「上司がむかつく!会社のビルを爆○してやろうかな!」と同僚にメールすると家にCIAが来るかもしれません

週の真ん中、水曜日のソーシャルメディアインサイト、アクトゼロの山田がお送りします。

皆さんは、SNSを利用する際に、その投稿内容についてどれくらい意識されていますか?もしくは、メールにおいて、相手にしか見えないからと過激な内容になっていませんか?
以前の記事にも書きましたが、直接的な内容ではなくても小さな要素が積み重なることで、個人を特定されるといった大きなリスクに発展することも十分考えられます。そういったリスクを回避するために、投稿の共有範囲を制限し、必要以上に衆人の目にさらさないように対策している方も多いのではないかと思います。

しかし、政府が断りもなくそういったインターネット上の個人情報を収集していとしたら…。今回は、現在進行形でニュースになっている、米国の個人情報収集について取り上げ、個人のインターネットにおける情報のあり方について考えてみたいと思います。

米政府がSNS等のサーバーから個人情報を収集していることがニュースに

事の発端は先月、テロに関する報道を行った通信社記者の通話記録を米司法省が収集していたことが発覚したことに始まります。

その後、今月に入り一般市民のインターネット上の情報を大規模に収集していていたことが欧米のメディアで報道され、大きな波紋を広げています。
これは「PRISM」計画と呼ばれ、電話やメールの内容をはじめ、インターネット上での個人のアクティビティをひそかに収集し、分析を行うというものです。

極秘資料の存在を報じるワシントンポスト紙

さらに、米国のオバマ大統領や元CIA職員を巻き込んで、その情報収集のあり方が大きく問われ、現在も進行中の大きなニュースとなっています。
ただ、GoogleFacebook側は関与を否定しており、存在自体も認知していなかったといったニュアンスの声明を出してしています。

Facebook社CEOの投稿

過去、「エシュロン」という軍事目的の通信傍受の仕組みが話題になりましたが、「PRISM」はそういった情報収集活動の延長線上にあるシステムであることは容易に想像できます。

もし一連の報道が事実だとすると、国家の安全保障の名の元、市民(個人)、もしくは各サービスに許諾を得ることなく個人の情報にアクセスしていたことになります。
一般に公開しているインターネット上だけでなく、公開範囲が限定されたSNS上の投稿、そして、完全にクローズドなはずのメールの内容まで収集されているということです。

何気ない友達とのメールの中で「上司の○○がむかつくから、会社のビルを爆破してやろうかな!」と書くことによって、米政府からテロリストとしてマークされ、家にCIAが乗り込んでくるかもしれません。

スマートフォンの利用で行動が細かく把握されている可能性も

実は、今回のケースを考えてみると、SNS上でのアクティビティ-投稿やシェア-だけではなく、インターネット上に残された細かなログにまで影響が及ぶのではないかと考えられます。それは、紛れもなくスマートフォンの急速な普及に伴うもので、我々が常にオンライン状態に身を置いていることに起因します。

例えば、スマートフォンで写真を撮ってクラウド上に保管しておくとします。多くのスマートフォンは、付属のカメラで写真を撮影する際には、撮影日時だけでなく、端末の情報や撮影された場所(GPSデータ)を記録しています。その情報を辿ることで、その写真を撮影していたユーザーが、何月何日何時にどこにいたのかを把握することができます。

写真に埋め込まれている情報

また、Googleアカウントでログインした状態で検索すると、そのアカウントがどういった内容に興味を持ってるのか、またどういった情報を必要としていたのかを掴むことも可能でしょう。
乗換案内を検索すると、どこに何時に行こうとしているのかを掴むことができますし、近辺のレストランを探していた場合は、食事をした場所の特定も可能なはずです。

端末のGPS情報

このように、スマートフォンを手にすることで便利になった反面、常にオンラインであり情報に接触し続けていることで高まるリスクも存在します。
例えば、自らSNS等で発信する情報はコントロールできたとしても、意図しない通信における情報交換については、認識していない人も多いのではないでしょうか。
Wi-Fiを常時オンにしている場合、接続可能なワイヤレススポットを常に検索しているわけですから、端末を乗っ取る目的のスポットに接続してしまい、端末を乗っ取られる可能性も十分想定されます。

今回の米政府の個人情報収集は一説には、米国外の人間を対象としたものであるとの報道もあります。つまり、米国外が対象となっているわけで、海の向こうの出来事と傍観することはできないと考えられます。今一度、自身のインターネット上のアクティビティの管理を徹底するとともに、使用しているスマートフォンの設定などを見直してみることも必要だと言えます。

ちなみに、冒頭のワシントンポスト紙が入手した資料のサービスロゴの一覧にTwitterが含まれていないようなので、Twitterなら安心かもしれません。

アクトゼロ/山田佳祐