【放送打ち切りでもネットで広がる】奥さん、普通のきのこと立派なきのこ、味がいいのはどっち?

日本全国“きのこ”マニアのみなさん、こんにちは。
アクトゼロのプランナーズブログ、木曜日は山田がお届けします。

“きのこ”と言えば、10月に強烈なインパクトを残して打ち切りになったCMがありました。

「奥さん、普通のきのこと立派なきのこ、味がいいのはどっち?」と女性の耳元でささやく男性。
「どっちも一緒よ!」と切り返す女性の手を掴み、おもむろに男性の持つ“きのこ”を握らせる…。

という、きのこを製造する食品メーカー「ホクト株式会社」のCMです。

CM放送打ち切りでもネット上で拡散

個人的に、面白い!という好印象を持って眺めていたCMでしたが、不適切な内容であるとか、子供が見たらどうするのかであるとか、いろいろな抗議があったようで放送が中止となってしまいました。
ここでは、内容についての是非を論じるつもりはありませんが、この短期間しか放送されなかったCMは、ネット上でいまだに話題になっており、その点は非常に興味深いと考えています。

CM動画は10月で打ち切りになっているのですが、Youtube上にアップされたCM動画は現在345万回以上再生されています。
コメントも1000件以上ついており、賛否両論ではありますが、比較的肯定的なコメントが多く見受けられます。

ちなみに、その動画はこちら。

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また、SNS上ではどうなっているかを見てみると、Topsyで「ホクト(オレンジ)」「ホクト CM(ブルー)」と「立派なきのこ(グリーン)」を調べてみたところ、直近1ヶ月で「ホクト」は50,000ツイート、「ホクト CM」は42,000ツイート、「立派なきのこ」は32,000ものツイートがされていることが分かりました。CMが集中的に放送されていたであろう10月で、最も多くツイートされた日には、1日に各ワードが10,000ツイート以上されており、11月に入った直近でも一日に三桁以上ツイートされている日が殆どです。

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さらに、同業種で有名な「雪国まいたけ(ブルー)」のツイートされた数を同じ期間で比べてみると、通算で約3,100ツイートに留まっており、ツイッター上における「ホクト」の存在感はかなりのものだったと言えます。
10月の下旬に「ホクト」が爆発的にツイートされた前後を比べてみると、以前は「ホクト」と「雪国まいたけ」の差はあまり見受けられませんが、11月以降平均的に「ホクト」が多くツイートされており、現在に至るまでその状況は変わりません。

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ちなみに、常に激しいバトルが繰り広げられている「きのこの山(オレンジ)」「たけのこの里(ブルー)」を参考までに見てみると、同期間で両者とも57,000ツイート以上されており、王者の風格さえ感じてしまいますね。
そういった意味で、「ホクト」の50,000ツイートという数は、頻繁にツイートされる一般的なワードでないことを考慮すると、ツイッター上ではかなり話題になったと言えるかと思います。

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さらに特徴的なのは、このCMを見た視聴者が、パロディの動画を作ってニコニコ動画上に公開していることです。
アニメやゲームなどのキャラが、このCMのパロディにされていたり、あの「半沢直樹」も“立派なきのこ”の餌食になっています。

CMが打ち切られた後も、Youtube、Twitter、ニコニコ動画というネット上で拡散や二次的な創作が行われているというのは、とても面白い流れであると言えます。

広がりを生んだ要因は、面白い内容+パロディできるフォーマットの提供

最後にご紹介したニコニコ動画におけるパロディ動画の登場で思うのは、ネット上でムーブメントや広がりを生み出すための要因として、第三者がパロディにしたくなる内容というのが一つのポイントなのではないかということです。つまり、内容を改変して楽しめる“内容=フォーマット”を提供することで、ユーザー自身が勝手にパロディ版を作りネット上に広めてくれるという流れです。
今回のCMで提供されたのは、二人の登場人物が、下ネタに繋がる際どい表現を伴った掛け合いを行う形が、パロディに向いている“フォーマット”だったということになります。
そのフォーマットが面白いものだったため、アニメ/ゲームのキャラクターやドラマの登場人物を使って、ユーザーがパロディ版を制作したのではないかと思います。

Twitterやニコニコ動画などによって、パロディコンテンツの共有スピードや拡散力は非常に高まっていますが、実はパロディによってムーブメントを生み出すこと自体は、ネット文化としては、かなり昔から存在しているものです。

懐かしいところでは、語学スクール「NOVA」のCMに登場するウサギが歌うCM曲が(いっぱい聞けて、いっぱいしゃべれる~という内容の歌)、多くのネットユーザーによってリミックスされたり、2ちゃんねるなどの掲示板では面白いレス(例:吉野家コピペ)を改変してスレッド上で貼りまくるコピペ改変の文化があったり、元ネタを様々な形に改変していくパロディ化の流れが根差していると思われます。

企業が打つ広告(CM)自体が面白いのは当然のこと、パロディを作りやすい“フォーマット”を提供することが、ネット上で広がるためには欠かせない要素になっているのではないでしょうか。
例えば、企業公式のソーシャルアカウントでも、自社のマス広告のセルフパロディを作ることで、様々なSNSユーザーの創作意欲を刺激することができるかもしれません。
今回はCMというジャンルでしたが、Webプロモーションでも同様に、ユーザーにいかに弄ってもらえる、パロディ版の創作意欲を掻き立てるコンテンツはアイデア次第で提供できると思います。
実は、利用されるサービスはことなっても、この流れは、ある意味普遍的なものかもしれません。