こんにちは、アクトゼロの山田です。
先日行われた東京モーターショーは、環境技術や自動運転など新たなテクノロジーの見本市とも言える内容で、大きな盛り上がりを見せました。それと同時に、クルマ自体はもちろんなのですが、展示の仕方やスマートデバイスとの連携など、イベントにおけるデジタルのあり方を発見する場でもありました。
スマートフォンアプリを活用したものが多く見られたのものの、ソーシャルメディアを活用したものは比較的少なかったと感じています。ソーシャルメディアに関しては、オフィシャルアカウントでの情報発信は、ほとんどのメーカーで行われていたのですが、ファンを巻き込むような取り組みはわずかに2つのブランドだけでした。その2つとは、ドイツと日本のあのブランドでした。
ファンの目線で疑似体験をさせるアウディ
ひとつめのブランドはドイツのアウディです。日本でもここ数年高い人気となっているメーカーで、Facebookのファン数が多く、高いエンゲージメントを得ているなど、ソーシャルメディアの活用が得意なブランドのひとつと言えます。このアウディが行なったのが、「ソーシャル特派員」という企画です。いわゆるブランドのアンバサダーの一般版と言える内容で、公募した一般ユーザーの中から、「特派員」という形で選出し、モーターショーのブランドブースを体験し、ソーシャルメディア上で発信してもらうというものです。
この特派員というのは、モーターショーだけの限定的なものでなく、以前モータースポーツをレポートする要員として募集された方々が今回も参加しているようです。ちなみに、選出された方を見てみると、比較的ソーシャル上でのフォロワーが多そうな、影響力の高い方が多い印象です。
実際に特派員の方のソーシャル上での発信は公式サイトの中にまとめられており、どれも一般ユーザー視点での発信であるためライブ感が強く、モーターショーの疑似体験ができるものになっています。
距離を越えた交流を作り出すレクサス
そしてもう一つのブランドは、日本のレクサス。レクサスもソーシャル上の投稿を活用するという面では同じなのですが、ちょっと違った手法を取っています。
レクサスの場合は、モーターショーに来ることができない人が、知りたいこと、見たいものをハッシュタグ「#LexusInTokyo」を付けて投稿すると、現地からそれに答える投稿がオフィシャルアカウントで行わるというものです。
手間が掛かる内容ではあるのですが、ファンが見たいところ、知りたいところを同時に発見できるという点で、とても興味深い取り組みです。例えば…
Hey @Lexus! How BIG is the trunk of the LX? #LexusInTokyo #Curious
— Charlie Fernandez (@El_Don_Carlito) 2015, 10月 29
という質問に対し…
.@El_Don_Carlito, Here’s a closeup look at the trunk of the new #LexusLX from #LexusInTokyo pic.twitter.com/lymvtdTHhE
— Lexus International (@LexusInt) 2015, 10月 31
という返信。
そして、一覧化されたやり取りを見ていると、ソーシャルメディア最大の特徴であるコミュニケーションが自然に生み出されている点も、とても素晴らしいと感じます。
寄せられた質問に対し、返答という形でプレゼンテーションが行われるため、一見するとシンプルなやり取りではあるものの、ブランドの理解を深める役割を担っているように見受けられます。
ソーシャルメディアを通じてブランド価値を高める
アウディはソーシャルメディア上でモーターショーを疑似体験してもらうという取り組み。レクサスは、コミュニケーションを通じてブランドやプロダクトの理解を深めてもらうという取り組みで、それぞれ特徴的な内容になっていました。
メルセデスベンツのように、昔から人気のある老舗ブランドではなく、近年人気が高まっているこの2つのブランドだったというのは、実は必然だったのかもしれません。新興ブランドとしての付加価値を作り上げていくためのプラスアルファのアクションとして、アウディは一般ユーザーの視点を通じて、レクサスはコミュニケーションの中で、それぞれの価値を伝える取り組みになっています。現に多くのメーカーやブランドは、自社のアカウントを通じて展示内容を発信しているだけに留まっています。
そう考えると、ブランドの価値を実感してもらうダイレクトな手法として、ソーシャルメディアの果たす役割は小さくないのではないでしょうか。
あ、ちなみに両社ともTagboardを使っているのも特徴的かもしれません…。
アクトゼロ / 山田