるための、プロモーション手法の発想転換が不可欠なのではないでしょうか。
なんとなく目に、耳にする広告と違い、コンテンツに溢れ返るYoutube上でユーザーの取捨に漏れないためには、選ばれるための工夫や仕掛けが必須です。
企業規模やブランド力といったこれまでの広告的な強みは、Youtubeというチャネルにおいて、今後ますます力を失っていくのでは、と予想しています。
そのコンテンツはエンタメとして面白いか、ユーザーがよりごのみしてくれる価値のあるものなのか。もっと分かりやすく、ストレートな力比べになってくるでしょう。
だとするなら、企業にとってもまた、Youtubeはとっても夢のある市場ですね。
数年前までただの一般人だった男性は、たった数年でお茶の間に流れるTVCMのイメージキャラクターに起用されました。これまでの知名度や規模は、さほど重要な意味を持ちません。

Youtubeはただシンプルに、面白ければ勝てるメディアです。