新サービスの登場や機能追加など、昨年も目まぐるしい変動を見せたSNS業界。
かつて抱いていたSNSの利用イメージというのも、気づけばだんだんかけ離れてきつつあるかもしれません。
基礎知識のおさらいもふまえ、今のSNSの実態をデータで見直していきましょう。
「SNSは若者が使うもの?」
いいえ、今では中高年の世代にも拡大し、SNS利用は誰でも当たり前な時代になっています。
下記の調査によるとSNS利用者は年々増加しており、今年末にはなんと7割以上が利用している見込みに。
出典:ICT総研「2016年度 SNS利用動向に関する調査」
次に、年代別でどのSNSを利用しているのかについてはこちらの図を参考にしてみましょう。
出典:総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)
利用率が最も高いのはやはり20代以下。年代を追うごとに利用率は減少傾向にありますが、30~50代ではFacebook・LINEの利用が比較的浸透していることが伺えます。
60代以上になると電話やメールが使いやすいのか、LINEの割合は低下。一方、Facebookについては2割以上の人が利用しています。
今後もセカンドライフの有意義な過ごし方としてや、各地域で高齢者を見守るネットワークづくりとしてなど、シニア層のSNS活用はさらに拡大が期待されます。
「SNSを使うのは都市圏の人ばっかり?」
たしかに人口が多い都市に集中しそうなイメージがありますが、実際の利用状況はどうなっているのでしょうか。
先ほどの調査より、各年代で利用の多いFacebookについて調べてみました。
地域別の利用人口についてFacebook側より特に公表はされていないため、広告管理画面で算出される潜在リーチ数(対象:この地域に住んでいる18歳以上の男女、2017年1月11日時点)を並べた表がこちら。
トップ10は都市が並び、下位4県は中国・四国地方の県が並ぶ形となりました。1位と47位の差はおよそ450万強と大きく開いているのが特徴的ですね。
とはいえ、県によって人口数がそもそも異なりますので、総務省「平成27年国勢調査」をもとに県別の利用普及率(上記の潜在リーチ数÷人口数(18歳以上男女))で再度並べてみた表がこちら。
1位は変わらず東京で、全体の約4割が利用しているという結果に。2位の大阪に続いては、潜在リーチ数のみでは16位だった沖縄県が3位にランクイン。
沖縄で利用率が高い理由としてアメリカ人が多いためなど考えられますが、ともあれ4位以下と比べても高い利用率に驚かされます。
また、先ほどの表では10位以下だった京都府・滋賀県もトップ10入りとなり、関西でのFacebook利用の高さが伺えます。
反対に、茨城県・福島県・新潟県など、潜在リーチ数は中盤でも利用率では大きく順位が下がった県も。
最も低い県では山口県・秋田県・高知県が並び、下位グループの中では東北地方の県も多く見受けられます。
地域分布では都市圏に偏る傾向にはありますが、平均値で20%弱、最低でも13%以上の住民が利用していると言えそうです。
「利用者が多い=みんなに人気ってこと?」
人気の尺度というのもまちまちではありますが、SNSごとの利用度・満足度という視点では興味深いデータがこちら。
出典:ICT総研「2016年度 SNS利用動向に関する調査」
まず満足度をみると、LINE・Instagramが高く、Facebookは上位2位から10ポイント以上差が開く結果に。また利用時間でもLINE・Instagramでは過半数が1年前より増えたと答えたのに対して、Facebookでは増加33%、低下25%と芳しくない数値が見受けられます。
既に成熟しているサービスとはいえTwitterなどよりもこうした傾向がみられる要因としては、実名制ならではの公的・建て前的なコミュニケーションへの疲弊が関係しているように思います。
個人コミュニケーションのLINE、写真のセンスでつながるInstagramとはまた違い、オトナの社交場と化しつつあるFacebook。「好き」「楽しい」というより、(皆やってるから)つながりを保ちたい、情報収集したいなどビジネスライクな利用が今後も増えていくのではないでしょうか。
今後のSNS活用に向けて
いくつかデータをご紹介してまいりましたが、想定していたイメージからなにか発見がありましたら幸いです。
個人的には、どの年代・地域でもSNSはより一般的な存在となりつつあり、また半ば義務的に使うSNSと趣味・娯楽的に使うSNSとで棲み分けが深まりつつあるように感じました。
今年は新たなSNSを活用したり、または既存アカウントの整理を検討される企業も多いのではと思いますが、いわゆるユーザー数などのパイだけではなく実際の利用状況・コミュニケーションの質を見極めたSNSの取捨選択がますます求められるのではないでしょうか。
2017年も引き続き、動向を追っていきたく思います。