Facebookでの情報発信は企業だけでなく、各地域の団体や行政も多く取り組みを始めています。
地域に根差した団体や行政が取り組んでいるのは、その地域に住んでいる人に向けたものと、その地域に集客するために外に向けたものとに大きく分けられます。
今回は、事例をご紹介しながら、地域の情報発信とソーシャルメディアの関わりを考えてみたいと思います。
福島県のFacebookページのファンは1万人以上
福島県が立ち上げていた公式Facebookページのいいね!数が1万人を超えたことが、いくつかのニュースで取り上げられました。都道府県のFacebookページとしては、最も「いいね!」されており、開設してから約3週間という短い期間で、多くのファンを獲得したことになります。
内容は、福島県の食や観光に関するを発信するFacebookページとなっており、「人」が登場する記事が多く投稿されています。
その多くの「人」は、県職員の方や地域に暮らす人で、顔を出して福島の魅力を発信しているため、とてもオープンな印象を受けます。
原発事故で、非常にネガティブで暗いイメージが先行してしまっている現状の中で、職員のみなさんが笑顔で写っている写真を見ると、とても前向きな力を感じます。東日本大震災、原発事故という困難に直面し、今なお収束していない状況の中で、Facebookを使った「顔」の見える情報発信が多くの方に共感された結果、多くの方が「いいね!」していると言えます。
Facebookページの名前も非常に胸に来るものがありますね…、「ふくしまから はじめよう。」。
アクトゼロでも「祭り」の情報をFacebookで配信
そういえば…アクトゼロでも、毎年7月に京都で行われる「祇園祭」の情報を発信する地域に根差したFacebookページを、2011年から運営しています。
タイムリーなことに、今月14日(土)から昨日17日(火)に行われた、祇園祭のクライマックスである山鉾巡行まで、現地からリアルタイムに発信していました。
おかげさまで、1000人以上のみなさまに「いいね」していただき、現地からのリアルな空気をお楽しみいただけているようです。
この祇園祭のFacebookでは、遠方に住んでいて祇園祭に足を運ぶことができない人から、「いいね」やコメントが寄せられるとともに、地元の方や実際に祭りを見に来た方からのコメントも多く見受けられるという、少し面白いFacebookページになっています。
祇園祭のような、昔からある伝統的なテーマを扱う場合は、地元の方の意識も高く自発的なコメントも多くいただくことができます。
そして、地方の方にとっては、行かなくてもFacebookを通じて疑似体験できるというところから多くの支持をいただいています。
このように、地域に根差したものであっても、外にも内にも共感を生み出すことができるテーマも存在しています。
大都市圏のユーザーが多くを占めるFacebook
といいつつも、自治体や地域の団体がソーシャルメディアを活用する場合、その地域に暮らす人々に向けたものにするのか、それとも地域外の人に向けたものにするのかという点について、中々両立させることは難しいと思います。そうした場合、どちらに特化させるかを明確にしておかなければいけません。
そもそも、日本のFacebookユーザーの割合を見ると、その多くが首都圏や大阪、愛知、福岡といった大都市圏に住むユーザーです。
(詳しくは「ソーシャルメディア集客ラボ」さまが記事にされています。)
そういった、Facebookの利用者の属性を考慮する限り、やはり内に向けたものとするよりも、外に向けて観光的な集客のための手段として活用する方が現実的なメリットが多いと考えられます。
以前話題になった「武雄市」のように、地域住民に向けたものも事例としてはありますが、やはり存在する多くは、外に向けたものが殆どだと言えます。
たとえば「北海道Likers」は、北海道好きな人たちのコミュニティとなっており、いいね数も87,000人に上ります。
食べ物や観光スポットはもちろんのこと、北海道で作られるプロダクトの紹介やイベントの情報まで、地域を活性化するための情報発信の場として、活用されています。
今後、急速に地方へも広がっていくことは十分に考えられますが、現状では地域の活性化や観光客へのアピールなど外に向けた活用がしばらく有効であることは間違いなさそうです。