その他SNS SNS YouTube ソーシャルメディア

YouTubeの実験アプリで注目されるオンライン上の“同時体験”

こんにちは、アクトゼロの山田です。
1日の中で、ちょっとした隙間の時間を利用して、様々なデジタルコンテンツの消費をするようになりました。これは、スマートフォンの普及によって、時間や場所に縛られず、ゲームや動画といったコンテンツを楽しめる環境が作られてきたことに関連すると考えられます。さらにSNSによって、気になったものをシェアしたり、他人がシェアしたものを受け取れるできるようになったことも、コンテンツを消費する行為を後押ししていると考えられます。

ひとりひとりが思い思いのコンテンツを消費するようになった今、少し希薄になっていると思われるのが、不特定多数の多くの人達が同じ時間に同じ体験をするという行為です。分かりやすいのが、テレビの視聴で、決まった曜日の決まった時間に同じ番組を見るという行為自体の優先順位が、徐々に下がっているように思います。当然、録画機器によって、時間に縛られなくなったことも大きいですが、インターネット上のコンテンツの消費に時間を割くようになったことも、要因として挙げられるでしょう。

インターネット上にあるコンテンツの最大の強みは、自分の好きなタイミングで楽しめること。そして、通勤や通学の合間といった細切れの時間の中でも楽しめるという柔軟性もあります。

しかし、やはり多数の人間が同じ体験をするという行為の原始的な行為について、再び求め始めているのではないかと思っています。

YouTubeをソーシャル的に楽しむ「uptime」

YouTubeというと、好きな時にミュージッククリップや投稿動画を楽しむメディアとして、幅広い世代に人気のあるサービスです。これもいわゆるオンデマンド型のコンテンツ配信プラットフォームで、インターネット時代におけるサービスの代表選手のひとつです。

このYouTubeをベースに新たな楽しみ方を実験的に提供する「uptime」というサービスが登場しました。これはグーグルの社内インキュベーターである「Area120」から生み出されたプロジェクトで、いわば新たな可能性を模索する役割を持っているものです。

001
「uptime」は「watch videos together」と銘打たれている通り、YouTube動画を誰かと一緒に視聴することを目的としたもので、動画を共有するだけでなく、視聴中にコミュニケーションを持つことも可能なものです。そして、このコミュニケーションは、クローズドな友人だけに許されたものではなく、多くのユーザーに開かれたパブリックなものとなっています。
こうした点が、いわゆるSNSを軸としたソーシャルとの連携と大きく異なる点です。リアルタイムに見ているユーザーだけが使用できる機能や演出があることから、同時視聴体験を狙ったものであることが伺えます。

002

この同時視聴体験を提供することで、これまでのオンデマンドなコンテンツ消費とは大きく異なる、時間や場所を制限したオンラインにおけるコンテンツ消費の新たな可能性を模索しているのではないかと思います。

ライブ配信など、体験の共有が始まっている

実は、インターネットユーザーのひとつの感覚として、自分の好きな時に好きなコンテンツを楽しむという行為について、その利便性は享受しながらも、刺激という面で物足りないことに気付き始めているように思います。今見ているものを、同じ時間に見ている人は、当然、世界のどこかにはいる可能性はありますが、当人に取っては、誰かと一緒に体験しているとは感じられるものではありません。

ただ単に友人や家族のような知人だけに留まらず、どこの誰とも知らないような不特定多数の人間と同じ体験を感覚が持てることこそがが、求められているのではないでしょうか。

005昨今のソーシャル視聴やライブ配信といった機能を追加するWebサービスが増えている動きは、そうした体験の共有を求めるユーザーを睨んだものなのではいかと思っています。代表的なところでは、Facebookの「ライブ動画」や、日本では「LINE LIVE」等、コミュニケーションのためのひとつの機能として、目立った動きでしょう。

006

ライブ配信の仕組みが発展することによって、オンライン上でのコミュニケーションは、利用者自信の時間軸だけでなく、多数の人間が同時に体験するという共通の時間軸までも取り込み始めています。ひとりで楽しむ部分と、誰かと一緒に楽しむ部分、その両方を満たすことを目指していると感じます。そう考えると、インターネットとテレビに代表されるマスメディアの境界線が、今後、より曖昧になっていくのかもしれません。

アクトゼロ / 山田