訪日インバウンド動向ニュース~2017年10月

夏も終わり、秋が始まったかと思えば、当社、株式会社アクトゼロの所在地である東京は急に寒くなり、まるで秋を飛び越して冬になってしまったような気温です。また、天候が悪く、雨の日が続いているのは、東京・関東だけではないと思いますが、観光の秋のはずなのに、頭を痛めている観光関係の方も多いのではないでしょうか。しかし、海外から訪日される外国人観光客の数は非常に順調に伸長しているようです。今日は久々に、訪日インバウンドに関するニュースをまとめてお送りしようと思います。

訪日外客数/9月の訪日外国人客、同月過去最高の228万人、最速で年間2000万人突破

2017年10月18日の、JNTO(日本政府観光局)による発表によると、2017 年9月の訪日外客数は、前年同月比 18.9%増の228 万人になり、昨年同月の人数から36万人以上上回り、9月として過去最高となりました。また、9月までの累計は2,119万6千人となり、年間ベースの訪日客が、過去の年の中でも最も早いペースで 2,000万人を超えました。これは昨年と比べると、45日も早い達成になるのだそうです。

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東アジア市場において、昨年9月にあった祝日が10月に動いたことにより9月の旅行の機会が減少したとはいうものの、国別での訪日客数をみてみると、中国が前年同月比29.9%増の67万8300人、次いで韓国が29.3%増の55万6900人、続いて台湾34万7800人(0.1%増)などと、堅調に伸長しました。航空路線の拡充などが後押しし、訪日外客数全 体の伸びを牽引した結果だと分析しています。また、秋季の需要獲得に向けて各市場で実施した訪日旅行プロモ ーションの効果も、訪日意欲の喚起に貢献したと考察されています。

レンタカー業者の総収入が1兆円を突破、訪日外国人の増加で。 訪日客向け高速定額乗り放題も

帝国データバンクの調査・報告によると、レンタカー業を主業とする企業273社の2016年度の総収入高は、1兆648億1300万円(前年度比9.6%増)と1兆円を突破し、過去10年間で最高となりました。

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「特別企画:レンタカー業者の経営実態調査」発表資料PDFより

こうした伸長の背景には、近年、若者を中心とした乗用車の「保有」から「シェア」への意識変化によってレンタカー需要が高まっていることだけではなく、訪日外国人観光客需要の増加などで利用者のすそ野が広がっていることも要因と考察されています。レンタカー業者の本社所在地を都道府県別にみると、最も多かったのは「沖縄県」の23社(構成比8.4%)と、年間を通じて観光・リゾート客が多く訪れる観光地や大都市圏に多い傾向となっているようです。

特に沖縄では、訪日外国人観光客の運転マナーの悪さや、交通事故の多さも指摘されており、国交省も対策に乗り出しているようですが、こうした訪日観光客のレンタカーのニーズに対して、関西の方ではこんなサービスを期間限定ですが開始するようです。

レンタカー利用訪日客向け 高速定額乗り放題開始

訪日外国人客が増加する中、NEXCO西日本など高速道路会社や道路公社は25日から、関西広域を対象とした初のインバウンド向け高速道路周遊割引商品を販売を始める。対象の高速道路が定額乗り放題となり、訪日外国人の地方誘客にひと役買う。

取り組むのは、NEXCOの西日本と中日本、阪神高速道路、大阪、京都、兵庫、奈良の各道路公社で、商品名は「関西エクスプレスウェイパス」。12月17日まで実施する。
(2017年10月16日 大阪日日新聞

パスの有効期限は2日間から最大10日間まであり、例えば3日間のもので、利用可能な道路に応じて、6,500円と8,200円の価格になるのだとか。申込は、予約した指定レンタカー会社の関西国際空港の店舗で申し込むことができるようです。九州ではすでに平成26年度から同様のサービスを展開しており、、開始当初の利用数が年間2,200件だったがものが、平成28年度には14,300件の利用実績があったのだとか。

開港当初は、位置的に不便で、一時は存続が危ぶまれるほどだった関空も、今では海外からの関西の玄関口として、飛ぶ鳥を落とす勢いで業績を回復させていると聞きます。車移動の可能性が広がることで、より一層、関西方面のインバウンド需要が高まるのではないでしょうか。

「急成長渡航先ランキング」伸長率で大阪が2年連続で世界一

9月末日に米国マスターカードが発表した「2017年度世界渡航先ランキング(Mastercard Global Destination Cities Index 2017)」によると、渡航者数の成長率を比較する「急成長渡航先ランキング」で大阪が1位に輝きました。

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報道資料より

成長率トップ6は以下の通りとなっています。

1位:大阪 24.0%
2位:成都(中国・四川省) 22.7%
3位:コロンボ(スリランカ) 20.3%
4位:アブダビ(アラブ首長国連邦) 18.9%
5位:ジャカルタ(インドネシア)18.2%
6位:東京 17.7%

渡航者の人数としては東京が9位、大阪は17位ですが、ともに前年から着実に順位を上げています。(東京は2015年11位。大阪は2015年の25位。)

マスターカードは、特にアジアで中産階級が増加することによる海外旅行ブームが起きており、今後、さらに世界の都市間での競争が激しくなる中で、渡航者のニーズの変化に対応した観光誘致を行っていくことが大切だと指摘しています。

観光局、訪日外国人旅行者向け観光情報アプリ「Japan Official Travel App」提供開始

日本政府観光局(JNTO・プレスリリース)が、スマートフォン(iOS・Android)向けのアプリを9月末より提供しています。

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公式サイトはこちら

訪日外国人旅行者を対象としたアプリで、電車の経路や地図などといった、基本的な情報が検索できます。普段、日本に住む私達が日常的に使っているWebサービスを提供している民間企業と連携している点が特徴的で、LIVE JAPAN、株式会社オールアバウト、タイムアウト東京株式会社等による観光情報記事を定期的にしたり、株式会社ぐるなびと連携した飲食店検索機能の提供、株式会社ナビタイムジャパンの技術協力による経路案内機能の提供などと、非常に実用的なアプリとなっています。災害時情報提供サイト「Safety tips for travelers」とも連携していて、緊急時に必要な情報も提供するのだとか。対応言語は、英語、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)。

最近では徐々に整ってきたとはいえ、まだまだ外国人に対して案内板などのようなサインが少ないと言われている日本で、観光をする際に非常に役に立つのではないでしょうか。無料WiFiスポットの紹介などもされるようです。

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日本の経済活動の中でも、特に元気が良いように感じられる訪日インバウンド施策。明後日の日曜日には衆院選が控えていますが、各政党・候補者が、外国人旅行者4000万人達成・観光立国・地方創生/地域活性化などといった、訪日インバウンドに対する公約を掲げています。こうした公約が達成できるような体制が、今後より強くなっていけばと思います。