米国政府が監視するSNS 知っておきたい3つのサービス

アメリカに渡航する際に、ビザを取得するか、オンラインの電子渡航認証システム「ESTA」で事前の申請を行う必要があります。2009年1月から運用が開始されたESTAは、アメリカへの渡航者を事前申請でチェックすることでテロの脅威を未然に防ぎ、安全を確保することが目的とされています。

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https://esta.cbp.dhs.gov/esta/application.html?execution=e3s1

登録を進めていくと、氏名や生年月日・住所・パスポート番号など、様々な個人情報を入力する必要がありますが、昨年の12月末からオプションではあるものの、こんな項目の入力も求めるようになりました。

空路・海路を利用するビザなしでの米国渡航に必須となった電子渡航認証システム・エスタ(Electronic System for Travel Authorization)の申請に、新たな項目が追加になった。

(中略)

申請で新たに追加になった項目は、個人で運用しているSNSのアカウント。対象となるSNSは、フェイスブックやツィッター、LinkedIn、Google+など。FlickrやInstagramといった写真共有サービスのほか、VineやYouTubeなどの動画共有サービス、プログラマーがコードなどを共有・管理する目的で運用するGitHubまで含まれている。

(exciteニュース
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170108/Sirabee_20161051233.html

ESTAのサイトの登録画面を見てみると、確かにオプションとしてソーシャルメデイアの利用状況を尋ねられ、使用中のSNSを選択すると、「ユーザーネーム、ハンドル名、スクリーンネームまたは利用中のソーシャルメディアプロファイルに関するあなたを特定する呼び名のすべてを入力してください。」と表示され、アカウント情報を入力する必要があります。

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この措置が取られるようになったのは、2015年12月に起こった銃乱射事件(サンバーナーディーノ銃乱射事件 死亡14名・重軽傷者17名)を受けてのことだそうです。

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銃乱射事件後に射殺された容疑者は、事前に結婚ビザを取得して合法的に米国に移住した上、容疑者のFacebookなどのSNSアカウント上では、事件前にISへの忠誠を誓うメッセージを投稿してました。その点から、ビザ発行前にSNSの投稿の調査さえ行っていれば、事件が未然に防げたのでは、という批判が米国内で大きく叫ばれた点から、今回の措置に至ったという背景があります。

どのSNSが対象になるのか

現在、ESTAのプルダウン上に選択肢のあるSNSは以下の13サービスです。他に”Other”があり、任意に記入・申告することができます。

ASKfm
Facebook
Flickr
GitHub
Google+
Instagram
JustPaste.it
LinkedIn
Tumblr
Twitte
Vine
VKontakte (VK)
YouTube

多くはサービス名に見覚えのあるメジャーなサービスですが、その中に、いくつか一般な日本人に馴染みの薄い名前があります。私たちにとってマイナーな、米国政府が監視する3つのSNSサービスについて見てみましょう。

ask.fm

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http://ask.fm/

2010年に開始されたヨーロッパ・ラトビア共和国発のSNSで40ヶ国語以上の言語に対応しており、日本語にも対応しています。日本でもある程度普及しているので聞いたことがある人も居るのではないでしょうか。ユーザーの中心は10~20代の若い世代です。

質問をする・回答することでコミュニケーションを図るSNSで、基本的には誰にでも話しかけることが可能です。様々な国にユーザーがいるので、気軽に国際交流が楽しめるのが特徴です。また、匿名での質問も可能です。iPhone・Andoroidのアプリもあるためスマートフォンでも簡単に利用することができます。ログイン後、まずは基本となる7つの質問がされており、これに回答することからコミュニケーションが開始されます。

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質問と回答によるコミュニケーション。企業のマーケティング活動にも活用できそうですね。

JustPaste.it

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https://justpaste.it/

ポーランド発の、テキストと画像などを簡単にHTML化して共有できるSNSサービスが「Justpaste.it」です。編集画面がWordのようになっており、簡単にテキストや画像・リンクを組み合わせたWebページを作成して気軽に共有することができます。また、Word等のドキュメントデータからインポート、編集結果のPDFへのエクスポートなども可能です。日本語にも対応しています。

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そしてこのサービスは、アカウントを作ることなく誰でも匿名ですぐに利用できることが最大の特徴です。しかし、この匿名性から、公開されているドキュメントの中には、違法性の高いものや差別的なコンテンツが散見されます。海外では現在ではIS(イスラム国)側からの情報発信も多く、2015年3月にTwitterがIS関係の20,000のアカウントを削除した際に、Twitterの共同創設者と同社の従業員を殺害するよう支持者に呼び掛けたメッセージが発せられたのもJustpaste.itからでした。

サービスの内容自体は便利そうなものですが、匿名性がこのような犯罪関係の温床となっている状態のようです。米国政府が警戒するのも分かります。

VKontakte

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https://vk.com/

VKとも略される、ロシア発のSNSで、日本語表記では”フ コンタクテ”という読み方になります。2006年に開始され、現在、ロシアではFacebookよりも人気の大型SNSとなっており、ユーザー数は約3億3000万人・1日あたりの利用者は7500万人(2016年1月)を超えるほどの規模になっています。ロシア国内で最もアクセスが多いサイトでもあり、訪問数では世界第5位の規模ともいわれているSNSサービスです。ロシア国内のFacebookユーザーが860万人(2015年1月)なので、9倍近くもの圧倒的な差を付けています。ちなみに、英語・日本語にも対応しています。

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青と白を基調としたSNS、フコンタクテは、Facebookを彷彿とさせますが、機能も似ており、フレンズ申請や、グループなどがあり、様々な交流がユーザー同士で行われています。動画や音楽を公開する機能も早くから備えており、かつては匿名でも登録ができたようで、著作権的に違法な音楽・映像コンテンツ、ポルノ関係のコンテンツなども多く共有されていたようです。ただでさえ米国が警戒するロシア。米国政府が対象に入れるのも頷けます。

プライバシー侵害か?身の保証となるか?

ESTA登録の際のSNSアカウントの登録は、現在は任意なので記入する必要性は必ずしもありません。SNSアカウントを登録する点に関して、どうしても自分のタイムラインを監視される気持ち悪さがあり、プライバシー侵害なのではないかという議論が巻き起こっているようです。そもそも、テロを企てている入国者が任意の項目に対して記入するとは考え辛いですし、任意でなく必須になったとしても、善良な投稿を行っているダミーのSNSアカウントを作って登録することでしょう。(実名制のFacebookでは難しそうですが。)

しかし、逆に言えば、犯罪などネガティブな投稿をすることのない人であれば、積極的に登録した方が、自分は犯罪予備軍では無いことのアピールになるのではないでしょうか。下手に、持っているSNSアカウントを隠し、米国入国時に念入りに調べられるリスクが無いとは今後言い切れないのではないかと思います。

外国人入国時の政府によるSNS監視。企業がマーケティング活用にSNSを活用するのと同様に広がり、今後は米国に続く国が出てくるかもしれません。ユーザーにとっては今後、より一層、投稿内容に気をつける必要がありそうです。