企業向けFacebookがビジネスをどう変える!?

先月28日、Facebookが企業向けビジネスツール「Facebook at Work」を今月10月に正式リリースする予定であると、米国のニュースサイトが伝えました。(The Information : Facebook’s Rival to Slack, Yammer Coming Next Month

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Facebook at Work https://work.fb.com/

このサービスは元々、2015年1月からベータ版が一部パートナー企業に対して提供されていました。

このサービスは、企業におけるグループウェアにソーシャルネットワークの機能が組み込まれたもので、 個人向けFacebookではおなじみの”ニュースフィード” ”グループ” ”イベント”などで社内の情報共有ができ、Facebook at Work専用のMessengerアプリもあり、チャット機能も備えています。また、動画や音声によるオンライン会議機能なども提供されるようです。

個人向けFacebookのアカウントとはリンクせず、別にFacebook at Work向けのアカウントで運用されます。企業における情報共有に必要な機能が一括で提供されるサービスです。無料ではなく、利用には有料になる見込みで、1ユーザーあたり◯円という定額制ではなく、ユーザー単位での従量課金制になるようです。

欧米では”Slack”や”Yammer”といったサービスが競合に挙げられているようですが、日本で言うと”サイボウズ”などが競合サービスになるでしょうか。

普及が進む”社内SNS”

FacebookやTwitter、LINEなどといったSNSは、友人らと情報共有が手軽にできる便利さから日常生活に欠かせなくなりつつあります。こうした、変容した新しい形の人と人とのコミュニケーションに対応することだけでなく、その便利さをビジネスシーンにも応用したいと考えるのは自ずの流れです。しかし、既存の個人アカウントで会社の同僚・上司・部下と情報共有をすることはプライベートとの線引きが難しいだけでなく、企業の機密情報の漏洩などのリスクが伴います。

こうしたことを背景に、日本では企業内限定の”社内SNS”導入が2007年頃から始まり、2011年、Facebookの創業者をモデルにした映画「ソーシャル・ネットワーク」によって、SNSの認知度が一気に高まって、社内SNSの導入の流れが加速されました。

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社内SNSの導入により、メールでの社内のやり取りを削減し、業務の効率化・時間の削減に繋がったり、社内での新しいコミュニケーションが生まれたりと、企業活動の改善・向上に結びついている企業がある一方、SNS内で炎上が起きてしまったり、全社的な利用がされずに有名無実化してしまったり、趣味や遊びなど業務以外の話題に終始するユーザーが発生してしまったりと、導入に失敗した例も少なからずあるようです。

また、例えば、気軽に誰でも発言することを目的に社内SNSを導入したものの、現場は上から下へのトップダウンの風土のため、自由な発言が結果的に発せられなかった、というような、企業風土にSNSが適している企業・適していない企業もあるので、そこの見極めも重要です。

Facebook at Workがどう変える?

元々Facebookは、30代40代といったビジネスパーソン層のユーザーが多く、日常利用している点から恐らく導入後もすんなりと活用できる可能性が高い点は有利だと思います。新たな社内システム等を導入する際に利用方法の教育・習得には時間とコストがかかるだけでなく、社内での利用普及にも影響してきます。企業の規模が大きければ大きいほど、このメリットは高く、大企業こそユーザーにとってハードルが低いこのサービスを検討する価値があると思います。

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日本では若者のFacebook離れが言われつつありますし、世界的には好調なFacebookですが、既に普及がおよんだ欧米では新規ユーザー獲得は頭打ち状態になっているとも言われています。そのような状況の中、慣れ親しんだインターフェースのもとに企業向けにリリースすることで、新たな収益源とする狙いがあるのでしょう。

また、現状では従量課金制ですが、もしかしたら今後、広告収益ベースの運用の無料版などのサービスが提示されたとき、Facebookが得意とするユーザー属性情報からターゲットを狙った広告商材などの可能性も考えられます。企業毎・そこの職種や組織毎にターゲットを絞った広告メニュー、非常に興味ありませんか?

社内SNSの分野参入では後発組ではあるFacebook。しかし、世界を見渡しても、まだ社内SNSにおけるデファクトスタンダードのサービスが見当たらない現状を、個人向けSNS分野で覇権を握るFacebookがどのように変えていくか注視したく思います。

2016.10.11追記

「Facebook at Work」から、「Workplace」に名前を変更し、正式発表がされました。

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Workplace https://workplace.fb.com/

サービスの内容は変わらないようですが、一社あたり、ユーザー数が1000人までは1人あたり月額3ドル、1001人以上は2ドル、1万人を超えると1ドルになるように、料金体系が少し変更されたようです。。

詳しくはリンク先(ITMedia:「Facebook at Work」、「Workplace」として正式公開)をご確認下さい。