はじめまして。アクトゼロでリサーチを担当させて頂くことになりました久原です。これから、業界やサービスごとのプロモーションについての最新動向をレポートを順次公開していきます。
今回は、教育業界のウェブプロモーションです。進研ゼミ(ベネッセ)の有名なマンガ。地元学習塾の折り込みチラシ。紙広告によるプロモーションが主流と思われる教育業界ですが、今日は、増えつつあるSNSやウェブ上のプロモーションに焦点を当て業界上位の会社の事例を交えて最新の動向をご紹介します。
CASE 1: Web 学生や親向け「診断系コンテンツ」が主流
ウェブ上のプロモーションとしては学生や親に向けた「診断系コンテンツ」は、最も主流で、東進ハイスクール、Z会、ベネッセ、トーマスなど多くの上位企業が診断コンテンツを作り、最終的に自社のサービスに誘導するようになっています。
■超有名講師でサービス購入に直につなげるプロモーション|東進ハイスクール
ビデオ講座を提供する東進ハイスクールは、「超有名講師の講義を誰でも受けられる」という強みを活かしたおすすめ講座を診断するコンテンツを提供しています。志望校レベル、自分の学力(偏差値)により判定されます。「超有名講師」を全面に押し出し、サービスの購入につなげようとするプロモーションです。
■受験以外の子育てに注目したサービスを展開|Z会
Z会は、受験以外の子育てに注目した「お母さん力講座」を展開。「怒らない子育て」に焦点を当て、子どものタイプを診断することを切り口に、自社サービスでその解決策を有料コンテンツで解決に導くという顧客導線を描くプロモーションを展開しています。
■トーマスの強み「個別指導」でサービス訴求|トーマス
トーマスは、強みである「個別指導」をPRする「TOMASチェック」を提供。診断で子どもの様々な個性を認識させるコンテンツの仕組みになっています。子どもは何が得意で、それにはどのような教育が合っているのかを親に訴えることで、「子どもの個性に合わせた指導」が出来るというサービス訴求を実施しています。
CASE 2: SNS 認知拡大?SNSと拡散コンテンツを連動
SNSと連動させることで認知度の拡大を図ろうとしている事例もあります。全国統一テストや東進ハイスクールの独自講師など各社独自コンテンツを全面に押し出したものがよく見られます。
■小学生を持つ親を「Facebook」で囲う|四谷大塚
四谷大塚は、大人向け「全国統一小学生テスト」をFacebookで展開。まず、小学生を持つ親に知名度を上げるために、親世代(20代後半から40代)の使用率が高い Facebookをプロモーション手段として使用しています。また、「結果の共有」という参加型のキャンペーンとすることで、同世代に友達を多く持つであろう親にシェアしてもらうという効率的なPRを狙っていると考えられます。
■知名度向上と生徒との直のチャネルを確保|東進ハイスクール
東進ハイスクールは、テレビなどで話題の個性的な講師陣を使ったスタンプを無料配信。全国的に知名度を上げることを目的としていると考えられます。
また、地方で有名講師の講演や無料講座を以前から展開している東進にとって、東進のサービスに引き込む潜在的な生徒を確保するための手段として機能しているのではないかと思います。
CASE 3: オリジナルコンテンツ 主なターゲットは学生
ベネッセは、業界の中でもプロモーションのターゲットを生徒に設定。インターネット上の学生向けの限定コミュニティーから公式twitterの運用などを展開しています。
■プロモーションターゲットは「学生」|ベネッセ
独自コンテンツ「cal-fee(カルフィ)」は、SNSやウェブ上に勉強目標をシェアするコミュニティーを展開。生徒が自らやりたいと思わせる手法を以前(マンガDM等)から取っている同社は、ウェブ上でも生徒が楽しいやってみたいと思わせる仕組みが中心です。他社とは異なった生徒の囲い込みを展開している印象です。
まとめ インターネット世代の親はスグそこ 適切な広告を準備出来るか!?
現在、最も主流なのは、サービス訴求を行う診断系コンテンツです。しかし、その内容は「講座の提案」「子どもの知性判断」など真面目なものが大半です。これは教育サービスの選択者である親をターゲットに想定しているからだと考えられます。
一方で、今の高校生を子どもに持つ親の世代以降は、情報リテラシーが高い人が多く、DMやチラシが多い教育業界のアプローチ方法が変わっていくことは明白です。今後は、いかに「ネット世代」にSNSやウェブを通じてサービスを訴求していくかを十分に検討することが求められると考えられます。