こんにちは、アクトゼロの山田です。
ここ数年で急速に一般化したネットのテクノロジーの一つに、動画を使ったライブ配信というのが挙げられます。カメラと高速通信の両方を兼ね備えたスマートフォンの普及に加え、日常的に使っているサービス(例えばYouTubeはFacebook等)上に配信する機能が設けられたことも、その拡大を後押ししたと考えられます。逆にライブ配信に特化していたUstreamなんかは、もはやその存在さえも忘れられているのではいかと思うほどユーザー離れが進んでおり、対照的とも言える状況です。(Ustream、今はIBM Cloud Videoというサービスになっています。)
ただ、様々なサービスがライブ配信機能の導入を始めていることもあり、ユーザーからしてみると、どこで配信するのがいいの?と思うのが当然の流れで、徐々にサービスごとに特色を出し始めている、そんな状況になりつつあります。
顔フィルターでリアルタイムに配信者の顔にエフェクト
そうした状況の中、Instagramのライブビデオに他社サービスには無い新たな機能が追加されました。その機能とは「フェイスフィルター」と呼ばれるもので、すでに通常の写真撮影時に使える機能ではありましたが、今回のアップデートによって、ライブ配信でも使えるようになりました。
フェイスフィルターがどういうものかというと、被写体となるユーザーの顔をInstagramアプリが認識し、その顔に対して指定したフィルターを掛けることができるという機能です。
you can play with face filters while sharing live video. Whether you’re channeling a kitten or want to add some stars or rainbow light to your face, you can easily try on face filters while connecting with friends and followers in the moment.
公式の発表では上記のように述べられており、ライブ配信では子猫の顔になったり、顔の周りに星や虹を光らせたりできるようになっています。デモ画面では、結構リアルなサングラスを掛けた配信イメージも公開されており、顔を認識する新規精度がかなり高くキレイにフィルターを掛けることができるのが特徴です。
フィルターの真の目的はプライバシーへの配慮?それともやはり…?
このフェイスフィルターが担う役割として、配信時の表現力が高まることによる、ユーザー同士のコミュニケーションの活性化が挙げられます。現に、こうしたフィルターについて、「日々のあらゆる瞬間をより楽しく、クリエイティブに演出することができるようになります。」とInstagramも語っています。
ただ当然、上記のような狙いは建前のような気がしており、デモで挙げられたサングラスのフィルターを見ると、別の思惑が見え隠れします。それは、素顔を隠しているという点で、ちょっとしたプライバシーへの配慮が考えられるのです。そうしたプライバシーへの配慮によって、素顔を出すことに抵抗のあるユーザーに対して、利用してみようかなと思わせる意図を感じさせます。つまり、よりアクティブなユーザーを増やそうというのが、もう一つの目的に挙げられると思われます。
そして、さらにもう一つ、やはり、他社サービスへの牽制というのも無視できない狙いであると考えられます。ライブ配信という面で、各サービスが横並びになりつつある状況の中、自社のサービスが持つ本来の世界観にあった拡張機能をリリースすことで、独自色を出そうというのものです。Instagramというこれまで築き上げてきた世界観を崩すことなく、ユーザーの表現力を支援する機能であるフェイスフィルターは、他社にはない大きな差別化のポイントになるはずです。
専門の機材や特化型サービスといった限られた環境ではなく、みんなが持っている端末を使っていつものサービスで配信できることの手軽さによって、動画配信は利用者が急速に増えてきています。ただ、動画配信機能を提供する各サービスは当然横並びになりつつあるため、今ちょうど、何かしら次の一手を模索しているところであると考えられます。今回紹介したフェイスフィルターのように、自らのサービスの特徴を活かした独自色を出すことで、他社と明確に差別化をするというのは、当然の流れと言えます。真にユーザーの心を掴むのは度のサービスか、そう遠くない未来に、その答えは示されることでしょう。
アクトゼロ / 山田