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LGエレベーターいたずら動画「So Real it’s Scary」に見るバイラルムービー運用の難しさ

ソーシャルメディアインサイトをお送りします。アクトゼロの黒沼です。

今回は、大変に話題になったLGのエレベーターいたずら動画Youtube動画「So Real it’s Scary」についてお送りします。

どういった動画か?まずは見てみましょう。

LGの公式チャンネルで発表された動画「So Real it’s Scary」は、エレベーターの床部分にLGのIPSパネルを貼り付け、床が崩壊する動画を再生させることで、何も知らずにエレベーターに乗っているひとのリアクションを撮影し、LGのIPSパネルが如何にリアルな描画性能を持っているかを周知させることを狙って制作されたバイラルムービーです。

Youtube上での再生回数は現時点で1300万回の再生を超えています。日本国内のネットメディア・情報ポータルでも大きく取り上げられました(もちろん幾らかは、プロモーション記事だと想像されますが)。

インプレッションは大成功!しかし…

これだけ話題になった動画で一見大成功かと思われたのですが、Youtube上では「この動画は偽物だ!」というコメントが散見されています。

この動画の問題点を指摘する人の多くは、

Fake 1:26 There is a reflection of a green screen.
kidasterorig111 8 時間前 30 

のように、1:26秒辺りのエレベーター側面の手すりに、グリーンバック(映像の一部を合成する際に目安とするクロマキー)が写り込んでいるという指摘がもっとも評価されたコメントとなってしまいました。他にも、

There is one reason why this commercial is fake, perspectives. In the whole video, there are two different views, one looking straight down, and one looking at an angle. Both wouldn’t be possible to display on a 2-D surface if you think about it. The same thing applies to 3-D chalk art. This means that they used some sort of green screen and very good actors. Great marketing technique though.

rafflecupter 1 日前 17 

なぜ床面を真上から見た時も、片方の壁から見た時も、エレベーターの傾きと映像が完璧に延長して見えるのか?といった疑問の声も上がっています。わかりにくいので図にしました。こういうことです。

これが事実とすると、つまりドッキリを仕掛けられた側の人間は仕込みで、LGのIPSパネルのリアルさに驚いたわけではなく、演技で「そのように振舞っているだけ」ということで、そもそも床には何も写っていないことになります。このムービーの存在意義に関わる問題です。

まとめ

Webマーケターや企画者が、今回のキャンペーンから学ばなくてはいけないことは、消費者を「騙す」ことの難しさと、その結果が生む不利益についてです。

どんなキャンペーンを企画するにしても演出は必須ですが、コンセプトの根幹に関わる部分で消費者を裏切ることになれば、そのしっぺ返しを受けることになります。演出が過剰になリ過ぎて、消費者が「騙された!」と感じれば、当然不信を招いてしまいます。ブランディングとは真逆の結果を迎えてしまいかねない、危険性をはらんでいるのです。